チャーリー・カウフマンの脳内をのぞける動画、あります。

※当ページには広告が含まれています※
※当記事には広告が含まれています※
映画語り

 

Netflixオリジナル作品の『もう終わりにしよう。』を観た。1週間になる。

 

チャーリーカウフマンの脚本はいつも、心の中であるいは脳内でものすごくおしゃべりしている人が語る物語、という印象がある。

わたしはそのおしゃべりを聞くのが心地よいという変態さんのひとりで、ひさしぶりの新作とはいえ、期待しすぎるとがっかりすることもあるから、と期待は押さえ気味にしていたにもかかわらず、蓋をあけてみるとカウフマン絶好調、脳内おしゃべり炸裂で、うっはーと魂が喜びまくりながら最後までまったく退屈せずに観た。

ひとことでいうと、私にとっては、不穏なホラーにみせかけた不条理コメディだった。え、コメディですよね?

原作は、紹介ではサイコスリラーらしい。

ここからは変態さんフィルターを通した話ですが、カウフマンはその心の中のおしゃべりを放出するためだけに、ストーリーを利用しただけじゃないかと思いながらみていた。利用したというと語弊があるけど、まず脳内おしゃべりの放出/放流ありきで、原作は、その放流にそぐうものを探していて、ピタリと合うから軸として使ったに過ぎないんじゃないかと。

IndieWireの記事を読む限り、やはり相当変えてあるようだ。

”That climax marks a huge shift from the psychological thriller twist of Reid’s book, which takes a literal-minded turn to explain the moments leading up to it. Kaufman has instead bathed the whole movie in ambiguous signifiers right down the final scene. “

すべてわかったとはとても言わない(言えない)けれど、ルーシーが冒頭で窓を見上げたところで、そして車が到着してジェイクと最初の会話を交わしたあたりで、そういう話かな、と予想した展開と合っており、そこはサイコスリラー的なので、多分原作通りなんだろう。

ただ、前述した通り私はもはや脳内おしゃべり劇場うっとり人形と化していたため、わかっちゃった、なんだあ、みたいなことはなかった。同時にそれゆえに原作を読む必要性も感じないのだけれど、それだけ違うなら、好きな人は原作も読んで比べて楽しむ、というのもまぎれもなくひとつの映画の楽しみ方だろうと思う。

ともかく。

脚本家として参加した『マルコビッチの穴』でなんなんだこの人は、とがつんと来てから作品を追い始め、初監督作『脳内ニューヨーク』が決定打となり、気難しくこじらせたこめかみに膏薬はってるおばちゃんみたいなこの男の描く物語がみたい、アダプテーションや脳内ニューヨークのような、皮肉屋でめんどくさい登場人物が出てきて、気が散々めいって、そのまま終わるかと思ったら最後にある種の昇華が待っていたりして、なんだよう愛があるじゃないかちくしょう・・・となったり(ならなかったりする)物語がみたい、とずっと思っていたので、新作が観られて本当にうれしい。

脳内ニューヨークのあとは、しばらくYoutubeでこの人のインタビューばっかりあさって聞いていた。うん、声まで神経質っぽいwと褒めたたえながら。こじらせているけど天才ならしょうがない、なんて思いながら。

で、この1週間も、再びインタビューをきくなどしていたのだけど。

リスニングの練習になってよいのだけど、私の英語耳はだいぶ中途半端で、使ってないとすぐ錆びつく程度なので、一部あるいはだいぶ抜ける。

そんな中、noteで、今回の I’m thinking of ending thingsについてではないけれど、2011年9月30日に開催された英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)主催の講演でのスピーチを、すべて日本語訳に訳してくださってる記事をみつけた。

脚本家チャーリー・カウフマンのスピーチ翻訳|リバーフィルド コウ|note
英国映画テレビ科学技術協会(BAFTA)が2011年に主催した脚本家レクチャーシリーズに登壇したチャーリー・カウフマンのスピーチ全文の翻訳を試みます。

“『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』などの脚本を執筆し、『脳内ニューヨーク』では脚本だけでなく監督もこなしたチャーリー・カウフマンが、2011年に英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)主催による脚本家の講演シリーズでスピーチを行いました。そのスピーチ全文を少しずつですが翻訳して、定期的にnoteに掲載していきます。翻訳の元にしたスピーチのテキストおよび映像の権利元のBAFTAからは許諾を得ています。”

いやもう、本当にありがとうございます。聞き取りという形で力を入れずに没入できるの、本当に本当にありがたい。

私もまだ途中なのでこれから最後まで読もうと思います。チャーリー・カウフマンの脳内をのぞきたいという変態同士のみなさんも(いるのかしらん)ぜひ。

実はスクリプトもBAFTAのWebページにあるので、これでディクテーションなんかもしようと思ったらできるよね。する人がいるのかという^^;

Screenwriters' Lecture: Charlie Kaufman
One of modern cinema’s most celebrated writers, Kaufman’s work includes surreal fantasy Being John Malkovich, cerebral sci-fi Eternal Sunshine of the Spotless M...

 

以下に、I’m thinking of ending thingsのグーグルのインタビューも置いておきます。BAFTAでは大勢の前だし緊張していますが(かわいい←かわいい!?)、こちらはリラックスしてます。2020年ともなるとさすがにもう大御所の感が(ファンフィルター)。

とほ

p.s.
ただ正直言うと、そりゃ天才だけどだけど、アカデミー賞も受賞してるけど、Netflixオリジナルだし、いうてカウフマンだし一般受けすると思わないし、こんなに話題になるなんてとちょっとびっくりもしてる。なんだあ、変態さんいっぱいいたんじゃないかあ(違。

呪文は、言葉の意味がわかっていても効力があるか。
昨日の続きのような違うような。 昨日、昔話のむすびの言葉は、意味がわからない呪文めいたものほど物語の世界と現実とを...