副作用/副反応関連用語の対訳

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言葉/言語語り

今更感があるけれど、ワクチン副反応関連用語の対訳。基本的な用語ばかりですが、まとめて書いてるの意外にみかけないなと思い投下。論文や英語の記事を読みたくなったときの助けになれば。

 

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その前に私の仕事について少し。

今までほとんど書いてこなかったのですが、私の仕事は実務翻訳で、メディカルをメインにやってます。期間は、子供がいれば高校生がそろそろ大学受験にさしかかるくらいの年数。メディカルとひとくちにいっても広いですが(半分あえてぼかしている面も)、上記用語は、耳にすれば勝手に脳内で英語に変換されてしまうくらいには慣れ親しんでいる分野だったりします。ただ、まあ2020年以降それなりにいろいろあり、受注範囲は幸か不幸か医薬から少し離れている面もあります。

ともかく、私は文系出身ですし医療の専門資格を持っているわけでもなんでもないので、また機密情報保持契約も結んでいておいそれとかけるものでもないので、できることは経験から得た用語のシェアのみです。論文や英語記事も読んでみようかな、と思ったときの参考にでもしてもらえれば。

 

副作用/副反応関連用語の対訳

副作用/副反応 adverse reaction (ADR)※カッコ内は略語

専門文書で使われる用語。薬剤もワクチンも同じ。有害(adverse)な反応(reaction)。より厳密に訳すなら、副作用(薬剤による有害反応)はadverse drug reaction、副反応(ワクチンによる有害反応)は vaccine adverse reaction (adverse vaccine reaction)。略語のADRはadverse drug reactionの略。有害事象のうち治験薬との因果関係を否定できないもの。

副作用/副反応 side effect

口語や一般文書で使われるのはこっち。アメリカのメディアの記事やCDCの文書でも使われている。

有害事象  adverse event (AE)

因果関係の有無を問わず、投与/接種「後」に起きたあらゆる好ましくない医療上の出来事。疾患だけとは限らない。

医薬品が投与された患者または被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。
つまり有害事象とは,医薬品が投与された際に起こる,あらゆる好ましくない,あるいは意図しない徴侯(臨床検査値の異常を含む),症状,または病気のことであり,当該医薬品との因果関係の有無は問わない。

治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(MHLW)より抜粋

重篤度 seriousness
重篤な有害事象/副作用 serious AE/ADR

重症度 severity
軽度/中等度/重度の症状 mild/moderate/severe symptoms

因果関係 causal relationship

XXによる副反応/死亡 adverse reaction/death due to XXX(薬剤名), adverse reaction/death caused by XXX など

XXX投与後の副反応/死亡 adverse reaction/death after (or following) administration of XXX (他の投与の表現については後述)

による」は因果関係あり、「」は因果関係に関しては触れていない、と読めます。「因果関係あり」にも強弱がありlikely, probably, possibly, unlikely, not relatedなどがあります。有資格者が判断。

ワクチン vaccine
ワクチン接種 vaccination
治療 treatment, medication など (後者は薬物治療のみ)

ワクチンの接種を受ける 
to receive vaccination, to be vaccinated など

薬剤の投与を受ける
to receive  XXX, to be treated with XXX, to receive treatment with XXX/administration of XXX など

動詞について補足。to take XXX(服用する)は内服薬のみ。外用薬であればto apply(塗布する)とか。ちなみに投与する側(医師)からだと to administer XXX, to perform treatment with XXXなど。※冠詞は省略

基礎疾患 underlying disease/condition
合併症 complication
既往歴 past history, medical history

血液疾患 blood disease, hematological disease
心筋炎 myocarditis
肺疾患 lung disease, pulmonary disease
肺炎 pneumonia

有効性 efficacy
安全性 safety

基礎研究 basic research
臨床研究 
clinical research
臨床試験 clinical study
治験 clinical trial

非臨床試験(動物を対象とする試験)non-clinical study in animals
臨床試験(人を対象とする試験)clinical study in human subjects

subjectsは被験者。患者 (patients)も健常者(healthy volunteers)も含まれます。また臨床試験の中に治験が含まれますが、実際の文書では「治験」でもclinical studyになっていることも多いです。包括的にはstudyなので。
治験と臨床試験の違いについて、わかりやすく説明しているサイトのリンクを張っておきます。
「治験と臨床試験の違いとは?」(福井大学医学部附属病院 治験管理センター)

 

第I相試験 Phase I
第II相試験 Phase II
第III相試験 Phase III

基礎研究から製造販売後調査までの流れについては、図がわかりやすいこちらを。
治験の流れ(旭川医科大学 臨床研究支援センター)

製造販売後(市販後)調査 post marketing surveillance (PMS)

第III相までの結果が基準をクリアしていれば、当局に申請して晴れて承認となるわけですが、承認後も長期の有効性や安全性を追跡 (follow-up)する市販後調査などがあり、結果が思わしくなければ承認取り下げになることもあります。phase IVと呼ばれることも。

比較対照試験 controlled study
二重盲検試験 double-blind study
非盲検試験 open-label study
治験薬 study drug
プラセボ(偽薬) placebo

製薬会社 pharmaceutical company
医療専門家 health care professional
医療提供者/従事者 health care provider
インフォームド・コンセント Informed Consent (IC)
市販後医薬品安全性監視 pharmacovisilance (PV)

規制当局 
regulatory authority/agency
規制当局の承認 regulatory approval

日米欧の規制当局
厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW)
米国食品医薬品局 Food and Drug Administration (FDA)
欧州医薬品庁 European Medicines Agency (EMA)

 

その他の重要略語(関連文書を読むうえで)

日・医薬品医療機器総合機構 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA)
米・疾病対策予防センター Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
欧・欧州委員会 European Commission (EC)
世・世界保健機関 World Health Organization (WHO)
世・医薬品規制調和国際会議 ICH ※正式名称は長いので省略

きりがないのでひとまずこれくらいで。

MHLWとPMDAはリンク張ってありますので、副作用情報など知りたい方は定期的に確認するといいかもです。

他にも治験関連用語を知りたければ↓
臨床試験の基礎用語(東京大学研究所付属病院)(日英対訳と各用語の説明あり。他にも対訳サイトはあるけどひとまず)

疾患名などを調べたい時は↓
ライフサイエンス辞書

 

最後に私のスタンスについて少し。

ソースの優先順位は一次情報最優先ですが、そうはいっても探すのも困難だろうし、専門家も意見がわかれている。疾患そのものにせよワクチンにせよ、出回るさまざまな人の意見に振り回されることもあるでしょう。どうせ見てしまうならせめて両方の情報を、ではあるけれど、つい信じたいどちらか一方に偏るというのはある意味しょうがないのかもしれない。そのうち自分が得ている情報は絶対のように感じることもあるだろう。そこに危機感を感じて意識して両側を見るようにするか、できないならどちらからも距離を取る、と各自が線引きしていくしかないと思う。情報は変わっていくもの、ということも忘れずに。

現在さまざまなことが移り変わる過程で、ことワクチンに関しては、環境、体質、年齢などによって、本当に各自の判断しかない、というのが強まるばかり。私も現段階ではこうする、というのはあるけれど、それが正しいかはわかりません。その根拠を書こうとすればするほど、保身のようになるし、違う選択の人を(そのつもりがなくても)暗に否定してみえるかもしれない。それはしたくない。実際家族は私と違う立場ですが、でしたが、話はしたけれど、意思を優先しました。むしろ私が考えすぎだったね、という流れになればいいくらいに思っている。

最終的には、打つも打たないも、そして3回目、4回目があろうと、その人の心が安心する方を、と思っています。まあその前に罹らない生活を、ではあるけど、だれもが罹る可能性は今や普通にある。

いずれにしても、私は、専門家だろうと個人だろうとメディアだろうと、推奨も反対も、相手側を暗にディスる思考がにじみでている論調とは距離を置いています。

命に無関係ではないから、新しいことがわかるたびに、都度、皆ゆさぶられるだろう。だけど、不安で人を攻撃することのないように。だれも救わない。分断が大きくならないように。それが一番悲しい。私はそれだけです。

とほ