インド/パキスタン/インドネシア旅2019、ロケ地巡り更新続き。(旅程はこちら)
今回は、インド版おしゃれ映画の呼び声高い(?)『ファニーを探して』。
『ファニーを探して』
原題:Finding Fanny
監督:ホーミー・アダジャーニヤー
出演:ディーピカー・パードゥコーン、アルジュン・カプール他
公開:2014年9月(インド)、2015年3月&10月(日本、OAFF&IFFJ)
南インドのゴアにある小さな村ポコリムに住む年老いた郵便局員のファーディはある日一通の手紙を受け取る。それは彼がかつて愛したファニーに求婚した手紙だった。近くに住む若い未亡人アンジーは、手紙も自分の気持ちもファニーに届いていなかったと大泣きするファーディを励ますうち、一緒にファニーを探す旅にでる決意をする。こうしてアンジーの義母ロージー、ロージーに言い寄る画家ドン・ペドロ、アンジーに密かに思いを寄せるサヴィオの5人で水色のオンボロ車に乗って珍道中が始まる。
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2015年のインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)上映作品である本作。
ゴアを舞台にした昔の恋人に会いに行く系ロードムービー。
“ヨーロッパ映画のような雰囲気と書いたけど、かなりその要素は強くて、言語も英語ですし、インド映画と知らずに観たら、南欧のどこかあたりと勘違いする人もいるかもしれない、かといって、ヨーロッパ映画を模倣しているかというと、けしてそうではなく、ゴアという土地に興味がわく仕様、コメデイとはいえ結構ブラック風味で、○○好きにはきついシーンもあるのですが、そこを除けばそのブラックは嫌いではなく、あと、人生的にだめ方面の人々が多く出ている話なんですが、そのだめさ加減がちょうどよいというか、個人的にはつぼで、インド映画にはこんなのもあるんだなあ、という、それまでに幾つか観ていたインド映画による「それまでのインド映画のイメージくつがえし」をさらに一歩進めてくれるものでした。”
過去記事そのまま引用しました。手抜きすみません。
わたしにとっては、インド映画に目覚めつつある過程でみた一本であり、「へえ、こんな映画もあるんだ」というワンクッションは、どちらかといえばインド映画苦手というマイナス地点から出発した身としては、その後反転して本格的にインド映画道を爆進するまでのアイドリングタイム的なわりと重要な役割を果たしていたように思います。今考えても。
また、記事を書くにあたり、ちょっと確認のつもりで最初から最後までしっかり観てしまったのですが、終始くすくすっとなるし、ファーディとアンジー、アンジーと義母ロージー、アンジーとサビオ、サビオとファーディの各関係が好きすぎるし、画家と神父もよい味出してるし、なんといってもディーピカちゃんの終始力の抜けたかわいらしさ最高だし、あらためて普通に好きだと思っちゃった。
あと、
わたくしこの映画でアルジュン・カプール堕ちしました。えへ。
ディーピカ・パドゥコーン演じるアンジーの幼馴染であり、結婚式当日にウェディングケーキを喉につまらせて急死したアンジーの花婿(ディーピカの現夫ランヴィール・シンのカメオ出演!)の親友という役どころで、なんだろう、仕事うまくいってないわ、みんなにふりまわされて怒ってばかりいるわ、アンジーに「へたくそ」(なにが?)と言われるわ、いけてなさぶりがつぼに入ってしまい。
で、再観賞して思ったけど、サビオのアルジュンは目がいい。イシャクザーデの時のいきおいとはまた違って、目で律儀にどぎまぎしたりむっとしたりむらっとしていていちいち楽しい。やっぱりこの人演技できる人なんだよ・・・とファン語りはこれくらいにしまして。
そういうわけで、充分にロケ地巡り動機があった映画なんですが、さらにもうひとつ私をして巡らしめる大きな要素がありまして、それがゴアという舞台。なんといってもしょっぱなから引き込まれるアンジーたちが住む村「ポコリム」。
“ここは私の村ポコリム。
ゴアのどこかにある村。
探そうとはしないでね。
見つけられないから。”
アンジーのナレーションで物語が始まり、登場人物たちの生活がうつしだされていくのですが、そのポコリム、ヒンドゥ教の神様ブロマイドばばん!とか、クラクションぱぱぱぱぱーとか、低いどすのきいた「ちゃいちゃいちゃーい」とか、半日外歩いたら鼻の穴まっくろとか、お香とアンモニア臭その他の絶妙なハーモニーとかいう濃いインド(?)とは明らかに異なる、のんびりとおおらかな、ポルトガル建築やキリスト教会に囲まれた緑深い村。架空なのは承知ながら、絶妙に旅心をくすぐられる場所。
加えて、ロードムービーだけあって、ココヤシの木が立ち並ぶ田園地帯、海沿いのドライブウェイ、島に渡るボート、黄色めいたポルトガル建築、朽ちた門構え、一本の木だけがそびえる草原、高台から見下ろす海などなど、移動先々の景色もまたなんとも素敵で。
それもそのはず、この映画、ゴア州観光局(Goa tourism)とタイアップした作品だったようです。
こんなん探さないでねといわれたって探すやろ。
というかむしろロケ地巡り奨励してますよね?ね?(妄想)
というわけでいつか行くリストに早々に入れており、今回の旅で実行したという次第なのですが。
具体的に探し始めてすぐに壁にぶちあたりました。
広域すぎる。
ネットで調べるにあたり、ざっくりした地域は比較的さくさくみつかったのですが、地図で確認したところゴア全域に渡っていました。これは・・・網羅するなら車でないと無理だ。
しかも、村などのエリアの名称まではわかってもここ!ここで撮られました!というピンポイントな情報が少なく。都市部と違って多くは田園地帯ですから自力で探すにも目印も少なく。とくにポコリム。さすが架空の村。もしかしてメグラーとしての腕が試されているのか(妄想拡大)。
そもそも、ゴア、ゴア、と旅先としてもよく一口に言われますけど、ゴアはまがりなりにも州ですからね。歴史的建造物をみたいのか、ヒッピー文化を満喫したいのかなど、目的によって滞在先も選ばないといけない。どちらも短期間の旅行でもブラウズすることは可能だろうけど、じっくり味わいたいならどちらかのエリアを選んで腰をすえて滞在したほうがいい。
などと偉そうに言っているのは、行くことにして初めて知った人なんですけど。それまでは、ゴア長期滞在経験ある友人を含め、旅人から聞くゴアといえばたいがいビーチエリアのあれやそれでしたし、自分も行くとすればビーチだろうなと思っていました。パリピではないですが、とりあえず最初はビーチに向かうだろうなあ、と。でもそれもロケ地巡り動機ができるまでの話。
ロケ地クエストが目的となると、どこに滞在すればいいやら。
スクーターのレンタルができるらしいけど、乗れない。そもそもペーパードライバー。旅人スペック低いなっと(涙)。タクシーをチャーターするにしてもシーンと一致していない地名も多すぎる。さて。
ゴアに当てた期間は4日間。
網羅は早々にあきらめ、しぼることにしました。とりあえずポコリムめいた場所は行きたい。それには・・・自分会議を開いた結果、向かう場所が決まりました。
つづきます。
とみせかけて追記:
今まで巡ってきたいくつかの都市と同様、ゴアもまたボリウッド映画にとって魅力的なロケ地らしく、多くの映画が撮影されているようです。
御大アミターブ・バッチャンや三大カーンの映画、日本のネットフリックスで観られる『Dear Zindagi』や『Drisham』、日本でも映画祭で上映された『Dilwale』、『Golmaal』シリーズ、『Singham』、『Naam Shabaana』・・・。上記サイトに載ってる映画、みてない映画結構あるなあ。そういえば昨年ICWで上映された『The gentlemen』もゴアでてきたんじゃなかったでしたっけ。
ちなみに3番めのサイトに載っているインド・オブ・ザ・デッドの邦題でおなじみの『Go Goa Gone』もゴアが舞台ですが、行けないかなと思って調べたところ、主な撮影地はモーリシャスのようでした。
ゴアが舞台のインド映画の中でも、パーティうぇーいなビーチエリアを切り取った映画は少ないイメージがありますが、この映画は真正面からそれ。とはいえ、かつての西洋ごりごりヒッピー文化ではなく、インドの若い衆に人気の観光地として台頭しつつある新しい側面的な(+ゾンビ)。
最近、続編決定の知らせが流れてきましたが楽しみ。日本でも公開されるといいなあ。
さらなる追記(という名のぼやき):
個人的には、この映画に限らず、おしゃれ映画といういささか安易な括り方は好きではないのだけれど、インド的な面を排除していたり内容だったり、そういう感想につながるにおいもないではないのかしらね。でもおいらは好きなんじゃよ・・・猫のシーンだけは人工とわかっていても飛ばしちゃうけど。まあだいたい私、世間様がすかしたおされ映画と揶揄する方面きらいじゃないこと多いからな。ははは。はは。森で暮らすことにします。