インド映画『TEVAR』ロケ地更新の途中ですが、ちょっと脱線して、海外の映画館で映画を見るシリーズ。
そんなシリーズあったっけ。
ありました。今シリーズ化しました。
その1はこちら。
その1ではおずおずとした態度で臨んだ初インド映画館体験でしたが、
2016年夏の(現在更新中の)旅では、すでにしてインド映画脳内阿波踊り真っ最中だったこともあり、ロケ地巡りと並んで、映画館での映画観賞も旅の主要テーマに格上げとなっていました。
ただあくまでロケ地巡りが主体なので、観られたら観るというゆるい態度、
しかし、ゆるいながら、映画館に行くまで下調べはせず、次の上映時間の映画を問答無用で観る、のだけど複数選択肢があればその中からの選択は可、というなんだかよくわからないマイルールも設定し、そんな中観たのは3本。うち2本はデリーでした。
1回目はコンノートプレイスにあるオデオンシネマで、サルマン・カーン主演の『Sultan』という格闘技選手の栄光、挫折、再生の物語、括りはドラマになるのかな、を観ました。
鑑賞料は290ルピー。
そんなに複雑なストーリーではなかったのですが、字幕なしですし、筋はわかったようなないような、順調だったレスリング人生が暗転した理由がよく飲み込めておらず、あとで人に聞いてそうだったのかあ; ;と。
後半、ぐっとくる場面はありましたし、よいドラマということは伝わってくるのでこれは最初から字幕つきでしっかり観たかった、と逆に思ってしまった観賞体験でした。
ちなみに『PK』ロケ地でちらっと書きましたが、この映画でもアグラセンキバオリの階段井戸がスルタンのトレーニング場所として出てきます。
ちなみのちなみに、オデオンシネマですが、PKロケ地コンノート・プレイス編で書いたジャグー姉さんが、シク教徒のおじいさんが入っていったホテルを眺めているシーン、ジャグー姉さん演じるアヌシュカ・シャルマの目に実際に写っているのは位置的にこの映画館と思われます。
さて、デリーの残りの一本は、コンノートプレイス近くのリヴォリ・シネマで観たジョン・エイブラハム&ヴァルン・ダワン主演のアクション映画『Dishoom』でした。
鑑賞料は275ルピー。
こっちはアクションだしまだわかりやすかったかな。
イケメン2人のバデイものですし、笑いもあるし、次々起こる出来事に身をまかせていればよかったので字幕なしでもまあなんとか・・・
とはいえ、やはり筋追えてない部分はありましたし、
実はインド入国前に滞在していたフランスとセルビアでも、映画館で映画を観るシリーズを地道に敢行していたのですが、
一部英語字幕付きだったセルビアはまだしも、フランスなんてフランス語一辺倒(あたりまえ)、しかも会話劇、登場人物がまあ家から出ず、移り変わっていくのはおいしそうな料理やデザートやチーズのみ、
といった経緯を経たあとの旅最後の観賞であったこのDishoomで、さすがに字幕ないのつれ~~となっていたことをここに記しておきます。
閑話休題。
インドでの観賞のうち2本めはアーグラーで観ました。
アーグラーで観る予定はなかったのですが、『TEVAR』ロケ地巡りを頼んだオートリキシャ青年の勧めで観ることになりました。
勧めというか、まかせとけノリで連れていってくれた「壁」場所に対する私の反応が悪かったのを気にしてか、「満足したら400ルピー、そうでなければ350ルピー」という交渉を気にしてかはともかく、幾つか代替案を出してきた中の1つでした。
映画、いいね。というわけで古びた映画館へ。
で・・・なぜか一緒に観ることになりました。
上映時間まで、おごってもらったチャイで時間をつぶし、一人で観るつもりで入ったらついてきたのでまあいいか、と。
こ、このへん、インド旅学級委員長にまた帰りの会でダメ出しされそうな気満々ですが(また?)、なかなかええやつだったんですよ、とか、ゴアにいたことがあってロシア人に目をかけてもらったけどすぐ草すすめてくるから困って逃げてきたみたいな、なにそのリアルゴーゴアゴーンの世界は、みたいな話を目の前にその手のはっぱがいっぱい生えているところで聞いたりしておもしろかったんだとか(煙草以外興味ないそう)、インド旅における女子的な危機管理に関しては、私いい加減トウたってますのでそのへんの心配はマイナス20度くらいで考えてくだされば、とか、とはいえ問題なしと判断してであったとかいう弁明もめんどくさいですし(←めっさしとるがな)、基本的には学級委員長の言う通りです気をつけましょう、と賛同の意だけ表して先に進みます。
鑑賞料は60ルピー。
プラス、オート君の分50ルピー(なんでや。
金額からもおわかりかと思いますが、デリーのシネコンとはまったく違う
町の古いさびれた映画館といった趣き。
マイルールにしたがってなんでも観るつもりでいたのですが、なんでも観るつもりでいたゆえに何を観るのかろくに確認もせず、
シアター前に数枚貼ってあったポスターの中にラブコメっぽい映画があったので勝手にそれだと思いこんでいたのですが、
上映が始まり、流れ始めたのはみるからに古い映画でした。
「ぼく古い映画が好きで(てへぺろ)」。
あんたがみたかったんかーい。
まあいい。
ガンガー(ガンジス川)の話らしく、オープニングの音楽が流れている間に実際のガンガーの様子が映し出されるのですが、汚れており(それがストーリーに関係してくる)その中には明らかに本物の人の死体と思われるものも流れていたりして、さすが、といっていいのか、古いというのはあるだろうけどあらためてインド映画すごいな・・・と思っているうちに本筋に突入、
なんらかの権力者の裕福な一族の祖母の重い病気を治すため孫の男性がガンガー源泉の水を取りにいく北部への旅に出て、出会った娘と恋に落ちるが身分の違いで結婚は認められず・・・というありがちといえばありがちな内容を、隣の解説者の助けを借りながら観終わりました。
古いインド映画に馴染みが薄いというのはあったし、最後までなんだか重く救いがない話だったので、これもひとつの観賞経験ということでまとめて、その後特に思い出すこともなかったのですが、
帰国後、意外な再会が待っていました。
昨年秋のインディアン・フィルム・フェスティバル(IFFJ)で観た『カプール家の家族写真(Kapoor & Sons)』。
IFFJのサイトからあらすじを拝借すると
「祖父危篤の知らせで久々に故郷のクヌールに戻ったラーフルとアルジュンの兄弟。どこかぎこちない二人の関係は、不思議な雰囲気を持つ女性ティアが現れいっそう複雑に。一命をとりとめた祖父はバラバラになってしまった「カプール家」が再び一つになることを願うが・・・。」
その中で(この先内容に触れています)入院中のおじいちゃんが、孫から暇つぶしにと文明の機器タブレットを渡され、これで映画も見られるかと聞くシーンがあります。
なんでもお気に入りの映画があって、14回(だったかな)観たシーンがあるのだという、それは流れる滝に打たれる女優さんのシーンで、そのシーンを、まあ、その、なんだ、おかずに使ったんだと、そういって孫とふたり、共犯者的笑いをかわす場面。
説明長くてすみません、お察しの通りその映画なんですが、
『汚れたガンガー(Ram Teri Ganga Maili )』というタイトルを耳にしてもまだピンと来てなくて、そのあと件の女優さん(マンダキニ)の白い布をまとった看板が登場するにあたってようやく、あの映画やん!!!!!!と。
そういわれれば確かにそのシーンね。
エロかったです。
え、インド映画的にそのぽっち(コラ)ありなん?とか、布で隠していればセーフってこと?いやいやむしろ・・・ですぜ?くらいのことは思った気がする。
という若干複雑な再会ではありましたが、
『カプール家の家族写真』に関しては、それを看板にして見事に笑えるツールにし、さらにしみじみする方向にまで持っていってしまうのだからインド映画、やっぱりうまいよなあ、
というところで、最後、海外じゃなくて日本の映画館で観た映画の話になっとるやないの、というつっこみをかわしたいと思います。
p.s.
書きながら思ったのだけど、もしやオート君が好きだったのは古い映画ではなくてその場面?