普通のインド旅日記 後編

インド旅

 

インド、ばかばかしすぎる。
という結論にいたって現在無事帰国しております。

結論にいたるまでの旅程。後編。

前編はこちら。中編はこちら

インドから隣国スリランカへ。

この国で楽しみにしていたのは世界遺産シギリヤロック。ローズクオーツマウンテンことNamal Uyana(ナマルウヤナ)国立公園。アーユルヴェーダのシロダーラ。それから友人の家族に合うこと。

空港からはバスで首都コロンボまで40分程度。100Rs。コロンボからそのままシギリヤロックの拠点であり友人家族が住むダンブッラ行きのバスに乗り換え。4時間程度。金額はメモしわすれた、確か160Rsくらい。なるほどスリランカ、移動費が安い。(ちなみにいまさらですが、レートを書くと10インドルピーが約20円。スリランカルピーは10スリラカルピーが約9円)。

コロンボのバス停について早々、ランブータン、マンゴスチン、ドラゴンフルーツ、スイカ・・・果物の豊富さに目をうばわれる。しかもどれもかすかすしてない。とうもろこし(果物じゃないけど)がすきっ歯みたいじゃない。インドでも「わあ夏のインドは果物が豊富だなあ」なんて思っていたけれど、バナナやマンゴーなどのねっとり系はよく見るものの、すっぱい系の果物が軒並みアウトというか、柑橘類なんてライムくらいしかなく、それもジュースで飲んだら咀嚼後じゃね?というくらいの風味しか残ってなかったりで、ビタミンCに飢えていたのか、スリランカでは果物を食べまくろうと決める。

それから、バスの中から外をながめているうちに思ったこと。町、めっちゃきれい。壁、白い。インドなんて、WiFi文化はせいぜいここ5~6年の文化だと思うのに、「WiFiあり」の看板がゆうに20年はたってると思わせるほどの汚れ具合だもんな。あと、通りに面している店の窓ガラスがピカピカしてる。あまりにも窓ガラスが目に留まるのでよくよく観察しているうちに壁に対するガラスが占める面積が多いことに気づいた。全面ガラスの店が多い。そして汚れてない。日本では別にめずらしいことじゃないんだけれど、インドから来たせいかそんな妙なことが目についた。

とまあ、最初はついインドとくらべていたのだけど。そのうち、ここはインドじゃない、という結論にいたる。←あたりまえ。インドというよりは東南アジアに近い。緑。湿度。ココナツの木。ライスフィールド。記憶と照らし合わせたところではカンボジアのシェムリアップとバリのウブドをミックスした感じ。シギリヤロックからの景色は、インドネシアのボロヴドゥール遺跡からの眺めに似ていると思った。

ローズクオーツマウンテンは文字通りローズクオーツでできた山。足元いたるところにピンクの石。それが持って帰りほうだいですから(入場料は500Rs)。大きい石は避けつつも順調に重くなっているバックパックの重さを配慮しつつゴーヨクにとりすぎないようにしつつ、、、スーツケースだったら危なかったかも汗。

そのナマルウヤナでは有頂天になって歩きまわり、同日にシギリヤロックにものぼり、をこなした夜はシロダーラの施術。全身マッサージ&ハーブサウナとセットで実質2時間半で4500Rs。シロダーラ込みでこの金額はとてもお得だと思う。腕もよく大満足。寝落ち。

ダンブッラでは友人家族宅にごはんを呼ばれにいったり、移動はすべて友人おにいさんにおまかせと、インドとうってかわったリラックスした日々をすごした。おかあさんとは言葉がほぼ通じないのだけど会話がはずんだ。とおかあさんも息子夫婦にあとでおっしゃってたらしい。そうなんだよ、なぜかずっとしゃべってたの笑。ごはん時には日本に住む息子夫婦(おくさんは日本人)から、スマホのテレビ電話で今食べているものの名前や原材料をレクチャーしてもらいながら。便利な世の中になったものです。

ちなみに写真の手は私ですが黒いのは気のせいではありません。アネッサの甲斐なく順調に焦げていきました涙。そして、つまんでいるのはライスではなくインディアッパというソーメンのようなもの。にフィッシュカレー?をかけたもの。2回ごちそうになったごはん、本当においしかった。

5日ダンブッラで過ごしたあとはコロンボに次ぐ第二の都市キャンデイへ。

どこで食べてもおいしいロテイ系軽食やフルーツジュース、白いカップたっぷりのミルクテイなどなど、ここでも食べ歩きを楽しみつつ、合間に観光をこなす。仏歯寺、キャンディアンダンス観賞、近郊のボタニカルガーデン、象の孤児園。ただ・・・・・・正直に言う。楽しかったのはダンブッラまで。友人家族がいなかったらもっと早く始まってたかも。インドホームシック。

スリランカの方が絶対食べ物おいしい。清潔。なにかにつけ便利。移動費も安い。

ただ、安いのは移動費だけ。とくに観光地の入場料(外国人価格)はとにかく高い。内戦もおわり今では立派に観光が一大産業となっている国だし、それもひとつの戦略と一方では思うものの、観光地に赴くたびに「それだけの金額払ってまでくるところだっただろうか」としだいに価値を秤にかけるようになり、加えて、キャンデイではトウクトク他のぼったくり対決も多く、最後の方はお金や人に疲れてしまった。

インドだってぼったくりは日常茶飯事だけど、なんだろう、、ぼったくりの質が違うというか、ぼったくられても詐欺られても「くっそーやられた!がっくり!あはは!」なんて最終的にはなぜか笑い要素で締めくくられるインドに対し、スリランカでは払わないことに対して責められている気持になることが多く、払ったら払ったで他の店の人に「ばかだね、うちなら」というトークに持っていかれて失敗した旅行者という気分にさせられ、リラックスしに来たのにあそこに行けここに行けとほっといてくれないのにも疲れ・・・・総じていい国だとは思うんだ。思うんだけど。これはもう相性なんだろう。比較なんてナンセンス。ここはインドじゃないという結論に最初にいたっときながらどのくちが、だけど。

というか、スリランカがどうというより、インドが強烈すぎるんだわ。ばかばかしすぎるんだわ。あのでたらめとまじめが共存してる国。人は人でまじめに親切だし、まじめにいいいがげんなこというし、まじめにとっくみあいのけんかするし、まじめにだーだー泣きしてるし、まじめにいい年こいたおっさん二人が手をつないでるし、全部まじめなのにどうしても笑いが混じり込んでしまうのはなぜなのか本当に教えていただきたい。おばちゃんの人を腰で押しのける力といったらはんぱないし、それに抗議してたおっちゃんが急にこっちみて「This is India」とためいきついてみせたりするし、これ聞いたの一度や二度じゃないし、そういわれると「じゃしょうがないですね」とすべて受け入れてしまいそうになる私をだれか本当にとめていただきたい。しかもそんなThis is Indiaだらけの中に一瞬すっと崇高が通り過ぎてったりもするから始末に負えない。もうほんと、なんなんだろう。ばかばかしすぎる。もっと始末に負えないことに、ばかばかしい、は時に私にとって最大級の賛辞だったりするから。今回どっちの意味で言ってるかはあえてかかないけども。インド語りすぎ(赤面)。

スリランカ出国の日、キャンデイで同じ宿に泊まっていたスペイン人のアナ(仮名)と空港のカフェでばったり再会した。インド滞在歴が長く、各地のアシュラム他施設に滞在しながらヨガを学んでいて、スリランカにはビザの更新のために来ていたという彼女。宿ではそんなに話さなかったけど、同じフライトを待ちながら話しているうちに、インドやスリランカについて「そうそうそう!」話でもりあがり、マドゥライ空港に到着した時には顔を見合わせて「We’ve come back to India!!」。

というわけで再びのインド。再びのマドゥライ。

到着した足で、行きはスルーだったしそのままスルーのつもりだったミナクシ寺院へ。で、そのスケールに圧倒される。やー、ここスルーしようとしてたなんてどうかしてた私。なんというか、ヒンドウ教の熱にあふれている。仏像彫刻はいちいち精巧かつコミカルで、回廊の天井絵も柱も迫力がすごくて、ぐるぐると見まわしながら、あまりにも、わあああ、という感情が表情に出ていたんだろうか、後ろからひとりの帰宅途中と思われる袋かかえたおじさんから「すごいでしょう?」とにこにこ顔で話しかけられた。熱のこもった口調で部屋数や柱の幅が微妙に違うことなどをレクチャーしてくれた。うん。すごい。しかも入場料は50Rp(+スマホ持ち込み50Rp)。普通のカメラはNGでスマホのカメラはOKという基準はよくわかんないけど笑。

建造物も自然も特大級のものがごろごろころがってる。それがインド。しょぼくてうさんくさいものももちろんころがってる。それがインド。それが許せる時点でわたしアウトなんだわ、多分(なにが?)。

 

翌日、インド最南端カーニャクマリへ。

マドゥライ早朝5時発の電車でナガルコイルへ。そこからバスに乗り換え30~40分。カーニャクマリのコモリン岬はインド洋、アラビア海、ベンガル湾の3つ海が合流する場所。夕陽も朝陽も見られるインドで唯一の場所。スリランカの最終日にビーチエリア、ニゴンボで夕陽を眺めたので、そのお向かいにあるここカーニャクマリでは朝陽を眺めることが目的。達成。

そういえば、スリランカで、インドに帰ってくる直前の7月28日に、「ミサイル開発の父」と呼ばれた科学者でもあるインド元大統領アブドル・カラム氏が心臓発作のため亡くなったことを知った。旅の最初に出会って以来チャットを続けている人から聞いていたのだけど、マドゥライ空港につくと、そのご遺体と、加えて首相も到着するとのことで警察官であふれており、町中にポスターがはられ、カーニャクマリに到着した時にも宿探しの間、どのホテルでもみながテレビにくぎ付けだった。

ちなみに、現首相のナレンドラ・モディ氏についても、今回の旅では現地の人と話す機会が本当に多かったのだけど、少なくともその中に、インド経済を底上げする実行力のあるこの首相を支持していない人はひとりとしていなかった。1ヵ月もいれば、この国の経済と発展にいきおいがあることは一介の旅人でも感じる。現地の人は身をもって実感しているのだろう。どこかの国みたいに、そのうちじりじりと本性を見せ始めるなんてことになりませんように。

ポンディチェリへ。

カーニャクマリからスリーピングバスで9時間。きれいな二人用シートをひとりじめ。朝5時着。まっくらな中ぼったくりオートリキシャに押し切られ200Rpで中心部に向かい、24時間制のゲストハウスにチェックイン。

ここに来たメインの目的はさるロケ地。と、あともうひとつ、この町にはオーロヴィルという国籍、信念、宗教を超えた世界最大級の自給自足型コミュニテイがあり、そこも行ってみたかった。オーロヴィルは、金色の球体状の瞑想施設マトリマンディルを中心に、上空からは渦に見えるようにデザインされている。1日ツアーに参加しただけなのでマトリマンディルを外から見る程度で終わったけれど、次はできれば滞在してみたいと思った。創設者オーロビンドとそのパートナー、ミラ・アルファサ通称マザーの写真が町中のいたるところで飾られていた。

そのほか、ポンディチェリは他のインドの町とまたちょっと違って独特。旧フランス領だけあってクロワッサンやデニッシュ系パンがおいしいカフェも多い。めずらしくスーパーマーケットもある。あと、通りは一瞬バンコクのカオサンを思い出す雰囲気。本当にインド、いろんな顔があって飽きないよ。

と、だらだら日記を書いてきましたが。

1ヵ月半の旅。最初の出だしがなかなかに強烈だったものの、インド出国間際になって、人や景色を眺めながらにやにやするというのは結局今回も変わらなかった。だっていちいち愛し可笑しいんだもん。クラクションがん鳴らしのバスに乗りながら「うっさいわー笑」なんだもん。好きというのとはちがう、とこの前書いたどのくちがですが、すみません、やっぱり私、インド好きみたいです。それも増えて戻ってきた感がある汗。や、でもどうだろうな。次も「やっぱりあたし好きとかいうんじゃないし、今回こそは嫌いになるかも」と思いながら旅してそうな気がする。