マシニストロケ地巡り、続きです。
何度も使いまわしているこの三本煙突が遠くに見えるこのバルセロナ市街写真は、テイビダボ遊園地から撮ったものでした。
バルセロナ周辺で一番高台にあり、かように眺望がよく。
有名な遊園地ではあるようなのですが、市内に観光名所が豊富すぎ&少し離れているせいか、わっさーと観光客があふれる感じではありませんでした。かといって閑散としているわけではなく、アトラクションも豊富だし、広い園内をのんびり自分のペースでぶらつくこともでき、なかなかなスポット。穴場を探してる方はおすすめかもです。
ていうか。みなさん。ここ、マシニストのロケ地ですからね。
と、一体どのみなさんが共感してくれるというのか、自分でもあてのないまま訴えてみましたが、そんなチビダボ(ティと打つのがめんどくなった)遊園地、カタルーニャ広場から直行バス(T2A)で行けます。残念ながらT-10は使えませんがそんな高い金額ではないです。2013年当時で2ユーロ代。時間も30分くらいだったかなあ。いろいろとあやふやですみません。
さて。『マシニスト』の話に戻ります。
監督のコメンタリによると、ロサンゼルス近郊サンタモニカ・ピアにある遊園地という設定だそう。
「遊園地は丘の上にあり角度でバルセロナの町が見えてしまう。そこでカメラアングルを低くして撮影することになった、アメリカの都市でないことがばれないように」
とのこと。
けど、そこ苦労したのに、バルセロナの裏番長的ランドマーク、三本煙突は使っちゃったんですね、おもいきし印象的な方向で、というところが個人的にはおもしろくもあり。
遊園地のシーンはすべてトレバーの”それ”なわけですけど。
観覧車がみつからなかったことが入り口になったのかどうなのか、私もその中に取り込まれてしまったかのような、妙にふわふわと不思議な感覚のまま遊園地をまわっていました。
天気もよく、バルセロナ滞在中続いていたほんわり幸せ気分はここにきてマックスに。
それはさておき映画の話。
このあとふたりはルート666というアトラクションに乗ることになります。
このアトラクションはセットを立てたとのことなので……
位置的にはトンネルの先にあったこの建物周辺かなあ、と、とりあえず写真はとってみましたが確証はなし(違うっぽい)。
なにげにキリスト教色の強い映画だと思います。
ルート666をルート66とかけているのは言うまでもないですが、ルート66というのは、CBお住まいのサンタモニカからシカゴに伸びた旧道の名称であり、アメリカといったらルート66、ルート66といったらアメリカ的な
と書いた自分の語彙のなさに今がっくりきてるとこですがともかく、アメリカ大陸横断を一度は夢見たことのある冒険野郎/乙女やアメリカの文学や映画好きさんなら絶妙に胸をくすぐられる……
というかそれじゃないじゃん書こうとしたの、書こうとしたのは666の方。
666が新約聖書の黙示録なのはこれも言うまでもなく。
とすると、彼女の名前がマリアなのも偶然じゃないのかな、と観た当初は思ったんですけど、これはトレバーが冒頭で読んでいる『白痴』の登場人物だと監督がコメンタリでおっしゃっていたので違うかも
とはいえ、トレバーが何度も選ぶことになる左右に分かれた道は、これはおそらくラッパの吹かれる日、つまり審判の日の振り分けだろうと。
ただ、そこまでキリスト教的世界観をこめたかったかというとそういう匂いもしないですし、そこは「かもしれない」にとどめてるような、西洋という背景として不自然じゃない宗教としてのそれなんだろうかなと
そのへんの解釈はともかく、だけど、その必要性というのはくっきりとあって。
だって、これ、ひとことでいうと、ものすっっごいいきおいで救いを求めている男の話だもの。
映画の雰囲気自体は、いきおいなんてものとは間逆だけど。受け入れがたい現実に蓋をしてしまったゆえに陥った状況から、蓋の下の自分がもう必死で抜け出そうともがいている男の話。
途中、警察に追われて入り込んだ地下鉄で下水道に逃げこむシーンがあるのですが、そこからなんとなく連想したのは、マンホールの上と下にいる男の姿。
マンホールの下の暗闇に真実を知る自分がいる。蓋の上には現実を見たくない自分がどっしり座っている。マンホールの上の地上は明るいけど虚実の世界。蓋の上に座っている自分は蓋をあけることを自分自身に許さない限り、真実を思いだすことも暗闇を再び取り入れる(すなわち眠る)こともできない。
あけないでいる間はそっちの道を選んでしまうわけで……
などと筋から少しずれた方向にそれたりなんか足したりして映画のことをつらつら考えてしまうことが、実はよくあります。
そして、そんなつらつらをくれる映画が好きです。
映画っていいですね。←無理やりまとめた
この日は1ヵ月の旅の最終日。
実をいえば風邪をひいていました。
なので、
ほんわり幸せ気分だったのも、
勝手にパラレルってたのも、
単に熱のせいだったんでわ
というオチでしめくらせていただきたいと思います。