物語の中の食べ物と翻訳者の功罪

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物語/本語り

 

翻訳本に出てくる食べ物について。

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『ナルニア国物語』のターキッシュ・ディライト

本の中の食べ物といって真っ先に出てくるのがこれ、ともう言い切ってしまっていい気がしているC.S.ルイス『ナルニア国物語』シリーズの『ライオンと魔女』にでてくるターキッシュ・ディライト。瀬田貞二訳ではプリンと訳されていたのが実はターキッシュ・ディライトであり、ターキッシュ・ディライトとはなんぞやといえばトルコのお菓子ロクムである、というところまでセットで、原作好きな人なら周知ではないかと思う。

私も、むかしむかしホームページなるものを持っていた時にも書いたし、世界一周時の過去ブログでもトルコでロクムを初実食した時にも話題にした。きっとこの先も、ヨーロッパの町並みでターキッシュ・ディライトなる看板をみつけたり、ロクムを食べる機会がある時には、つい話題にしてしまうだろう。

トップ画像はトルコ・サフランボル名物のロクム。黄色のものはサフランが入っている。ロクムとひとくちにいってもさまざまな種類がある・・・ことは、世界中の食べ物がその気になれば気軽に手に入る今では説明するまでもないだろうか(この先もずっとそうかは知らないけれど)。

個人的には『魔術師のおい』で出てきた木に果物のように実ったタフィーも好き。タフィーも今ではどんなお菓子かわかっているし、ナッツをヌガーで固めた普通のタフィーも大好物だけど、水気たっぷりのタフィー、うーん、食べたい。

『赤毛のアン』のいちご水と葡萄酒

これも説明の必要がないだろう。L.M.モンゴメリ『赤毛のアン』は村岡花子訳で育った世代で、新訳は読んでいないのだけど、今の訳はどうなっているんだろう。そういえば、いちご水だけはおいしい記憶というよりは、子供の頃に駄菓子屋で買った安っぽい味覚のチューチュー吸うやつに置き換えられてる気がする(汗)。葡萄酒はワインのことである、と知った時は、大人の階段をのぼったと思った(盛り)。葡萄酒は、赤毛のアンの他にも当時は映画でも本でもよく目にした気がする。私の中では映画『汚れなき悪戯』の中で出てきた葡萄酒がもっとも印象的だ。

あといちご水と葡萄酒から離れるけれど、赤毛のアンシリーズは全作読んでいて大人になってからのエピソードも好きだけど、実は一番印象に残っているのは『アンの友達』というアヴォンリーの人々の話を集めた短編集。中でも偏屈な男女が伝染病のせいでひとつの家での生活を余儀なくされる『隔離された家』。その中で猫にあげる1インチ角のバターのくだりがとても好きだった。

『長くつ下のピッピ』のクッキー

これも現役または過去の本好き少女には説明不要ですね。アストリッド・リンドグレーン の『長くつ下のピッピ』でピッピが焼いているジンジャークッキー。衛生的にどうかはさておき、床いっぱいにクッキー生地をひろげて型抜きで抜いていくの、あれはやってみたかったよねえ。今でも型抜きクッキーを作る時には、必ず思い出す。めんどくさがりなので型抜きはあまり作らないけれど。ははは。自分のクッキーは好きだけど、ジンジャーを入れて作っても、頭の中のピッピのクッキーとは違うんだよなあ。

他にもあったと思うけれど、印象の強い3つをあげてみた。あなたの心に残る本の中の食べ物はなんですか?

***

物語の中の食べ物の記憶は、翻訳者の存在を抜きには語れない。

功罪と書いて少し煽るようなタイトルになってしまったかもしれないけど、実際、映画でも本でも翻訳への賛否両論は常に討論の対象になっているけれど、こと物語の中の食べ物に関しては、私の中では間違いなく功罪ではない、功績だ。夢をありがとうしかない。大人になる過程でエドモンドが食べたプリンとは何かを知っていくクエストの楽しみが待っていたし、葡萄酒は想像の中では断じてワインなんかじゃない、今でも葡萄酒という特別な何かだ。

とほ

PS ワインは嫌いじゃないですけども(量は飲めないけど)。