星の旅人たちと行くサン・ジャックへの道 31日目:落とし物をみつけるミッション。

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サンティアゴ巡礼

 

5月23日 霧のち晴れ

引き続き霧の中ポルトマリンを出発。

昨日より霧が濃い。拭いても拭いても髪にすぐつゆがつく。草むらのいたるところに水滴が露呈させた白い蜘蛛の巣の花が咲いている。ようやく日差しが季節に追いついてきてスペインらしいと思える陽気になってきたとサリアで思ったけれど、最初の町のカフェでの朝ごはん休憩ではコーヒーから湯気が立っていた。

そんな中、今日はミッションがあった。レオンまでの数日間を一緒に歩いた日本人三人のうち、現在わたしの1日先を歩いているsさんから、ポルトマリンから2〜4時間のあたりでサングラスを落としたのでもし見つけたら教えてほしい、との連絡がきたのだ。カフェまでは持っていたけどそのあと1時間以内に落としたらしい。だめもとという感じだったし、わたしが了解👍の返事を送った時も、そんな必死にならなくていいから風景を楽しんでください、と送ってきた。

でもわたしは見つける気満々だった。見つかるとすごいじゃない、なんて。で、目を皿のようにして2時間地面に集中し、途中にカフェがあれば寄ってたずねたりもした。でも結果的には見つからなかった。

コーヒーを飲み終えてそのカフェを出発する時、ベンやミック、ブリジット、そのほか見知った顔があった。大勢の人がいた。立ち上がって、バックパックのベルトをしめながら、一瞬、今少し勇気を出して注目をあつめ、「友達が昨日、この先2時間くらいの区間でサングラスを落としたので、もし見つけたら今日パレスデレイの公営アルベルゲに泊まるつもりだから、教えてプリーズ」的なことを伝えたらどうだろう、という考えが頭をよぎった。

1日たっている。人が拾っている可能性もある。今や1日に何人ものペレグリーノが通る区間だ。だけど、目が増えればもしかして、もしかしたら、草むらに隠れたサングラスをだれかが見つけるかもしれない。こういう頼みを聞いた時の人の反応はさまざまだし、もちろん面倒くさいと思う人もいるだろうけど、ゲームのように乗ってくれる人もいるものだ。それに、少なくとも言うだけはただ。言えば少なくとも確率は確実にあがる。

けれど結局何もいわずカフェをでた。それから2時間、ひとりの目で探し続けた。人にものを頼む、ということができないのはわたしの欠けたところのひとつだと思う。

4時間を過ぎ、なかったのだとあきらめてから先もなんとなく、自分がなくしてきたもののことも思い出したりして、人々が道でおとしていったものをサンティアゴにスピーディに集めるシステムなんてものをつらつら考えたりしていた。でも、できることなら見つけたかったんだよ、ほんとう。

今日の到着地パレスデレイに着く頃には晴れていた。sさんから、そっち天気どうです?とメール。天気予報あたらないですよね、と。確かにここ数日雨マークなのに2日とも霧のち晴れだった。晴れると日差しは強い。ようやくスペインらしい陽気。

ガリシア州ではタコ(プルポ)料理が名物。とくに明日通過するメリデが有名らしく、途中で寄って食べたい気持ちもあったけど、午前中早いうちだろうし、と、この町でみつけたプルペリア(タコ料理のレストラン)で食べることにした。塩で茹でたタコにたっぷりのオリーブオイルとパプリカがかかったシンプルな料理。だけど、新鮮でおいしく、ビールによく合った。

 

出発地:ポルトマリン(6:40出発)
到着地:パレス・デ・レイ(13:50到着)
歩行距離:24.1km

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの「フランス人の道」780km巡礼日誌。
「星の旅人たちと行くサンジャックへの道」とは、巡礼路を歩くきっかけとなった『星の旅人たち』と『サンジャックへの道』という2つの映画タイトルを合体させた旅タイトル。センスがよろしいとはいえないこの映画タイトル合体旅タイトルはブログ主が得意とするところらしいという噂(前科あり)。時に、星の旅人たち=ホシノ、サンジャックへの道=サンジャで略すことあり。なお、ロケ地巡りという性質を含む行程である以上、関連場所を通過する際に映画の内容に触れることがあります(ネタバレ宣言参照)。ラストにどんでん返しがあるタイプの映画ではないですが、ネタバレ過敏症の方は注意。