5月6日 快晴
今日の抜きつ抜かれつ時のあいさつは、ブエンカミーノ、ではなく、いい天気だね、が多かった。久しぶりの快晴。久しぶりに半袖になり、日焼け止めを二の腕まで塗った。
ここ2日、ポールの支えなしに歩いてみてなんとか行けたけど、左ふくらはぎの内側の筋肉が不穏に張っていて後半響いたので、今日はポール復活。やっぱりペースキーパーがあるとリズミカルに歩けてよい。
あと今日は、最初の10キロ強を、峠の上で暑くなって一枚脱いだ時以外は休みなしに早めにさっさか歩いてみた。なだらかな丘ののぼりおりありで2時間半。
昨日も今日もほぼ同じ距離(20キロ)で似たような道だったのだけど、歩き方によっててきめんに疲れが違うことがわかった。最初の至福三時間をちんたら歩いてしまうと、後半なぜかよけいきつくなる。前半さっさか飛ばした方が自分はあっているよう。カフェに辿りついた時の疲れもここちよい。爽快感がある。次の歩行開始もどことなく軽やか。
ポールありなしだとか、休憩をどこでいれるとか、ペース配分だとか、いろいろ試してるけど、今更ながら歩きも奥が深いなあ。歩きに限らず運動が日常になっている人にとってはあたりまえのことかもしれないけれど。
今日のアルベルゲCasa Nostrasは、新しくはなく質素ではあるけど、この辺の家をそのままアルベルゲにしたような作りでなかなか味があってよい。アルベルゲも、大人数収容の公営アルベルゲは、設備は今ひとつだけど安く(5~6€)、人と再会できる確立が高いし、10€も出せばそこそこきれいでWiFiや空調など設備が整っていて、快適に過ごせる。その中間にこういう宿がある。6.8€の.8ってなんだ、とは思ったけど。バーゲンプライスみたいな設定。いずれにしても、アルベルゲも今のところ毎回それなりの発見があって楽しい。
話が前後するけれど、今日の朝、アルベルゲを出てすぐ、水がないことに気づいて7時前でも開いていたレストランに入った。水を買い、外にあったベンチに座ってポットに水を入れ替え、ふと顔を上げると、目の前の壁にルーミーの詩が書いてあった。インド映画『ロックスター』のラストに出てきて胸をつかれた善悪の彼岸の詩。巡礼の道でルーミー。
こういう瞬間はふいにおとずれる。宗教や特別に信仰するものは持たないけれど、こういう時は何かに見守られているのかもしれない、とふと思ったりもする。アラニスモリセットじゃないけど、わたしもインドにはいろいろと感謝しないといけない。じつのところインドだけじゃない、こういうのってどこかむず痒くて普段はあまり言えないけど、とっくにあらゆることに感謝している。自分のみじめさや苦しみもとっくに人生のおもしろみの一部でしかなく、どんなにみじめだったり苦い気分のさなかでも、ほほう、苦しんだりみじめがっていますな、という観察の対象でしかない。
わたしには人生がおもしろすぎる。ここを今歩かせてもらっていることにも感謝しかない。
出発地:オルニージョス・デル・カミーノ(7:00出発)
到着地:カストロヘリス(12:30到着)
歩行距離: 20.3km
「星の旅人たちと行くサンジャックへの道」とは、巡礼路を歩くきっかけとなった『星の旅人たち』と『サンジャックへの道』という2つの映画タイトルを合体させた旅タイトル。センスがよろしいとはいえないこの映画タイトル合体旅タイトルはブログ主が得意とするところらしいという噂(前科あり)。時に、星の旅人たち=ホシノ、サンジャックへの道=サンジャで略すことあり。なお、ロケ地巡りという性質を含む行程である以上、関連場所を通過する際に映画の内容に触れることがあります(ネタバレ宣言参照)。ラストにどんでん返しがあるタイプの映画ではないですが、ネタバレ過敏症の方は注意。