年越しバラナシ旅でバラナシジャンクション駅の有料待合室を利用したので、そのレポートです。
過去記事「スリランカのLCC、FitsAirを使ってみた。」の中で、年末年始の長距離列車移動に手をだし痛い目にあったエピソードを披露しましたが、こりないトホさん、またしても年末年始の長距離列車移動に手をだし、またしても大幅遅延にあいました。それも遅れる確率がとりわけ高いとわかっている冬のバラナシ・デリー間で。
なぜわかっているかというと、15年前の初インド旅で派手な遅延を経験したのがこの区間だから。遅れる原因は主に濃霧。その後、15年間のあいだにさまざまな区間の長距離列車をそれなりに使ってきて、あれ?インドの列車意外に遅れない、と認識は変化していったんですが、それでもこの区間の冬の列車移動は要注意という認識は持ち続けていました。なのになんで?というつっこみは横におき、先に進みましょう。
まず前提として、バラナシの鉄道駅は複数あり、デリー発着の列車が到着する主な駅はバラナシジャンクション駅(Varanasi Jn; BSB)、バナラス駅(Banaras; BSBS)の2つ。自分が今回利用したのがニューデリー駅(NDLS)発着のこの2つの駅なので他は割愛。私は行きはBSBS着の夜行、帰りはBSB発の昼行便を使いました。
行き | 夜行便(Bsbs Sf Express , NDLS 22:50-BSBS 10:00、寝台[2 Tier]) |
帰り | 昼行便(Vande Bharat express, BSB 6:00-NDLS 14:00、座席[CC]) |
寝台列車のシステムと私が好むシートクラスについてはこちら
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往路は、定時きっかりにNDLSを出発した列車はBSBSにほぼ定時に到着。Ixigoアプリで確認すると途中1時間ほどの遅れが発生していたため余裕こいてぎりぎりまで爆睡していたら、定時に到着。あわてて身支度して降りました。なんだ年末運行でも冬でも遅れないじゃんよかった、と安心するのは早かった。復路でしっかり遅れました。
というわけで本記事で書くのは、復路の発車駅BSB、バラナシジャンクション駅の待合室についてです。
有料待合室の場所
レポートといっても駅の建物全体や構内の道筋の写真は撮っておらず(汗)、なので待合室までの道順は文章のみの説明で失礼します。
1.バラナシジャンクション駅についたら、建物を正面にして右手にあるエスカレーターを上がります。
2.2階(インド式では1階)に上がったら右に向います。つきあたりに小さな食堂が見えます。
3.軽食屋を正面にして、左に行けばプラットフォームNo.1~9ですが、そっちには行かず右へ。
4.軽食屋の前を通り過ぎ、つきあたりを右にまがると細い廊下があります。
5.奥まで進むと左手に高級座席クラスのチケットを持っている人用の有料待合室があります。




料金は1時間20ルピー。利用には列車のチケット(もしくは予約がわかるもの)が必要なのでそれを見せて、利用する時間分の料金を払います。私は駅に到着する前に6時間弱の遅延がわかっていたので、5時間分の100ルピー、プラスその場で頼んだコーヒー25ルピーを払いました。
飲食物はコーヒーの他にチャイ、清涼飲料水、スナックやアイスなどがおいてあります。入り口のボードにサモサの文字があったので試しに頼んでみると、早朝のせいかいつもなのか「ない」といわれました。他に乾麺的なものも売ってあったけど、湯沸かし器を持っている人は自分でお湯沸かしてご自由にということなのかしら。

電源やWiFiはあります。トイレもあります。空調が効いているかは不明だったけど、ひとまず寒くなく快適に過ごせる気温が保たれていました。客層も悪くない。6時過ぎの時点では席は十分にあいていて、足を伸ばして座っても問題なさそう。すみっこの電源近くの席を陣取りました。キャリーケースは念のため南京錠で椅子につないで。
さて、ここで5時間。待つとするかー。
が5時間ではすみませんでした。最終的に13時間そこで過ごすことになりました。
他の選択肢 |
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向かいの待合室:私が利用した待合室の向かいにも同じような待合室がありました。聞くとセカンドクラス用とのことでしたが、セカンドクラスといっても寝台「2Tier」もあるしスリーパークラスの2等座席もある。後者を指すのかな。ただ表のボードを見る限り料金は同じだし、どっち使ってもよさそうな雰囲気ではあった。 * プレミアムツーリストラウンジ:駅の建物を正面にして左手すぐのところに(エスカレーターと反対側)プレミアムツーリストラウンジもあります。本当は最初そこに入ろうとしたんですが、フルと断られました。ゆったりソファ席だったし明らかに格上なので、空いていればそこが一番快適かも。 * リタイアリングルーム:あと調べているうちに、3階(インド式では2階)のIRCTCリタイアリングルームにカーテン付きドミトリーがあることをYoutubeで発見。1年前の下記動画情報では3時間200ルピー、12時間500ルピーとのこと。 そこも一応行ってはみたのですが、やはりフルと断られました。もしかしたら男性オンリーだったのかも。 |
※ここからはほぼ雑談です。読んでやってもよいという天使だけおすすみくださいませ。
遅延発生の経過
連絡くれたからとて。
そもそも駅に来る前になぜ遅延がわかっていたかというと、前夜の23時過ぎに、予約時に番号を記載/入力していたスマホに、

明日キミが乗る列車の発車時間、6時間後ろ倒しになりまーす
という連絡が来ていたから。
初めてバラナシ・デリー間の寝台列車を使った15年前、16時にバラナシ駅について初めて発車時間がずれることを知り、どれだけ遅れるかもどこで待てばいいかもわからずごろ寝しているインドの皆様のあいだに割り込んで震えながら夜を過ごし明け方ようやく指定席の予約を持っている人用待合室があることを知ってそっちに移動し朝8時だったか9時だったかに皆が一斉にぞろぞろ動き出したのについてってようやく列車に乗れたあの経験を思うと、連絡があらかじめ来るのはありがたい。ありがたいがしかし。
げー、やっぱり遅れるか、となったのは否めず。Ixigoで前3日の運行状況を確認したところ前日の1月3日が5時間遅れの発車になっていたので、うっすらいやな予感はしてたんですよね。1月1日と2日は時間どおりだったのにい。
突如できた6時間の余白。あなただったらどうしますか?
私の判断は、それでも元の発車時刻である6時に駅に行っとこう、でした。われながら、時間感覚ゆるめなわりにへんなところで日本人的というか小市民だなとは思います。
実は、同じドミトリーのインド人の女の子二人組と同じ列車でデリーに帰ることがわかったので、オートかタクシーをシェアする話になっていたのですが、ふたりとも起きる気配なく。多分それ正解。準備し終わってからも小さく声をかけたけど、反応がなかったので一人で暗い中出発し、オートリキシャでバラナシジャンクション駅に向かいました。駅について掲示板を見上げるとそこには11時50分発の文字(知ってた)。
しかしコイバートナヒーンである。
コイバートナヒーンというのはヒンディ語で「大丈夫」とか「問題ない」という意味です。
そう、問題ない。だって私にはいくつかの算段があったから。まず駅には強い味方、待合室がある。インドの主要鉄道駅にはまずある。ネタはあがってんだ。
「あると思ったらなかった」が発生しがちなのもインドではあるけれど、さいわいバラナシ駅でも無事有料待合室を見つけることができました。うっすら記憶にある待合室とは位置も雰囲気も違っていたけれど、15年も経てばそりゃそうでしょう。
さらに。コイバートナヒーンだったのはもうひとつ理由がありました。
やることがあれば待ち時間は苦じゃない。
今回の年末年始バラナシ6日間の旅は、なにもしない、ヒンディ語の勉強以外は、という体で来ていました。帰りの列車を昼行便にしたのは、日中ならば濃霧の影響が少ないんじゃないかという遅延回避策でもあったけれど、移動時間を単語覚える時間にあてようとも思っていたからでした。
なので、勉強時間ができるのはむしろウェルカムであり。発車時間の遅れがわかった時、よろしい、ではヒンディ語学習セルフ缶詰タイムにしてやりましょうと。やることの選択肢が限られた状況下で一定の安全と空調が約束された待合室ほど集中に適した空間は他にあるだろうかいやない(反語)。
さすがにコイバートある、かも。
とはいえ。
最初に支払った5時間が終わる頃、スマホに再び連絡が入りました。

ええっと、出発17時になりましたわーい。
まじか。アナウンスに耳をすますと、やはり私の列車番号で発車時間の変更を知らせています。17時出発、列車の走行時間は8時間、ということはもはや寝台列車。移動中の遅延がなかったとしても深夜到着確定。車内はおネムの時間です。あははー。は。は。
いいさ、車内でする分だった勉強を待合室でするだけさ。
おなかすいた。
そうはいっても先は長い。もうすぐお昼だしおなかもすいてきたしと、最初の5時間が終了した時点で一旦外に出ることにしました。
そうして近距離にあるモールかカフェにでも行こうかと外に出てオートと交渉したりもしたのですが。結局やめました。めんどくさ大きな荷物をモールに持ち込めるかわからなかったのと、めんどくさせっかくの勉強時間をロスしたくない気持ちが勝ってしまって。勝ってしまって。
お昼は、待合室手前の軽食屋でチョーレーバトゥレーを食べ、小腹が空いた時用にサモサ2つを持ち帰りにしてもらいました。計80ルピー。このサモサ2つお持ち帰りは正解でした。だって。
三度目の正直。
正午頃に待合室に戻り、新たに5時間分100ルピーをお支払い。
しかし15時過ぎ頃。あれ、今さらに遅れるっていわなかった?と先にアナウンスに気づき、しばらくしてスマホのSMSに

さらに20時30分にのびるよー、よろしくね☆
と通知が届きました。うむ、とつぶやいて、17時に追加3時間分60ルピーを支払うなどし。サモサをさもさも食べるなどし。ミルクシェイクを買って飲むなどし。コーヒーやスープ、電気ポットを持参してたんだから、沸かして飲めばよかったな。
さすがに日を超えたりキャンセルになるとウケるなとは思ったけれど、幸いこの3回目のお支払いが最後となりました。

待合室の人数の経過は、入室した時は半分くらい席が埋まっていて、お昼に近づくにつれ少なくなり、夕方から再び増え始めて、20時頃はほぼ満席という感じでした。
が人が増えていこうと、快適なすみっこ席を確保していた私の快適さはゆらぐことなく。肝心の勉強はというと、途中眠くなれば寝たりもしましたが、午前も午後も、基本ずっとちまちま自作単語帳と対峙していました。後半はめっちゃ騒がしくなっていったけど、エアポッズあったし。たまに声かけられたりもしたけど、集中が続かなくなってきた夕方はむしろウェルカムだったし。会話の練習になったし。待合室缶詰学習最強。
しかも合計13時間の利用で260ルピーですから。260ルピーで1日使用できるシェアオフィスってお得では?(シェアオフィスではない)。
ヴァンデ・バーラト急行
さて。20時に缶詰状態を解いてプラットフォームに向かい、まもなく到着したヴァンデ・バーラト・エクスプレスに乗り込みました。20時30分に無事出発。

昼行便というのと時間帯だけで決めて予約したけど、ヴァンデ・バーラト急行は2019年にこの区間で運行開始した比較的新しい花形車両だったらしく。車内はとてもきれいで、見た目ほぼ新幹線。
食事やチャイのサービスも、チャイはChayyosのだし、ヨーグルトはMother Dairyのだし、シャタブディ特急など他の区間の昼行列車よりも若干質が上な気がしました。若干ね。


座席の並びは、CCクラスは3席-2席で、私は3席側。昼行のはずが夜行になりはしたけれど、乗客が少なかったおかげで肘掛けを上げて横になって寝ることができ、快適に朝まで過ごせました。唯一難をいうなら、寒かったことかな。でも持参していたシュラフとヤクウールのストールが役立ちました。
そんな感じで日が変わる前に眠りにつき。こうなったらメトロの始発で帰れるよう早朝到着になってくれという私の思惑通り、走行時間も順調に?遅れ、始発どころか混雑時間帯である9時にデリーに到着しました。
結論。
出発までに14時間半、走行中が4時間半、しめて19時間の遅れ。走行所要時間8時間を足して27時間移動。遅れのすべての理由が霧かは不明だけれど、明け方の列車の窓の外は真っ白でした。
というわけで、冬のバラナシ→デリー間、やはり遅れます。
ただね。翌日以降5日間くらいIxigoで運行状況を確認したのですが、ひどい遅延は発生しておらず。前日は5時間の遅れがあったものの、その前2日は遅れなし。しかもね、しかもバラナシ在住の方に聞いたところでは、遅れが発生しやすいバラナシ・デリー間でもヴァンデ・バーラト急行はめったに遅れないとのこと。
なんで4日だけこんな派手にー。涙。
という気持ちと、缶詰時間をありがとうの気持ちと(やせがまんと本心の半々)。
なので、1月にバラナシに行かれる方は飛行機での往復が賢明かもしれません。時間が限られている旅ではとくに。私も、翌日の予定がとくになく、デリーに住んでいて慣れていて着いたらあとはメトロなりオートなりで自宅に帰ればいいだけ、という環境でなければ、のんきに待合室缶詰うふ❤なんて言ってはいられなかったでしょう。か。どうだろう。ともかく。
冬のバラナシ発列車遅延に対する対処法まとめ
その1: はなから列車は選ばない。(賢明)
その2: 遅延がわかった時点で飛行機に変更。(賢明)
その3: バラナシにもう一泊する。(ツワモノ)
その4: バラナシ観光をめいっぱい楽しむ。(ツワモノ)
その5: モールやカフェで時間をつぶす。(選択肢は少なめ)
その6: 何時間だろうと待合室缶詰ばっちこい。(同志)