5月18日 快晴(到着後夕方一時雨)
昨日に比べると天国のような楽勝平坦道。はじめて最初から最後まで至福歩行でもあった日。
その理由の1つは、指の間にできていたタコ(本当は魚の目だけどタコと書きたいのでタコ)問題が解決したこと。昨日の骨の折れるくだり坂で「へろへろ」が「へろへ」ぐらいで済んだのはそれが大きい。
その数日前、サンマルティンからアストルガまでの道は退屈はしなかったけれども、もっとも左薬指との対話が激しくなっていた時で、後ろからみてもよれよれ具合がわかったのか、ベンチで休んでいると韓国人のクールな姉さんユリが大丈夫?と声をかけてきた。タコにやられているのだと話すと、中央に穴のあいた保護パッドとクッション材を分けてくれた。これが劇的にきいた。ドクターショールあたりでそういう商品があるのは知ってたけど、こんな小さなパッドひとつで圧痛がこんな楽になるとは思わなかった。なぜもっと早く買わなかったのか、ここ数週間の左薬指との対話はなんだったのか、は考えないようにして、速攻、薬局で類似品を追加購入。
ミズノの靴は確かに足にフィットして歩きやすいのだけれど、靴幅がせまいため、わたしのように指の間にタコができている人は圧痛の原因になりやすいかもしれない。その上、わたしは2つも靴サイズ小さいものにしたから、それも余計圧痛を後押ししてしまったような気がする。カミーノでは歩く距離が半端ないため足が膨張する。その辺も考えて購入した方がいいかも。
ペースや泊まるアルベルゲが似通っていてよく顔を合わせるオーストラリア人の兄弟ベン&ミック(ベンはカミーノ3回目、ミックは4回目)と今日歩いていて、タコを克服した話をすると、ミックが、1回目のカミーノの時に、水ぶくれの上にタコ用パッドを貼って薬局の人に見せたら「それ使い方違う」と言われたという話をして笑わせてくれた。それも想像するだけで痛そうではある。水ぶくれで苦しんでいる人も結構多く、その日はベンがそれでちょっと辛そうだった。幸いわたしは水ぶくれは一度もできていない。タコ問題がなければミズノはやはりホールド感のあるよい靴ではあると思う。
ともかく。サンティアゴまであと十日をきった。難関はあとひとつ。しかしわたしにもう怖いものなどない。さあこいサンティアゴ。タコを制すものはカミーノを制す。←調子に乗らないように。だしサンティアゴに行くのはきみだきみ。
至福歩行であったもうひとつの理由。それは音楽。
巡礼路を歩くと決めた時、道中どうしても聴きたい曲があった。のだけど、バッテリー問題があったのと、なぜか今までさほど音楽の必要性を感じなかったため、聴かずにきた。でも、今日の気分の良さに加え、目の前にはぴったりの風景。今聴くしかないでしょう。というわけで。
映画『ベテイブルー』のC’est le vent betty。
音楽なんて個人的なものだ。だから曲名を明かすのはどこかちょっと面映ゆい。のだけれど。ぶどう畑を歩きながら、耳の中をこの曲が流れている間、本当に本当に幸せだった。
出発地:モリセナカ(7:00出発)
到着地:カカベロス(13:30到着)
歩行距離:23.5km
「星の旅人たちと行くサンジャックへの道」とは、巡礼路を歩くきっかけとなった『星の旅人たち』と『サンジャックへの道』という2つの映画タイトルを合体させた旅タイトル。センスがよろしいとはいえないこの映画タイトル合体旅タイトルはブログ主が得意とするところらしいという噂(前科あり)。時に、星の旅人たち=ホシノ、サンジャックへの道=サンジャで略すことあり。なお、ロケ地巡りという性質を含む行程である以上、関連場所を通過する際に映画の内容に触れることがあります(ネタバレ宣言参照)。ラストにどんでん返しがあるタイプの映画ではないですが、ネタバレ過敏症の方は注意。