保存状態がよく規模の大きいクサル(日干しレンガ造りの要塞化された集落)として、世界遺産に登録されているアイト・ベン・ハッドウ(Ait Benhaddou)。
クサルはカスバと見た目がよく似ているため混同して使ってしまいそうですが、違いは、「地球の歩き方」の説明を借りると”カスバはどんなに大きくても司令官などだけが住んだのに対し、クサルは複数の家族が住む村”だそう。現在もベルベル人の家族5~6世帯が住んでいます。
アイトベンハッドウはまた、映画ロケ地の宝庫でもあります。
それが今回行く動機ともなったのですが、純粋にその佇まいを見てみたかったのもあります。
ワルザザートから日帰りもできますがせっかくなので1泊してきました。
ワルザザートからワドマレまで民営バスで10DH。ワドマレからはプチタクシー、シェアのつもりで人が集まるのを待っていたけど集まりそうになかったためひとり乗りで20DH。
泊まっていたオーベルジュ(Auberge Labaraka)前で15分程度待ってプチタクシーをキャッチ。ワドマレまで6人乗りシェアで5DH。その後、ワドマレの交差点で20分程度民営バスが来るのを待ってマラケシュへ。70DH。
※停留所ではないので、バスは合図しないと止まってくれません。
リドリー・スコット監督『グラディエーター』の円形闘技場が建てられたあたり。クサルと、左手に円錐状の砂山(何かの倉庫?)が見えるでしょうか、あの前の緑があるあたり。
なんて、勝手に映画観ながら推測しただけなので間違っているかもしれませんが(でも多分あってる)。
リドスコものでは他に『キングダム・オブ・ヘブン』も撮影されたそうです。ワルザザートも含めれば『ワールド・オブ・ライズ』も。
モロッコ好きですね、リドリー・スコット。
あと、『エクソダス:神と王』も撮られたということでそれも最初のモロッコ行き動機の一つだったんだけど‥‥‥どこ?
史実と異なるという理由でだめだしされたとの記事も見たのですが公開がNGだったのか、撮影もNGだったのか。
それはいいとして、アイトベンハッドウでは、他にも、古くは『ソドムとゴモラ』から『007リビング・デイライツ』、『最後の誘惑』、比較的新しいものだと『プリンス・オブ・ペルシャ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』(TV)にいたるまで、本当にたくさんの映画が撮られています。
個人的に「おおう♪」となったのはテリー・ギリアム『バンデットQ』でしょうか。
映画リストが載っているサイトのリンクを貼っておきますね。
ちなみに、デビッド・リーン『アラビアのロレンス』の名を挙げているガイドブックやサイトもありますが今回の旅で割と必死に探した身としては、ちょっとどのシーンかわからず。
ですが、ワルザザートからアイトベンハッドウに向かう途中にあるフィントのカスバで、オアシスのシーンは撮られたようです。
グラディエーターの話に戻りますが、スペクタクル映画もラッセル・クロウも特に得意というわけではないのですが、改めて観てこの映画が好きなわけがわかりました。
やはり王道といえば王道、なのだけど、とりわけ丁寧に作られていると感じたし、どの俳優も輪郭がはっきりしていて、ひとりひとりがその役をしょってたっており、各シーンやセリフに無駄がなく、凛としていて、戦いの話なのにその残虐と興奮もありながら、どこか静謐としている。
べたぼめじゃないですか。
すかっとした!おもしろかった!以上!という映画も全然好きだけど、そういう映画は役割が違っていて本当にアトラクションのようなもの、劇場にすべてをおいてくるのでオールオーケー、だけど、どちらかを選ぶとすれば、余韻が残る映画が私は好きなんだろうなあ。
アイトベンハッドウの夜明けも静謐としていました。