星の旅人たちと行くサン・ジャックへの道 30日目:カミーノ恋愛について。

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サンティアゴ巡礼

 

5月22日 霧のち晴れ

霧の中の出発。

交わしあうブエンカミーノ、中でも朝いちのが一番好きだ。でもそれもあと五日。

巡礼証明書がもらえるサンティアゴまで残り100キロの出発地点サリア。この町以降は急に人が増えて「3車線」になると聞いていたけれど、なるほど。まだ3車線ほどではないにしても、横並びに歩く人々は明らかに増えた。霧の中でもずっと先まで進む人々の列が見える。5キロ先のカフェで休憩していても続々と人が入ってくる。ざわめきの大きさ。カフェに置かれている土産ものの数が格段に増えた。中にはキティちゃんもどきの品もある。

100キロ歩いた証明をもらうにはサリアでスタンプをもらっておかないといけないのだけど、実際には、100キロ地点であることを示す標識は、カフェ休憩した町からさらに8キロ先のフェレイロスを少し過ぎたあたりにあった。

ところで唐突ですが、カミーノ恋愛について。

ひとりずつで歩いていた者同士が、いつのまにか一緒に歩いていて、ある時アルベルゲから手をつないで出てくる。かわいいなあ、と思う。

グルーピングについて書いた時に、グループになるのは同じ言語同士が多いみたいとは書いたけど、もちろんそれだけにとどまるはずもなく、わたしのようにベースがひとり体質の人もいれば、人と一緒にいることが自然な人もいる(サンジャンからしばらくは毎日のように顔を見ていたドイツ人のコニーは、来る決心がつかなかったのは、ずっとひとりなのか怖かったからだといった)。言葉がまったく通じなくてもずっと一緒に歩いていたクリステンとクリストフのような二人もいるわけだし。あとは、なんらかの惹きがあって、たとえば純粋にうまがあって、とか、運命の師弟関係的絆を感じた、とか、知らないけれど、さまざまな流れから長く一緒に歩く関係は生じうるのだろう。でも言葉をものともせずに一番自然に共歩きになりやすい要素は、やっぱり恋愛的なそれかな、と思う。

こういう話はみずみずしい話をききたいだろうし、わたしの話をしてすみませんだけど、去年までの今となってはよくわからない遠距離にとどめを刺す意味でもカミーノ中に出会いがあるといいなと思ったとか思ってなかったとか、とにかくまあ、そんな気持ちもゼロではなかったのだけど、ふたをあけてみれば、めんどくせえな(こら!)とか、オレのカミーノを邪魔すんな(こら!こら!)という気持ちになっているので、どうも今は気持ちが恋愛には向いてないみたいだ。まあ、単純にピンと来る人がいなかっただけかもしれないけれど。

でも、お互いがピンときたなら、歩をともにすることはこの上なく楽しいものになるだろう。歩きながら関係を深めていけるだろう。だって歩くほかにすることは会話くらいしかない。何を考え、何に目をみはり、どこで休みたくなるか、リズムは同じか、助け合えるか、知り合う時間はたっぷりある。

がそうはならない場合も存在する。一方では、歩を合わそうとする者と微妙にずらそうとする者の攻防戦がどこかで繰り広げられている。
との噂です。

出発地:サリア(7:30出発)
到着地:ポルトマリン(14:50到着)
歩行距離:21.6km

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの「フランス人の道」780km巡礼日誌。
「星の旅人たちと行くサンジャックへの道」とは、巡礼路を歩くきっかけとなった『星の旅人たち』と『サンジャックへの道』という2つの映画タイトルを合体させた旅タイトル。センスがよろしいとはいえないこの映画タイトル合体旅タイトルはブログ主が得意とするところらしいという噂(前科あり)。時に、星の旅人たち=ホシノ、サンジャックへの道=サンジャで略すことあり。なお、ロケ地巡りという性質を含む行程である以上、関連場所を通過する際に映画の内容に触れることがあります(ネタバレ宣言参照)。ラストにどんでん返しがあるタイプの映画ではないですが、ネタバレ過敏症の方は注意。