記憶の抽出。

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問わず語り

 

駄菓子屋の思い出。
先日の記事からお菓子つながりで、子供時代のお菓子の思い出話を。 子供の頃よく行っていた駄菓子屋というか商店...

 

あの子。
A商店のアイスバーを
今から買えるわくわくを抱え
短い踏切を渡りながら
小さな頭で
「今がいちばんいい時代だなあ」
などと考えている。

あの彼女。
まだ多分に幼く
でも今よりずっと書くことに意識的だった
蒸し暑くクーラーの効かない小さい部屋で
片隅にだれかへの切ない気持を抱えつつ
それはとりあえず押しやって
A商店にむかう子供の
「今がいちばんいい時代だなあ」を
記憶からピンポイントで取り出し
再体験している。
あの子は数年後
ここからこうして覗き見されていることなど
想像もしていないに違いない
という意味不明の優越にひたりながら。
過去を切り取って覗き再体験する
ということをはっきり
意識的におこなったあの日。

少し前の彼女。
長い月日を経て
再び書くことに意識的になり
錆びついたものを落とそうと継続を自らに課し
とは言え毎日ではネタに困って苦し紛れに
前回の記事で使った言葉からの連想ゲームで
次の記事につなげたり
過去の自分にご登場願ったりしている。
そんな中で
一度登場させたAべ商店に向かうあの子と
あの子を思い出している彼女を
今またここで取り出すなどしている。

あの子。
あの子を未来から覗く彼女。
彼女を覗く数年後の。
そして数年後の。
その数年後の。

あの子が彼女になり
少し前の彼女になり
今ここにいる彼女になった。

同一人物の中で起きていること。

と認識しているから
自分のものとして提示しているけれど
つながっているかといえば
今に至るまでの線はみえていない。
点を取り出しているだけ。
今書いている彼女は
少し前の彼女からは
まださほど時間がたっていないので
つながっている感覚がある。

けれど遠い過去はすべて点だ。
つながっている「ことになっている」だけで
そうと認識しているだけで
すべては幻影なのかもしれない。

とほ