マシニストロケ地、続きです。
がりがりに痩せ細った男が部屋の中で重そうな何かを転がしながら布に巻いている。窓の向こうの暗がりには三本の煙突。
冒頭のシーン。
このあと男は、巻いたものを捨てに、煙突の先にある海岸に向かいます。
前回もそれっぽいことを一瞬書いたのですが、この映画ではいくつかの建物が象徴的に使われています。
そのうちのひとつが前回取り上げた「現場」の給水塔。
そして今回のこの三本煙突。
給水塔も、三本煙突も、あと目の前の海に伸びる、これはなんだろう工場からの排水管かしら、も、奇妙に無機質で、印象がうすいのにどこか示唆的。
映画の雰囲気にぴったりで、よくこんな場所選んだなあ、というか、そのように演出したんですよ、ということなんでしょうけれど、ロケ地ラバー的視点からみてもそのチョイスは絶妙で、
それは、そんな100人中99人は素通りするような建物にひとり勝手にうっとりできる、人はそれをオー・ティー・エー・ケー・ユー気質と呼ぶのかもしれないそうなのかもしれない幸福感をもたらしてくれたからだけではなく、 ←?
とくに煙突なんですけど、
前回バルセロナに来たのは2010年、長旅の最中で滞在はその時も3日間くらいだったかな、やったことといえば、ガウデイとかガウデイとかバルとかダンスじゃないほうのフラとかガウデイとか
そんな感じで中心部を近視眼的にうろうろしていたせいか、こんなものが遠くにそびえていることにまるきり気付いておらず、
今回はじめて気付いてみて、だけどいったん知ってみると、今度はなぜ気付かなかったんだろうというくらいまあいろんなところから、とくにちょっと高台になっているところから見れば必ず目に入るほどのある種立派にバルセロナのランドマークだったんですよね、
形状はあの未完成の歴史的建築物に似ていなくもない、というのは気のせいでしょうが、
観光名所というわけではない、だけど住んでいる人にとっては、これもきっとあたりまえにバルセロナの一部なんだろう建物がロサンゼルスのどこかという設定で使われていた、というのは、はじめて知った私にはとてもおもしろい発見だったのでした。
前置きが長くなりましたが、場所の説明をさくっと。
火力発電所跡なんだそうです。あたり一帯は2枚前の写真からもわかるように工場地帯。
場所はSant Adria de Besos、
トラム(路面電車)のEstacio de Sant Adria(T6)で降り、そこから海岸まで歩きました。ちなみにどの地下鉄の駅からトラムに乗り換えたかはメモなし(汗)。
L4のBesos駅だった気はしますが、このへん終点がわかれていてどこまで行くか迷ったり、電車が動かず結局降りなさい的なことが発生したりでうろうろした記憶もあるので話半分で。
あ、「T-10」(10回チケット)で行きました。75分以内なら違う乗り物への乗り換えはフリー、なので行きは1枚の使用でOKでした。
トラムの停留所のある通りを背にして海までは一本道、ビーチに出ると、右側では人々が海水浴を楽しんでいました。手前のおにいさまが半ケ○なのはねらったわけではないです。
で、その左側に。
ひろい空間。煙突の背景は青空。背後は青い海。
ひとけはなく、壁一面に治安をやや不安に思わせるグラフィティ。
印象的だったのは音。
煙突につながる建物から聞こえてくる、巨大な歯車がまわるような機械音。
有機物がのみこまれたらひとたまりもないだろう、無機物のはるかに響く音。