三大弁才天巡り、最後の竹生島へ。

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神話の旅

ただいまインドから帰国中。

国内では国内の記事を、というわけで、これからしばらく国内ネタが続きます。最近の話もですが、これまで出し損ねていた旅記事も出していく予定です。

そういうわけで、今回は2022年に行った竹生島の話。

三大弁才天のひとつといわれる滋賀県琵琶湖に浮かぶ竹生島。

とその前にあらためて自己紹介をしますと、わたくし、あるときから弁才天さんを勝手に自分の推し神様にしておりまして、祀られている場所や縁の深い場所に行きがちな人です。理由はこのへんこのへんに書いてきたようなないような、要約すればミーハー心と思っていただいてさしつかえないです。

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そして弁才天さんを推し神様とするからには、同一視されている宗像三女神の一柱である市杵島姫命、インドの神様サラスヴァティを追いがちな人でもあります。

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そういうわけで、インドに行く前は長らく神奈川在住だったこともあり、江島神社のある江ノ島には折に触れ行っていましたし、他の地を旅する際も弁才天や市杵島姫命が祀られている神社仏閣をまずは探すようになりました。そのうち探さずとも人の話からその地にお堂があることを知りお参りさせていただくことになったり。

話を戻しまして、三大弁才天の中でも最古の弁才天が祀られているという竹生島。2022年6月、京都旅行も兼ねて行ってきました。

記事のタイトルで「最後の」と書いているのは、三大弁才天のうち江島神社、広島の厳島神社はすでにお参りさせていただいており、竹生島は念願の三番目ということです。Last, but not leastというやつです。野音、アリーナと追ってきて、武道館でフィナーレを迎えるようなものです。←?

ええと、それでは、旅レポスタート。

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竹生島への行き方

竹生島に渡る船は今津港、長浜港、彦根港からと3つあります。

アクセス
長浜港から約35分:琵琶湖汽船 (JR長浜駅から徒歩10分)
今津港から約25分:琵琶湖汽船 (JR近江今津駅から徒歩5分)
彦根港から約40分:オーミマリン(JR彦根駅からバス8分/徒歩30分)
乗船料(往復) 長浜港航路:大人3400円・小学生1700円
今津港航路:大人3000円・小学生1500円
長浜・今津各港からの琵琶湖横断航路:大人3200円・小学生1600円
彦根港航路:大人3200円・小学生1600円
入島料 大人 600円 小人 300円
拝観時間 9:30~16:30(観光船就航時間に基づく)
※料金は2024年6月現在

 

私は彦根港から向かいました。

オーミマリンは平日四便、そのうち14時発の最終便で。

本当は湖西にある今津港からの琵琶湖汽船を利用するつもりだったんですが、宿泊していた京都方面から電車で向かい、山科駅で湖西線に乗り換えるつもりがうっかり乗り過ごして、気づいたら列車は琵琶湖の右側(湖東)を走っており。それも琵琶湖に興奮してしばらく気づかず🤦‍♂️、気づいた時には戻るにしても電車の連絡が悪くフェリーの時間に間に合いそうになく、急遽乗っている路線の先にある彦根港からの行き方に変更したのでした。

そんなうっかりさんのうっかり話は捨ておきまして。

平日、遅めの時間帯、コロナ禍明け、という条件が重なったからか彦根港からはもともとそうなのか、乗客は少なく、二桁いたかどうか。

実は初めての滋賀県、初めての琵琶湖。少し湿った曇り空のした、水をなぞる風を気持ちよく浴びながら、岸辺が消え、向かう先も見えず、日本最大の湖であることを実感しながら40分がたったころ、

島が見えてきました。

まずは都久夫須麻神社へ

港の50m先にある券売所で入島料を払い

「祈りの階段」と呼ばれる165段の階段を上ってまずは宝厳寺本堂へ

というのが順当な参拝順序のようなのですが、私は途中で右に曲がってしまい、気づけば都久夫須麻神社に到着していました。

ここでもうっかりさんこれもなんらかのお導き、と都合よく解釈することにし、最初に神社をお参りすることにしました。

ついてすぐ目に入ったのは茅の輪くぐり。そういえば6月だものな、と過去に得た知識を心の中でつぶやき、作法にしたがって三回くぐります。

”毎年6月末に夏越の大祓(なごしのおおはらえ)として茅の輪をくぐることで、心身を祓い清め、無病息災を願うんだそう。”

過去記事「彦島ペトログラフと七神社めぐりの旅。」から抜粋

 

都久夫須麻神社(竹生島神社)のご祭神は、市杵島比売命=弁才天宇賀福神龍神、そして産土神である浅井比売命の四柱。

竹生島の名前は「(神を)斎く(いつく)島」に由来し、「いつくしま」が「つくぶすま」に転じ「ちくぶしま」になったのだとか。いつくしまと言えば厳島神社、そのご祭神である宗像三女神の一柱は「いちきしま(ひめのみこと)」。市杵島比売命=弁才天・・・と、あら、弁才天に戻ってきました

 

本殿の向かいにある龍神拝所。ここでは、素焼きの器(かわらけ)に願いごとを書いて、湖を望む宮崎鳥居に向かって投げる「かわらけ投げ」という願掛けができます。投げたかわらけが鳥居をくぐれば願いごとがかなうのだそう。

私はかわらけ投げはしませんでしたが、鳥居を含む琵琶湖の眺望に、なんてえ美しい景色だい、としばし見とれておりました。

 

そうそう、階段の途中には黒龍大神と黒龍姫大神が祀られた黒龍堂もありました。

弁才天はインドの女神サラスヴァテイに由緒をもち、中国を経て仏教の神様となって日本に渡ってきました。サラスヴァテイは河の神様であることから、弁才天のお堂も水辺に建立されることが習わしのようです。だから、湖や海に浮かぶ島に祀られていることが多いのですね。それゆえに水との関係が深い龍神とも結びつきやすいのでしょう。弁才天や市杵島比売命がご本尊となっている神社仏閣に行くと、必ずといっていいほど敷地内に龍神を祀る祠やお堂もある気がします。

関連記事:江島神社で推し神様に会ってきました。

 

本殿の近くには弁才天の使いである白蛇を祀る白巳社もありました。

白蛇は弁才天のお使い。過去には、岩国にある白蛇神社をお参りしたことも。

関連記事:神話に出会う:中国地方トライアングルの旅2(出雲大社、厳島神社、岩國白蛇神社)

 

重要文化財「舟廊下」。神社とお寺をつなぐ渡り廊下、ときけば、神仏分離以降の竹生島においては、より重要な役割を果たしているようにも感じます。

ここを渡って宝厳寺に向かいます。

”江戸時代まで宝厳寺と都久夫須麻神社は一体で、「竹生島権現弁才天社」という名称で知られていた。「権現」というのは、仏菩薩が衆生を救うために、神の姿でこの世に現れたものとする神仏習合の考え方である。(中略)
ところが、折しも明治維新の節目を迎えると、新政府は神仏習合を完全否定する。仏教が伝来する前の、神道中心国家をめざすべく、寺と神社を明確に分ける神仏分離令を発したのだ。”

なぜ日本の神道と仏教は仲良しだったのか 神社と寺院が一体化した施設もある
神道と仏教は違う宗教だ。だが江戸時代まで2つの宗教は混じり合っていた。その証拠がいまも琵琶湖の小島に残っている。現地を訪ねたジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は「別々の宗教が仲良く併存してきた国はめずらしい。それは日本人の誇るべき点ではないか」という――。

重要文化財「観音堂」(写真撮影禁止でした)と国宝「唐門」を抜け、

急な階段をのぼって、いよいよ宝厳寺へ。

日本三大弁才天、宝厳寺本堂へ。

宝厳寺本堂弁才天堂)。ご本尊は大弁才天。日本三大弁才天の中で最も古くに建立されたことから、唯一「大弁才天」と呼ばれるそう。

ついた時はだれもおらず、とても静かな時間が流れていました。

ご本尊の立像は秘仏で、60年に一回開帳、次回は西暦2037年とのことで見ることはできなかったのですが、本堂の向かって右側に宇賀弁才天の座像がありました。

宝厳寺で祀られているのは何弁才天?

宇賀弁才天というのは、見ての通り、頭頂部に鳥居と、蛇の身体に翁の顔をした宇賀神(農耕の神といわれていますが出自は不明)を乗せた弁才天。なんとも特徴的な、まさに神仏習合を具現化したようなお姿です。

腕は八本なので、八臂弁才天でもあります。

実は弁才天にはさまざまなお姿があり、私が勝手に推しにしているのは、おそらくこちらの姿の方が一般的にも知られているのではないかと思いますが、二本腕(二臂)に琵琶を抱えた妙音弁才天です。江ノ島の妙音弁才天は裸弁才天としても知られていますよね。

一方、八臂弁才天は、八本の腕すべてに武器を持つ、戦闘要素の強い神様。

あれ、そうすると、どうもサラスヴァティと性質が合わないぞ、と。ヒンドゥー教の創造神ブラフマー(日本では梵天)の妻という側面もあるサラスヴァティは、芸術や学問、言語を司る女神であり、琵琶に似た弦楽器ヴィーナーを持つ姿で描かれます。サラスヴァティと同一視されているのは二臂の妙音弁才天のみではないのかしら。

という疑問が、今回この記事を書くにあたりあらためていろいろ調べていくうちにわきおこり。

ですが、そのへん書き出すと長くなるので、弁才天に付加された性格の歴史は下記論文がわかりやすかったな、とつぶやくにとどめて先に進みます。

『金光明経』における「弁才天」の性格

かわいい!と思わず写真に撮っていたこのだるまは、「弁天様の幸せ願いダルマ」というのらしい。

本堂の外には不動明王も。そういえば、同じ船で来ていた女性三人のうち、ひとりの方が、この前で力強いお経をあげていたのが印象的でした。

 

瑞祥水。弁才天の御託宣により平成14年に掘られた霊泉だそう。参拝者が自由に飲み持ち帰ることもできます。

 

 

彦根航路の最終便で行ったので、復路の船の出発時間まで70分が私の島滞在時間でした。

実際には到着してすぐにどうしても仕事の電話をしなきゃならなかったので正味60分ほどでしょうか。60分でも一通り回れはしたのですけど、やはり少し駆け足感がありました。宝厳寺を取り巻く空気がとても気持ちよくて、できればもう少しゆっくりその場を味わいたかった。自業自得ですがそこはちょっと心残り。

観光地という以上の関心があってゆったり心置きなく見て回りたい方は、滞在時間は、各船の出航時間にもよりますが90分くらい見ておいた方がいいかもです。

私の行き方まとめ(京都方面から):
京都⇔彦根駅 JR琵琶湖線
彦根駅⇔彦根港 徒歩30分
彦根港⇔竹生島港 オーミマリン40分

 

 

竹生島・宝厳寺 ~西国第三十番札所~ │ 宝厳寺探訪