先日この記事に載せた「#見た人もなにか無言でインドあげる」タグに引き続き、「#見た人もなにか無言で階段あげる」というタグをTwitterでみかけたので便乗して。
この流れで私が階段を挙げるとすれば、インドの階段井戸でしょうか。
階段井戸とは、文字通り階段状になった貯水施設。
インドでは各地に多数の階段井戸があり、ラジャスターンとグジャラートの二つの州だと最も古いものはAD550年頃、多くは中世に建設されたそう。3000以上が中世の時代に作られたのだとか。今でも数百基(基でいいのかしら、規模が桁違いだけれど)が現存しており、ニューデリーだけでも30以上あるそう。
ただ、他に参考にしたサイトには、多くは2~4世紀に始まったと考えられているとも書いており。情報は乏しく、わかってないことも多いようです。いずれにしても、面積も人口も巨大で内陸部が多いインドでは、水資源の確保は切実だったのでしょう。
その現存する中から、私が行ったことのある階段井戸をダイジェスト版で。
1.チャンド・バオリ/Chand Baori
ラジャスタン州ジャイプル近郊アーバネリ村にあるチャンド・バオリ。
圧巻でした。予想以上の規模。敷地内に入った途端に、その深さ、急角度の斜面、緑の掘りに目を奪われます。
現存する階段井戸の中でも最大級。私は『落下の王国』と『ダークナイト・ライジング』のロケ地として行きました。行き方は以下の3番目のリンク先に書いてあるので、興味ある方はよかったら。
2.アダラジ・ヴァヴ/Adalaj Vav
この階段井戸は、次に紹介するラニ・キ・ヴァヴに比べると少ないものの、精巧な装飾が随所に施されています。そこにいた勝手ガイドのおじちゃんの話では、ヒンドゥ様式とイスラム様式の融合とのこと。
3.ラニ・キ・ヴァヴ/Rani ki vav
敷地に入り、ぱっと目に入った瞬間の華やかさや彫刻の精密さにかけては、さすが別名「女王の階段井戸」と言われる貫禄がありました。これぞヒンドゥ装飾。11世紀に建造されたこの階段井戸は2014年に世界遺産に登録されています。
4.ダーダーハリの階段井戸/Dada hari ni vav
彫刻の精密さは劣るものの、階段井戸の深さや規模は、個人的にはアダラジよりずっとすごいと感じました。装飾が少ないのは、偶像崇拝を禁止するイスラム文化が入ってきた後に建設されたものであるためだそう。
上記3つはいずれもインド西部のグジャラート州の州都アーメダバードを拠点にして行ける階段井戸。
アダラジ・ヴァヴはインド映画『Raees』(シャールク・カーン主演)の挿入歌のロケ地として行きました。アダラジ・ヴァヴもすばらしかったんだけど、3つの中で規模が頭一つ飛び抜けているのはやはり「女王の階段井戸」と呼ばれる世界遺産ラニ・キ・ヴァヴ。しかしダーダーハリの静謐な感じも個人的には印象に残りました。
行き方はいずれも以下のブログ記事に載せています。
5. アグラセン・キ・バオリ/Ugrasen Ki Baoli
デリー中心部にあるアグラセン・キ・バオリ。コンノート・プレイスにも近く、1.5km、徒歩20分弱の距離。この中では一番行きやすい場所かと思います。しかし徒歩で勝負せずリキシャが賢明かと。
インド映画『PK』(アーミル・カーン主演)のロケ地として訪れました。この場所は『スルタン』(サルマン・カーン主演)など他の映画でもちらほら見かけますし、インド映画好きな方にはおなじみの場所になりつつあるのではないでしょうか。まあデリーは、遺跡を含む有名拠点は軒並み映画で使われまくっているけれど。
ひとくちに階段井戸といっても、場所によって構造に違いがあるようで、上記5つのうち、一番階段階段しているのはこのアグラセン・キ・バオリでしょうか。グジャラートの3つはあまり階段という感じではなく、井戸という要素、堀りの深さ、装飾が目を引く印象。チャンド・バオリは階段というより幾何学模様の正確さと不可思議さに息を呑む感じ。圧巻という点でもチャンド・バオリがやはり群を抜いていたかなあ。とはいえどこも見応えがあったのだけど。
6. Shahi Baoli
ウッタル・プラデシュ州ラクナウにも規模は小さいながらありました。イスラム教シーア派の施設バーラ・イマームバーラ内にある階段井戸。ここの形もアグラセン・キ・バオリ型。
ちなみにヴァヴもバオリも階段井戸のこと。ヒンディー語でバオリ、グジャラート語でヴァヴ。英語ではStepwell。
以上、今のところ訪れたのは6つ。ここまででわかるように、だいたいロケ地発端といういささか不純?な動機。ですが、今後は階段井戸そのものを目的に訪れる機会が増えそうです。旅ができるようになったらですが。
インドは建造物にしても自然にしてもいちいち規模がでかいので、圧巻という言葉をつい安易に使いたくなってしまうのだけど、階段井戸はまた独特な趣きがあるように思います。
でこ(凸)り型の自然または人工の造形物は遠くからもみえるので、すごそうだなとか、逆にたいしたことないかもとか、近づくまでにそれなりの心の準備ができる一方、ぼこ(凹)り型のそれは視界に入るまではまわりものどかな田園風景だったりして、油断しているところに突如目の前に奇っ怪な風景が開けるので、ぞくぞく度はんぱない。高所恐怖症の人はちょっと怖いかも。
インドは人だけでもおもしろすぎて飽きないけれど、このように特大級におかしな(褒め言葉)風景が各地にごろごろ転がっているので、そういう点でも本当に飽きない。少なくとも飽きるほど全然行ってないし、もうインドいいやとなるのは当分先になりそうです。
というわけで早くインド行かせて。頼むから。
とほ
補足記事を書いたので階段井戸の詳細を知りたい方、よかったら。↓
他にもあるある階段井戸。