1月に劇場で観た映画。

映画

 

観た順番に。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

原題:Spider-Man: No Way Home(2021年/アメリカ/英語/148分)
監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、ゼンディヤ、ベネディクト・カンバーバッチ他(他!)

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(以下EG)以来の初マーベルだったんですが。

まず私のMCUへの姿勢を説明すると、熱心なファンではない、といいながらなんだかんだ9割は履修した状態でEGの劇場公開を迎え、なんだかんだ作り上げられたひとつの世界の終結として感無量になったりもしたんですけど、ただもうここで一区切りでいいな、この先は追わなくてもいいや、ドラマまで始まっちゃってきりないし、くらいの熱量だったんですね。

で、スパイダーマン単体はどうだったかというと、マーベル前2作(ジョン・ワッツ版)は履修済み、マーベル以前はサム・ライミ版を3作中2作、アメイジング~は未履修、という極めて中途半端なあたりにおり、どうしようかなあ、せっかくだからまあ一応、という感じで、今回のNWHに臨んだわけです。

で、すみません、前半は正直やはり退屈してて、マーベル本当もう飽きた、くらいに思ってた。けど、あれですよ。観た人なら説明不要、観てない人にはネタバレ過ぎて到底言えないあれ、ファンなら、いや「そこまで熱心なファンじゃな」かろうとそこそこ観続けてきた人なら、確実に「やってくれおった!」とあがりまくる⤴ことまちがいなしのあれですよ。

あれ以降は、え、物語的にありなん?とする自分と、設定なんだからありとする自分が拮抗しつつも、俄然おもしろがってる自分がいましたね。「治す」というのにもやついたり、記憶はリンクしあっているのだからその終わりは無理がない?とか、不完全燃焼はあったけど、まあスパイダーマンに限らずMCU全体、予定調和的なむりくりのほころび直しはあるし、なんかもう「あれ」がおもしろかったのでよかったことにする。

それにしてもドクターストレンジも世界観は嫌いじゃなかったりするけど、マルチバースに手を出したら、それこそもう本当になんでもありの世界になってしまうのでは。物語は制約があってなんぼ・・・と言いだしたらNWHのあれを否定してしまうことになるのだった(汗)。このへんで終わることにします。

このへんで終わるけれども、MCUの善悪については思うところがあるみたいでメモが結構たまっているし(←なんだかんだで好きなのでは笑)、マーベルもういいや、といいながら、「どうしようかなあ、せっかくだからまあ一応」とこの先もちょいちょい押さえていきそうな気がしてる・・・。

『グレート・インディアン・キッチン』

英題:The Great Indian Kitchen(2021年/インド/マラヤーラム語/100分)
監督:ジヨー
ベービ
出演:ニミシャ・サジャヤン、 スラージ・ヴェニャーラムード他

インド・マラヤラム語映画。インドのキッチン、というだけでおいしそうなイメージ漂う映画ですが、実際そうなんですが、そうでありながら、とんでもない胸クリ映画でもあります。あ、まちがえた、リはソに変換してください。そして胸クリもといソは、この映画に限っては、このうえなくうまく描けているという点で誉め言葉です。キッチンから徐々に発展していく嫌気臭気表出のうまいこと。

おいしそうな料理の数々はまさにグレートインディアンキッチンだし、同時にものすごい皮肉でもある。うまい、とうならされるけど、でも、これはけしてインドの台所だけの話じゃない。日本のどこかでも全然起こってそう、いや確実に起こっているだろう話。

家の中の男性群は言わずもがなだけど、親戚のおばちゃんもなあ、ブラックティー男もなあ、あんな親戚おるおる。自分は正しい側にいるつもりで無自覚な言動を立場の弱い者に繰り出すとか本当あるある、微妙にニコっとしたりもするから厄介なんよなあ、う、昔の傷が・・・となるなどした。

主人公が強い人であったのが救い。家の中で起きていることは家の中で起きていること。外に出る勇気を出すまでが、家の中にいるうちはとても無理に思えるかもしれないけれど、外に出さえすれば、すがすがしい世界が広がっている。だから家を出るのが正解、と安易にいう気はないけれど。尊厳を踏みにじられた時の選択肢の一つとして押さえておけると、行き場をなくして最悪の事態に陥る女性が少しでも減るはず。減るといい。

『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』

英題:I’m your man(2021年/ドイツ/ドイツ語/107分)
監督:マリア・シュラーダー
出演:マレン・エッゲルト、ダン・スティーヴンス他

とくに恋愛もパートナーも求めていない学者の主人公が、研究費を稼ぐため、ある実験に参加して、自分の理想をプログラミングされたアンドロイドと生活することになる。

今後AIの時代に突入していくにつれ、これからこういう話は多くなっていくだろうな、普通に、と思った。ぶっ飛んだ話のようでありながら、すでにどこかありえるように受け取っている自分がいたりして。

ムード作りも甘い言葉も、なんでも完璧にこなすアンドロイドに対し、主人公アルマは「正しい言動ばかりでうんざり」と言い放つシーンがあるのだけど、人は、他人が思い通りにならないと不満を持ちもするくせに、100%希望通りだとつまらないと不満をもつ生物であり、自分以外の人間の例外、不規則性、予測不可能性を求め、そこにこそ人間味を感じるところがどうしようもなくあるんだよなあ、とつくづく感じた。

ドイツらしいというか、ただのロマンチックでは終わらず、妙に哲学的になっていき、ラストは、正直どう受け取っていいのか完全にはわかっていない。悪い映画ではなかったし、いくつか印象的なシーンやセリフはあったけど、全体的に抑揚の少ない映画だったかな。

超絶イケメンのアンドロイドを演じるダン・スティーヴンス、私はおはつだったんですが、イギリスの俳優さんなんですね。ドイツ語が1ミリも話せない私からは、普通にドイツ語で会話しているように見えたけど、「なぜロンドン訛りなの?」みたいなセリフがあって、ヒロインの好みを取り込んでいるアンドロイド、というように映画の設定にうまく組み込んであった。

あと『ありがとう、トニ・エルドマン』で熱唱を披露してくれたザンドラ・ヒュラーも、アンドロイド紹介所の相談員として出演していた。『ありがとう、トニ・エルドマン』、好きだったなあ。あっちの方が、私は笑えたしほろりとしたかも。

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

原題: The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun(2021年/アメリカ/英語・フランス語/108分)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ジェイソン・シュワルツマン、ベニチオ・デル・トロ、レア・セドゥ、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、ボブ・バラバン、トニー・レヴォロリ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、アレックス・ローサー、クリストフ・ヴァルツ、ジェフリー・ライト、リーヴ・シュレイバー、マチュー・アマルリック、ウィレム・デフォー、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、スティーブン・パーク、エリザベス・モス・・・・・・
(だって選べない)

短くすますつもりでいたら、他の映画が長くなったうえに、フレンチディスパッチ、出演者だけで長くなっちまったので、別途来週あたりにアップします。とりあえずひとことだけ、始まって1秒目からウェス・アンダーソン、おしまいまで1秒残らずウェス・アンダーソンでした。

私はウェス・アンダーソンが好き…なのか?『フレンチ・ディスパッチ以下略』の感想。
私はウェス・アンダーソンが好きだ。 この時点で、全国で推定8564人のうなづく音と推定8563人の引く音が空耳で聞こえ...

(書きました。)

 とほ

p.s.
あと1月は、最近ではめずらしくインド映画10本以上観た月でもあった。積んDVD&ネトフリ(VPN経由の他国ネトフリ含む)。個人的に好きだった/おもしろかった映画のトレイラーを貼り付けておきます。

『Trapped』(DVD、英語字幕)

 

『Detective Byomkesh Bakshy』(DVD、英語字幕)

 

『Bhavesh Joshi Superhero』(Netflix、英語字幕)

 

『Love Sex Aur Dhokha (LSD)』(Netflix、英語字幕)

 

『Chandigarh Kare Aashiqui』(Netflix、英語字幕) 

※『Love Sex Aur Dhokha (LSD)』と『Chandigarh Kare Aashiqui』は、日本のネトフリの言語を英語設定にすれば、VPN通さなくても、英語字幕で視聴可能。