クリストファー・ノーラン監督作品『TENET テネット』、昨日、最速ではないものの、初日観賞してきました。
一度で飲み込める頭など持っていようもないので、初日初回のファーストインプレッションを。(ネタバレはないはずですが、慎重な方は回避お願いします)
監督作品はひととおり観てきた中でいうなら、今回はまた左脳に振り切ったな、という印象。
ノーラン作品は、理論を完全把握してなくてもぞくぞくできる話もあるのだけど、たとえばインターステラーやインセプションは私はそうで、感覚的な”わかる”があったのだけど、テネットは、難解以前に感覚の方がついていくのに時間差があり、ん?ん?と立ち止まりそうになって、でも立ち止まるとおいてかれるので必死についていく方を優先したために最中は割と冷静だった、というのが正直なところ。いやおうなしに引き込まれるという点では物足りないと言うか、カタルシスのシャワーを浴びたような感覚で劇場を出る、みたいな感じはなかったかな。
や、じわじわ来てはいるのですけどね・・・。今日1日ずっと考えていたし。
ノーランのエンタメ追求は心底本物と思っているし、だいたいの作品は好きだし、いくつかはお得意の「吐きそうにおもしろい」を発動したほど入り込んだ作品もあると前置きした上で正直にかくと、
この監督は、もとから愛とか心の機微とかエモーショナルな方面はあまり得意ではないのだろうなと感じていて、それでも今までの作品ではなにしろエンタメを本気でやる人なので物語にかかせないエモい部分はちゃんと用意していたのだけど、今回は、人間を描くみたいなお行儀のよい部分は窓から放り出して、オレの理論展開をみろ!複数観賞上等!という方向に潔く舵を切ったなと。その潔さは嫌いじゃないし、これから複数回観てじわじわ履修させていただきやす、と楽しみでもあるのだけど、物語は置き去り、という感じはちょっとあった。
や、ちゃんとエモーショナルな展開も用意されていたのだけどね・・・。
インセプションでも夫婦(こじれ)愛を描いているし、インターステラーでは親子愛を描いてもいるし、TENETでもやはり絆というか愛のようなものは用意されていて、そこはある種のキーでもあるし、ずっと考えてもいるのだけど、
どうしても私は基本的にクリストファーノーランの描く愛は熱がない、と感じてしまうところがあって。ものすごく正直に言うなら、エンタメを本気で追求しているためにエモーショナルな部分もストーリーに当然組み入れるものと心得ての所業というか、なんというか、AIがディープラーニングで習得した、人間はこういうのが好きなのでしょ、とさしだしたカッコ付きの「愛」な感じがしており。インターステラーでガン泣きしておきながら、どのくちが、なんだけど。
なのでTENETで用意されていたそれも、心や子宮に直球でぶつかってきた感じではなく(子宮?)、じわじわきてはいるけれど、あとから考えていて・・・みたいな時間差であり、いいのかな、術中にはまっていいのかな、みたいな、謎の抵抗がある。なのでこの際TENETは今後の観賞では、いさぎよく理論追いに振り切っていこうかなとも思ってます。そっちだけでもわくわくはするし。
TENET感想はひとまずこのくらいにして。
クリストファー・ノーラン監督作を好きな順にランク付けしてみ
ようと思ったけど、テネットの内容を理解するよりも頭を抱えたため、もう少しざっくりめに「すごく好き」と「好き」と「普通」にわけてみることにしました。
・インセプション
・ダークナイト三部作
・インターステラー
プレステージは機内で観たのですが観たのを後悔するほど、機内でお得意の「吐きそうなほどおもしろい!」状態に陥ってました。帰国して改めて観ましたし、原作にも手を出しました。原作のクリストファー・プリースト『奇術師』もすごくおもしろいです。C・プリーストは『魔法』もおもしろかったな。
ダークナイトの中で1番はまさかのバットマンビギンズですが、理由はまさかの監督関係ない、クリスチャン・ベールさんにわたしが落ちた記念すべき映画だからです。密度の濃さ&左脳大喜びという点ではダークナイト、エモーショナルという点ではライジングでしょうか。
インターステラーは、もともと思索系SFが嫌いでなく、難解といわれる『2001年宇宙の旅』初見時に「なんかわかるー」もっと言えば「なんか知ってる」という暴言に近い感想を抱いた私ですが、インターステラーもその知っていることをノーランのバージョンで心にひびく形で確認させてもらった、という感じでした。意味不明ですね。
インセプションは過去記事を。
・フォロウイング
・ダンケルク
あれ、テネットは?
上記したように、時間差ありというか変則的な動き方してますため、しばし放流させておきます。
ちなみに観た順は以下です。
とほ
(ダークナイト・・・?)の理由はこちら↓