昭和な、いわゆるひのまる弁当が食べたくなった。やるからには何日か続けてみようと、脳内会議で決まった。
1日目。
昭和ひのまる弁当のきほんのき、と言えば、白米、梅干し、沢庵だろうか。それにいわしがついても許される気がする。
しかし、見ての通り、お米は玄米だし、いわしではなくししゃもだし、ものたりなさを補うため具沢山のおみそしるもついている。しかも昭和のステンレス弁当箱を装った弁当箱は、インド産である。
しょっぱなから何かと枠をはみだしているが、まあいい。
ちなみに一応のこだわりとして、梅干しは紫蘇と塩だけで漬けた塩分18%のもの、沢庵も完全無添加のものを選んだ。おみそしるも、普段はちゃちゃっと粉を使うが、今回はいりこ、かつお節、こんぶなどでダシをとった。
なぜそこはこだわりそこは・・・というつっこみには耳を貸さない。中途半端は私の得意分野である。やりたいことをやりたいようにやる。ただそれだけである。一見かっこいいが詭弁である。
朝 自家製ヨーグルト。
夜 プロテイン。
2日目。
早くも物足りなくなったか、塩昆布を付け足す。
しかし、必要なかった。全然いけた。余裕だった。梅干しはしゃぶりつくすところまでいくことなく、沢庵も2枚残してのごはん完食となった。その2枚も食べたけど。
実際これらのおかずは、ごはんがぐいぐい進む。そこまでお米大好き人間ではないはずだが、おいしくてしかたがない。
そもそもなんでこんなことを始めたかといえば、確かに急に思い立っての実験ではあるのだけど、備蓄していた玄米をそろそろ食べ尽くさなくてはいけない事情があり、お米消費といったら昭和弁当でしょう、となったというしだい。
あと、あっというまにおいしく食べられてしまうのは、空腹な時間に食べる、というのも大きい。まああたりまえなんだけど。一番食べたい気持ちが募ったころ合いで、満を持して食す。
そういうわけで、夕食といいながら4時頃に食べていたりする。当然夜はおなかが空くから、遅くまで起きないようにしている。でもごはんを量しっかり食べてるせいか、意外と、今のところそこまで空腹感、飢餓感もない。
ちなみにお味噌汁に白いのがうかんでるのは、ヨーグルトからでたホェーをぶちこんだから。無駄にしない心。すばらしい。自画自賛の夕べ。
朝 自家製ヨーグルト。
夜 ブルーベリーラッシー。
3日目。
3日目にして、お弁当と銘打っているからには、小皿に分けるなどこじゃれたことをせずに箱内でおさめるのが筋ってものではないだろうか、と根本的なところに気づく。そういうわけで、全乗せしてみた。
塩こぶにはやはり、あなたスタメンではないですよね、とご退場いただいた。
そして、ここにきて台頭してきているのが梅干しのしょっぱさである。ちょいつら、となっている。そもそもわたし、梅干しはそこまで得意じゃないのだった。普段の生活ではなくても全然いける。食べるとしても塩分7~8%のまろやかなものについ手がのびる。
なのでどうにもあまる。あまるというのは、皮を食べたあと種回りをしゃぶりつくすところまでいかないということ。見るだけで顔がしょっぱい顔になる。これぞ梅干し。
塩分は、保存的意味合いもあるけれど、ごはんを進める重要な旗手でもある。
インドの貧困層におけるダールカレーがしょっぱいのもそういうことだと聞く。少ないおかずでご飯を多く食べて、お腹を満たすため。せつない話ではあるけれど。
そういえば私、マンゴーのアチャール(インドの漬物)は好きなんだよな。あれがあると、カレーの辛さは苦手でも、あのしょっぱさでなぜか緩和される気がして、お米もしくはチャパティがすすむ。
ちょいちょいインドをはさむのやめようか、きみ。
朝 自家製ヨーグルト、自家製ミューズリー入り。
間食 バナナ。だしにつかったいりことこんぶ(伏線)。
夜食 枝豆(伏線)。
4日目。
昨日の気づきが引き金になり、そうだ、あれがあるじゃないか、と、一見昭和ステンレス弁当に見えるやつではなく、どっからどう見てもザ・インドな三段弁当箱(ダッバー)に入れてみた。
どんどんコンセプトがずれてきているが気にしない。
こころなしか装いが変わるとまた、別のおいしさが加わるような気がした。食には視覚も大事。ただ、お味噌汁も三段のうちのひとつに入れたことで、ステンレスに汁物を入れるとあつくて持てない、という、ごくあたりまえ体操な知見を得た。
キッチンペーパーを置いているのはそういうことである。いろいろ見苦しくて申し訳ありません。
ところで沢庵。沢庵はかならずかじる。貴重なおかず群であり、一口で食べてしまうのはもったいないからでもあるけれど、かじって食べるとなぜかおいしさが増す気がする。
沢庵、おまえも梅干しと同様、こんなにごはんをひきたてる伏兵だったのだな。スタメンなのだから、伏兵という言葉は正しくないか。こういう有能な二番手的な兵士をなんていうのだっけ。別に兵士に例えなくてもいいのだけど。
とにかく、今回もあっというまに完食であった。梅干しと沢庵という二大兵士がいるために、ごはんが半分以上なくなるまで、ししゃもの存在を忘れていた。気づいた時には、めちゃめちゃ得した気分になった。ごはんがなくなった時にはししゃも1匹と沢庵2枚が残った。食べたけど。
ただ、おかずが毎回残ることで、大きめの梅干しに沢庵5枚、具だくさんみそしる、こもちししゃも2匹、これってもしや贅沢すぎるのではあるまいか、と気づく(遅)。本当いうと、うすうすわかってはいたけれど。
で、ここにきて、沢庵は何枚が正解なのか問題が浮上する。
いそいそとネットで検索しはじめるも、わからないことがあったらすぐネットを頼る時点で昭和所作からさらに遠のいている気がしてくる。ネットからも、知らんわ、自分で考ええ、とすげなくされる。つまり、そんなことを検索する人はいないのか、ぴしっとくる答えがのっていない。
しょうがないので自分で考える。なんとなく2枚が正解、という天啓が降りてくる。3枚までは許されそう、と空耳が響く。
あと、2日目に、飢餓感はそんなに、と言っていたけれど、うそでした。昨日あたりから、4時以降、気づけば食べもののことを考えている状態に。
だいたい今回のこれはただの思いつきで、ダイエット目的でも健康目的でもなかったはずなのに、2日目の進捗をみて、間食も極力減らす方向で行く、と脳内管理職が勝手に決めてしまい、そこまでするとかきいてねえよう、レクリエーションの一部じゃなかったのかよう、と、一部社員の反感を買っていた。
この日、社員は夜隠れておもちを2個食べ、しかるのちリッツに手を出した、と脳内社内でうわさされている。
朝 自家製ヨーグルト、自家製ミューズリー入り。
夜 上記うわさを参照。
5日目。
昨日持ち上がったおかず多すぎでは問題から、今更ではあるものの基本に立ち返ることにした。
すなわち、白米、梅干し、沢庵の3点セット。件の沢庵の枚数については、ネットから正しい答えはひきだせなかったため、勝手に3枚とした。残っていた沢庵の中で一番厚い3枚を選んだことは内緒である。
で、結論をいうと、全然いけた。梅干しと沢庵3枚であっというまに白米が消えた。多分2枚でも大丈夫だった。
それにしても、最近では玄米2:白米1の割合が自分最適解となっており、玄米のつぶつぶ触感が大好きではあるが、たまに食べるつやっつやの白米は本当に、もう本当に、
う、
うめー!
である。
彼女が握っているのはマンゴーであるが。
沢庵は、あいかわらず、かじって何度かに分けて食べる攻撃でおいしさアップだったし、梅干しは、おかずが少ないほど塩分18%がいきてくるのを実感した。ほんの少しの皮を箸できりとり口にほおりこむだけで、ごはんが何口もいける。日本の知恵。日本の食文化はすばらしい。
でも、おいしいお米が食べられる今だからこそ、よけいそう感じられる部分はあるかもしれない。ありがたい。なんて、きれいにまとめるつもりはなかったのだけど、事実そう感じたものはしょうがない。
朝 自家製ヨーグルト。
夜 内緒(打ち上げ)。
*
そんなわけで、5日間の昭和ひのまる弁当を終了した。
本当は、あと2日やって1週間続けようかと思っていたのだけど、空腹感が募っているのもあってか、仕事の締め切りを控えているというのになにやっとんじゃーい、と脳内労働組合がこぶしを振り上げ始めたため、5日で打ち止めとなった。
5日目に基本に立ち戻ったおかげでししゃもがまだ残っていたし、別の国の器を使う案もあったし、最後の日は卵焼きをプラスしてごちそう昭和弁当でフィナーレ!などと、企画は他にもあったのだけど。
企画を採用するほど本来の意図から離れていくわ、管理職が途中で勝手なルールを加えていくわ、社員が反乱起こすわ、結局何がしたかったのかよくわかりませんが、いろいろ無駄な知見が得られたし、楽しかったのでよしとします。
とほ
件のダッバー購入について書いた旧ブログの記事はこちら。