旅は別段、出なくてもいい。

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旅語り
旅は別段、出なくてもいい。無理に出る必要はない。その衝動を持たない人生もまたあり。同じ人間でも出たい時と出たくない時もある。必要性を感じないのに無理に勧める気はない。それはそれでその人には別にすることがあるということ。別の衝動に目が向いているということ。それはそれで尊い。それでも、もしふと出たくなったら、そういう時が来たら、やはり出た方がいい、とは思う。腰の重さになしくずしになる前に。その衝動がざわめき始めた人が目の前にいたら私は背中を押す。そこだけは変わってない。もうずっと。
他の人の見てきたものは関係ない。旅慣れた人があなたの初めての旅をばかにしようと耳をかすな。あなたの目がうつしたものは、他の誰でもない、あなたの経験。あなたの目が見るもの。あなたの鼻が嗅ぐもの。あなたの耳がとらえる誰かの会話、汽笛、自然がたてるさまざまな音。あなたの肌が感じるその土地の湿度。あなたがたった今五感のすべてで感じているそれがこれからのあなたの人生にほんの少し違う彩りを加える。
ほんの少し。その程度だ。でもその程度が、あなたの生きる力に意外に大きな作用を与える。かもしれない。