知らずにロケ地に泊まっていた話:『シェルタリング・スカイ』番外編

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ロケ地-他の地

 

シェルタリング・スカイのロケ地、実はもう一ヵ所訪れていました。

知らずに。

タンジェで私が泊っていた宿。旧市街の中心プチソッコのすぐ近くにあるPension Palace。

スペインのタリファからフェリーで到着した日にプチソッコ周辺でいくつか探した中で決めた宿。お湯がちゃんと出る、が決め手でした。その時期のタンジェはまだ肌寒かったので。

ちなみに料金はトイレ風呂付き個室で1泊80DH(約950円)。

安宿ですから当然、お世辞にもきれいとはいえません。ねんのため断っておきますと、そうです、バックパック仕様の旅ではいまだそういうところに泊まっております。

それでも宿探しの時はできるだけ条件のよいところを探そうとするのですが、私そのへんあまりうまい方とはいえず、というか、うまい友人たちの話を聞く限り多分こだわりが弱いのだと思うのですが、わりとすぐ、いっかあここで、と決めてしまうところがあります。汗。

今回も、第一候補だった1軒目が閉まっていて、2軒目、適当に入っていった宿では、オーナーが昼寝しており、起こされても感じはよかったけれど、水シャワーの部屋しかなかったので断り、3軒目、プチソッコから路地に入ったところ入り口が一番目につきやすいところにあったペンションパレスが、受付にいるお兄さんの雰囲気が普通で(普通なにげに大事)、交渉にも応じてくれたため決めました。

でね、(ほぼ)リアルタイム日記にこんなことを書いているわけです。

カミーノ後旅日記:モロッコ編後編
シャウエンに一泊したあと、翌朝7時発のCTMバスでカサブランカへ。 午後1時に到着し、ハッサン二世モスクを見るなど半...
“壁にしみはあるし、そこはかとなく湿っぽい。ベッドは、カミーノで使ってきた寝袋を引き続き使用した方がよさそう。シャワーはぬるく、トイレはモロッコ式。(中略)自分で安宿を選んでいるのだとはいえ、清潔なスペインで1ヶ月半過ごしたあとのこの部屋はなかなかにしびれるものがあった。”
”フェリーでモロッコに入る旅人にとってタンジェは、素通りしてその日のうちに別の町に向かうか泊まるとしても一泊という人が多い印象がある。わたしも前回は素通り組だったのだけど、今回はこの町自体がマストの訪問地だった。理由はいわずもがなの映画ロケ地。『シェルタリングスカイ』他意外に多くの映画が撮られていて、どれも要の町として描かれており、そのせいか、いかにも安宿なその内装に映画のシーンを思い出し、気分はさがるどころかあがっていた面もあった。やはりどこかおかしいのかもしれない。”
「いかにも安宿なその内装に映画のシーンを思い出し」。

 

その映画こそがシェルタリングスカイだったんですけど。

しかもご丁寧にタイトルもあげている。

のに。のに。のに。

知ったのは帰国後でした。

ところで、ロケ地巡りというものをする以上事前にある程度下調べをしていくのですが、まあでもこれは映画によって差があり、しっかり調べてEvernoteにおとしこむなどして行くこともあれば、謎のクエスト感を期待してあえて調べすぎずに行くこともありますが、

今回この映画では、本編再観賞とメイキング確認、基本のIMDbチェック他ネット検索としっかり調べていた方でした。

にもかかわらず事前にはっきりわかっていたのは、CINE ALKASAR前のカフェくらい。あとは、ざっくりとした、ワルザザートやザゴラといった町の名前程度の情報のみ。

そんな中でのロケ地探索。

この映画で一番行きたかったのがタンジェのカフェだったので、満足、と言いたいんですけど、しかし、奥地すなわち砂漠方面は少なくとも場所特定という点では消化不良感が否めない結果となりました。

場所特定にこだわらずとも楽しめばいいじゃない、という部分もあるのですけどね、いざ現地に行くと往生際悪くなるのはなぜなんでしょうね。貧乏性なんでしょう。

ともかく。

それで、帰国後、記事にするために再度映画の各場面と照らし合わせたりコメンタリを聞いたりして、記憶やメモや撮ってきた写真から幾つかの場面やルートを特定、少しすっきりはしたのですが、その過程で、ふと、自分がある本を持っていたことを思い出しました。

この本なんですけど。

ロケ地の探し方。続き。
前回はネット中心でしたが、それ以外。 5.本を参考にする。 海外映画ロケ地本として有名、かどうかは知りませんが、前...
トニー・リーヴス著

『世界の映画ロケ地大事典』(晶文社)。

1600本以上もの映画ロケ地を収録したまさに大辞典といえる分厚い枕本。

ただ出版年が2001年(日本は2004年)。

これまではロケ地巡り候補がそれ以降に制作された映画が多かったので、いつしか存在をすっかり忘れていました。

しかしシェルタリング・スカイは1990年の映画。

おそるおそる(?)開いてみました。

しっかりあっさりありました。それもめまいがするほど詳細に。

件のペンションパレスは、本の中では「ホテルパレス」になっており、しかも特にどのシーンか書いてなかったので最初はピンときていなかったのですが、この宿だけなぜか住所が書いてあったので、グーグルマップで検索するとまさに自分が泊っていたあたり。

え、え、もしかして?

ありがたいことにYoutubeでこのホテルの取材動画を発見し(こちら)、中庭やピラミッド型の明り取り等からキットとタナーが一晩過ごしてしまったブシフの宿であることをつきとめました。

そういえば確かにこんな中庭あった。私、洗濯物干してた。

ちなみに、なぜYoutubeで確認かっていうと、写真をたった一枚しか撮ってなかったから。

だってさーーーー。
まさかロケ地だと思わないもんーーー涙。

まさかブシフのシーンがタンジェで撮られていたとは。これぞロケ地あるある。

そりゃ雰囲気をかぎとってはいたよ。いたけど、タンジェでポートたちが宿泊していたのは高級ホテルだし、なのでそこではなくて、思い浮かべていたのは、奥地に進むにつれ出てきた

壁のはがれたような宿の風情だったん

・・・ってことは、ん?

自分の勘正しいんじゃないか。

ちなみにブシフの屋外、エリックがポートにお金を無心するシーンは、この本によると「Ait Saoun村に複製を作って」撮影したのだそう。あと、前回どこだろう、知りたいと書いた

ブーノーラの屋外はタムヌガルトだそう。

・・・・・・なんで行く前にこの本を思い出さなかったオレ。そして、なんだったんだ帰国後のあの長い探索時間は。

なんでしょうかね、こういうの。

ロケ地巡り界の「車輪の再発明」?

_| ̄|○

や、でもね。

正直に言うと、この発見で、砂漠地帯での「あたし負けた」感が「やるじゃんあたし(知らず知らず)」という謎の肯定感に一発逆転したんだよね、っていうただそれだけの雑談にここまでつきあってくださった方どうもありがとうございました。

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