ふたりはひとりだった。~出雲大社に行く道で~

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神話の旅

ふたりはひとりだった。

最初にふたりを見たのは島根に向かう山陰の特急電車で。斜め前の席に座っていて落とし物を拾ってあげた。

次に出雲大社ですれ違った。私は気づいたがふたりは気づいただろうか。

稲佐の浜で再会した。そこで声をかけられて写真撮影を手伝った。

出雲大社前に戻るバス停で同じバスを待つ間に初めて、出雲に来た理由をたずねた。おそろしく滑らかな日本語でふたりは、古事記に興味があり大国主命に会いたかったと答えた。いざなぎいざなみとオルフェウスの逸話を始め、日本と各国の神話の類似について話したのを覚えている。ふたりの知識に内心舌を巻きながら。

ふたりはひとりだった。

もちろんふたりは別人だ。それぞれ個性を持つ別々の人物。けれど数十分の会話で私にその違いがわかるはずもない。あの日のふたりは已己巳己を超えた存在で、まぎれもなくひとつのものを共有していた。

日本の古代をみつめるハンガリーから来たふたごの姉妹。

とほ

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※「已己巳己(いこみき)」という言葉に絡めてエッセイを書くというnoteのお題に乗って書いたもの。