日本橋箱崎にあるホテルでおこもりしている時に、隅田川を渡った先が清澄白河であること、そこがコーヒー激戦区ということを初めて知った。
ホテルを梯子しようと決めた時点で、持ってきていたコーヒー豆が足りなくなると気づき、いいやどこかで買い足せば、とグーグルマップを開いたのがきっかけ。
いくつか候補をみつけ、その中には有名なブルーボトルコーヒーもあったけど、今回はいいやと外し、別の2つの店に絞った。
その店に決めたのは、だれかのレビューだったのか、「中目黒のオニバスコーヒーに似ている」と紹介する一文がひゅっと目を捉えたから。固めのプリンも売りにしているカフェ併設店に決めかけていたけれど、その一文を見て、もう一つの店に行ってみることに決めた。
ちなみにオニバスコーヒーに行ったことはない。数年前、日比谷で映画を観る前に友人とランチをした店で出された食後のコーヒーがあまりにも自分好みの酸味だったので、思わず種類はなにか尋ねたら、オニバスコーヒーから仕入れていますとの回答を得た。それ以来、オニバスコーヒー=私好みのコーヒーを出す店として脳内にインプットされた。
と、ここまでの流れで、なにかものすごく「あちしコーヒーにこだわりがある人」臭を放っている気がするので一応ことわっておくと、コーヒーは好きだけど、区別できる微細な味蕾は持っていないし、深い知識もない。ただの酸味バカである。
日常使いはモカ、キリマンジャロ、グアテマラあたり。キリマンジャロを与えておけばとりあえず機嫌がいい。コーヒー専門店で知らない豆を試す時には、酸味があるのがいいでっす!と耳に手をつけて元気よく挙手する(挙手はしない)。厳密にはもう少し細かい好みのバランスがあるのだけど、だれも興味ないだろうから割愛。
そういうわけで、部屋の清掃が入る宿泊3日目の昼間、酸味コーヒー豆を求めて一行は清澄白河の奥地へと向かった。
ホテルから出てすぐの清洲橋を渡り
渡り
わ
たるはずがなぞの写真撮影トラップに引っかかってしまい、
ほんの数分のところ
二十分くらいかけて渡り
清澄公園へ。
買っておいたパンでランチしたあと
ついに清澄白河へとわけいり、
見つけたフォントに悶えたり、
カフェと思しき外観に悶えたり、
理科室に吸いこまれそうになったり、
椿に吸い込まれそうになりながら、たどり着いたのは。
ARiSE COFFEE ROASTERS(アライズ コーヒー ロースターズ)。
小さい自家焙煎のお店だけれど、駅から離れた場所にも関わらず、到着した時にはすでに先客が数名いた。店内と外に椅子が幾つか置いてあり、混んでいたら店内で飲むのは躊躇したところだけれど、ほどよい空き具合で、ちょうど空いた椅子に座ることにする。
おすすめを聞くと、グァテマラ、重めのミャンマー、赤ワインとイチゴの風味(覚え間違いだったらすみません)のドミニカの3種をすすめられ、中でもドミニカがとくにおすすめだというのでそれにした。
待つ間、許可を得て店内の写真を撮らせてもらい、店内の装飾からご主人は旅好きな人なのかなと推測したり、清澄白河コーヒーマップというのがあったのでそれを眺めながら、あらためて清澄白河はコーヒーの町なんだなと実感するなどし、正直今までは大江戸線・半蔵門線の始発/終着駅くらいの認識しかなかったけど、自分にとってなじみの薄い町を散策するのは新鮮でいいな、それも有名すぎない町がいい、などなど考えているうちにコーヒーが入ったので、お代を払って淹れていただいたコーヒーを受け取り、おおうこれがドミニカかと口に含んで味わいながら、今度は、常連さんと思わしき人との「今日のおすすめ」話から、奥にはタイやインドを含め個性的なアジアの豆もあるらしいこと、久しぶりのお客さんとの会話から、近くのカフェの開店閉店事情を聴取するなどし、最後まで飲み終えると、お店をあとにした。入ってから出るまでずっとほどよくお客さんの出入りがあった。愛されている店なんだろうと思う。
それでね、えと、その、肝心の豆ですが、買いませんでした。
お客さんとの会話を邪魔したくなくて買いそびれた・・・というのは言い訳で、とてもおいしかったんだけど、酸味ばっちりだったんだけど、あの、その、ばっちりすぎた・・・。迷ったのだけど、たまにすごく飲みたくなるような味だけど、今欲しいのは毎日使いのやつ、キリマンくらいの酸味・・・と思うなどし、気づいたら足が店の外に出ていたというしだい。
結局、コーヒー豆は、2件目のホテルのある浅草で買いました。しかもドンキ(汗)。
ね、言ったでしょう。私コーヒーの味わかってないやつ。
酸味バカを名乗るにはまだ早い。修行します。
とほ
そういえばここでもコーヒーの種類、たずねておった。酸味を求めて三千里。