4月29日 曇りのち雨のち曇り
道をまちがえました。
昨日がんばって歩を進めた分、今日の歩行距離は20kmちょっとで、少し楽をできるな、1時ごろにはログローニョに着くな、と踏んでいたのだけど、いつものように薄暗い中出発し、冷たい新鮮な空気、鳥の声をあび、そのうち朝日が左から昇ってきて、ただ歩いているだけで朝日を浴びられるなんてお得だなあ、などといい気持ちで歩いていたら、いつのまにかまわりにまったくペレグリーノの姿がなかった。
そこは国道。という時点で気づけよ、なのだけど、嫌な予感がしたにもかかわらずあほなことにさらにしばらく歩を進めてしまい、そのうち、遠くに並行する山道にぱらぱらとバックパック姿の人々が見えた時は気が遠くなりそうになった。人って、というか、わたしって、なにかおかしいと思った時にすぐに修正するのではなく、まちがっていると思いたくない心理でそのまま傷の上塗りをすることがある。株なんかには絶対手を出しちゃいけないタイプ。
間違えたのは多分あのあたりだろう、というところまで戻るのを考えるとさらに気が遠くなりそうになり、一気に向こうの道とこちらの道をへだてるガードレールや麦畑や深い草木のしげった急な坂をわしわし超えていきたい衝動にかられたけれど、さすがにそこまであほではないので、しかたなく元の道を戻る。自分に悪態をつきながら。出発前のつぶやきに書いたように、まだお手玉をしたりジャグリングをしたり手から鳩を出したりしながら歩くはできていないけれど、とりあえず悪態をつきながら歩くは達成した。まったく自慢できることじゃないけど。
小一時間のロス。ようやく、見慣れたホタテマークや黄色い矢印を発見した時はほっとした。が、最初の町ビアナまでの10kmあまりの間にある峠の上り下りに温存しておくつもりだった午前中の体力は、そういうわけで使い果たしてしまい、というか無駄に歩行距離をかせいだ心理的ダメージが大きく、ビアナに着くまでにすでにへろへろに。倒れこむように入ったカフェで、オレンジジュースとカフェコンレチェを飲んでなんとか復活し、ログローニョに2時過ぎに到着。歩くが一日の最大の目的であり、とにもかくにも歩き続けさえすれば目的が達成できるのがせめてもの救い。
ログローニョでは雨が降り出していたけれど、おなかも空いていたし、少し休んで初バルに挑戦することにした(ダメージ復活早)。バルの密集している通りをぶらついて、頼みやすそうなバルに入り、適当に目の前のタパスだかピンチョス二皿と赤ワインを頼んだ。そういえば『星の旅人たち』でもパンプローナのレストランでトムとヨストのピンチョスとタパスの違いについて問答するシーンがあるけれど、わたしもいまだに違いがわかってない。
あと、ここログローニョもホシノロケ地で、トムが酔っ払って逮捕され釈放されて出てくる場所があるはずなのだけど、それは、や、もういいか、寒いし、疲れたし、酔っ払ったし、となってしまった。いろいろ適当すぎる。
さらに今日の落穂ひろい。そういえば、ビアナのカフェで、走りカミーノと思わしき人いた。
あと、道中で初日本人にあった。通り過ぎる時にこんにちは、と聞こえた気がしたのだけど、気を使ってくれた韓国人かな、と思っていたら、あとで峠の上で一休みしていた男性に追いついた時に、日本人ですか、と話しかけられた。やはり最後のサンティアゴまで行くとのこと。ここ数日で、各々の期間や体力によって到着地にずれがでてきているので、今まで会わなかった日本人に会うことがあるもしれない。反対に、どの国の人でも、アスタプロント(またあとで)とかアスタマナーニャ(またあした)と挨拶したのに二度と会えない人もいるんだろう。
出発地:トレス・デル・リオ(6:50出発)
到着地:ログローニョ(14:15到着)
歩行距離:20.3km(+迷った4km前後)
「星の旅人たちと行くサンジャックへの道」とは、巡礼路を歩くきっかけとなった『星の旅人たち』と『サンジャックへの道』という2つの映画タイトルを合体させた旅タイトル。センスがよろしいとはいえないこの映画タイトル合体旅タイトルはブログ主が得意とするところらしいという噂(前科あり)。時に、星の旅人たち=ホシノ、サンジャックへの道=サンジャで略すことあり。なお、ロケ地巡りという性質を含む行程である以上、関連場所を通過する際に映画の内容に触れることがあります(ネタバレ宣言参照)。ラストにどんでん返しがあるタイプの映画ではないですが、ネタバレ過敏症の方は注意。