当たりのレジ。

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問わず語り

スーパーのレジには当たりが存在する。

つまり、そう、ほかより早く進むレジのこと

ではない。そういう競争的なやつではない。無関係ではないけれどちょっと違う。そもそも私のいうレジの当たりにハズレは存在しない。当たりではない場合は、ただ単に当たりではないレジである。特徴のないその他のレジ、である。たまに研修中なんだねまあがんばりたまえレジ(謎の上から目線)もあるが、それだってハズレにはカウントされない。

まあ研修中くん/さんの場合は総じて遅れがちではあるけれども、まだ慣れていないだけであり、多少時間がかかろうとすでに当たりの片鱗をのぞかせていることもある。そうすると、私の目は月影千草のようにきらりと光る。次来店した時に見事な変容を遂げていれば、いつだって「マヤおそろしい子・・・!」と驚く用意はある。

そんな微妙に古い例えはいいから早く本題に入りなさいという空耳が聞こえたのでいうと、つまり私にとっての当たりとは、レジカゴ移し替え達人のことである。レジカゴ界における空間認知能力者のことである。

達人は、顧客がどかりと置いたカゴから商品を取ってピッとしてレジ打ち後のカゴに移す際に、目も止まらぬ速さでカゴの形状に合わせてパズルのように次々とかごの隙間を埋めていく。

もちろん、レジ打ち歴の長そうな慣れた手付きの人はみなそれなりにちゃんとスムーズに移し替えてくれるし、重いものは下、軽いものは上、割れやすいものは上か別に置く、みたいな基本的なことはどれも抜かりないのだけど、達人が手に取った商品の形状を確認しカゴのどこにはめこんでいくかを判断する速さは桁違い。無意識でやっているんじゃないかというくらいのレベル。

私はその、達人によってみるみる埋められていくカゴを見るのがすごく、すごく、好きなんである。職人技であるために結果的に早く終わって得しはする、でもそれはあくまで副産物である。私はただその空間認知芸(芸?)を見たいのだ。見ていると、はー、きもちえー、となる。あ今日当たりだ、と思うと、顔がにやつくのを理性で抑えつけなければならないほどだ。やばい人である。なんなら、いかにすばらしい技かをお伝えたいくらいだが、それはさすがにけげんな顔をされそうなので98%はだまっている。2%は多分漏れている。

かといって、達人の顔を覚えておいて、次もその人のレジを狙って並ぶようなことはしない。あくまで当たりは当たりであって、たまたまあたって、見惚れるのが好きなのだ。

ただ、実をいえば、最近は技をおみかけする機会は減っている。コロナ禍も後押ししてスーパーに極力行かない生活になった。ネットの配達に頼ることも多く、行ったとしても最近では自動レジもかなり普及してきている。これからは人の手によるレジは消えていくのかもしれない。今のうちに伝えておくべきなのかな、あなたの技に見惚れていますと。・・・いや、やはりやばい人でしかないのでやめておこう。

でもさ、あなたの街のスーパーにもいませんか、レジ打ち界の空間認知達人が。そして、私だけじゃないと思うんだけどな、うっとりする人。

とほ

 

p.s.
たまに見事に無計画な人もいて、それはそれで別の意味で新鮮であり、ほほう、と見届けたりもするのだけど。