こんにちは、デリー在住のとほです。
ブリンキット観察マンの異名を持つ私(持ってない)、買う必要あるなしにかかわらず、あー疲れたとベッドに寝転んではアプリをわけもなく開き商品を眺めるほどには、観察が日課となっております。
ブリンキット(Blinkit)関連記事:インドの食のデリバリーサービス3選。
で、この2年の観察期間において、インド食材も輸入食材もなんなら食材以外も、当該アプリで買えるものがみるみる増えていっておりまして。なかでも好きな観察品目である粉類が格段に増えました。
でも、デリーに来た当初は全然種類が少なかったんですよね。

2022年末からの5ヶ月間のバンガロール滞在時に、南インドはスーパーに置いてある粉類が豊富であることを知りました。
関連記事:[インド自炊粗食生活]インドの小麦粉マイダでベーグル作った
南インドの主食は基本お米。ですが、ドーサ、 ヴァダ、イドリといったティファンもはずせない食文化ゆえ、さまざまな粉類が売られているのは不思議ではありません。知らない食材使ってみたいマンでもあるので、ひとつずつ試してみたくはあったのですが5ヶ月はあっというまにすぎ。
一方、チャパティを始め小麦粉ものが主食の北インド。主食は粉ものなのに、デリーで暮らし始めて早々に、思ったより粉類が手に入れにくいことに気づきました。や、アタ(全粒粉)はもちろんある。ですが主食ゆえか、ブリンキットで売られているものは5kg以上がほとんどで、1kg前後はあってもわずか、だししょっちゅう売り切れマークがついている。近場のスーパーを数件あたっても、やはり5~10kgがででんと山積みされていて、少量がなかなか売ってない。大型スーパーにいけばあるけど、日々使うものに毎回遠征は厳しい。ってアタの話じゃなくて、そもそも手軽に手に入れられる粉の種類が南に比べて全然少ないなあと。
そうかあ、ちっちゃめスーパーでもずらりと魅惑的に置かれていたのはあれは南インドの特徴だったかあ、と思っていたのですが。が。
ここ最近のブリンキット、気づけばあの粉もこの粉もいつでもどうぞ状態になっている。今年になって待望の「お気に入り」機能が実装されたのもあって、使ってみたい粉類にせっせと❤マークをつけるなどしていました。
で、このたび一気に七種を捕獲。

ただブリンキット話でひっぱときながらあれですが、結局買ったのは大型スーパーで。視覚に訴えられると人は弱いものですね(分母広げすぎ)、先日アンビエンスモールに出かけた時にスマートバザールに寄ったところ、❤マークをつけていた粉がずらりとならべられており、色違いのジャケットにも惹かれて、気付けばあるだけカートに入れていました。
本当は七種以上あったんですが、思うところあってグルテンフリー縛りで。
というわけで、一挙に召喚しちゃってあなたそれちゃんと使いこなせますのん?という我が身への問いはひとまず横において、メンバーを紹介していくことにします。
お越しいただいたグルテンフリー粉七種
米粉/Rice flour/चावल आटा
イドゥリ、ドーサ、ウッタパムなどで使われる食材。ウラド豆粉とミックスして使われることが多いようです。

私もベーグルを米粉に置き換えて作ってみようかなと思い立ってブリンキットで一足先に購入しており、なので実はスーパーで購入したのは二袋目。パンを作ったらまたここで報告しますね。触った感触は、米粉特有のきゅっきゅっとする感じ。
ここからは雑穀(millet)類。
ラギ粉/Ragi flour/रागी आटा
Ragi flourと書いていますがこれはまんまラギの粉ということで、英名はFinger millet。いわゆるシコクビエ。バンガロール時代に気に入って使ってました。デリーでもこの粉を買おうと探したのが、北インドでは粉類もしかして少ない?と感じたきっかけ。
七種まとめて白い粉呼びしてますが、ラギ粉の色はうっすら褐色。焼くとチョコレート色になります。私はよくつぶしたバナナと混ぜて薄いパンケーキにしてました。

また、Airbnbのおかあさんがケーララ州出身の人で、夕飯をごちそうになった時に、カレーに添える主食としてケニアの主食ウガリみたいな蒸した塊の形状で出してもらったのを覚えています。それを崩しながらカレーと合わせて食べてました。
ジョワール粉/Jowar flour/ज्वार आटा
英名はSorghum。タカキビ。この穀物のことは、昔読んだインド食文化の本で古来からの食材として存じてはいたんですが、現代インドでは何にどう使うかは知らず。ChatGPTに聞いたところ、ジョワールロティと出ました。
その他のChatGPT情報:「クセが少なく、他のミレット粉より軽い」

バジュラ粉/Bajra flour/बाजरे आटा
英名はPearl Millet。日本語ではトウジンビエと呼ばれるものらしい。この穀物もジョワール粉と同様本で名前だけ知ってて、現代インドでどんな料理に使うか知らず。ChatGPTに聞いたところ、バジュラロティと出ました。とりあえずロティ作るらしいです。
その他のChatGPT情報:「低GI、やや土っぽい香り」
ここからは豆由来の粉。
緑豆粉/Moong dal flour/मूंग दाल आटा
英名はGreen Gram。緑豆自体は、日本にいる時から大量に茹でてトマトときゅうりとビネガー&レモンでまぜてもりもり食べたり、ココナツミルクの冷やしぜんざいを作ったりしてました。粉は初めて。うっすら黄味のある粉で、触った感触はきめ細やかでふわっと軽い。ChatGPTによると、北インドでは、チラ(パンケーキ)、ハルワ(インドスイーツ)、パコラの衣など、南インドではペーサラットゥ(ドーサのような軽食)、アダイ(パンケーキ)、サンバルやスープのとろみなど、とにかくいろいろなものに使われるみたい。
その他のChatGPT情報:「たんぱく質高め、ほんのり甘みと豆の香り」

ウラド豆粉/Urad dal flour/उड़द दाल आटा
ウラド豆といえば、なんといってもこれ。

ティファンの中でも大好きなドーナツ状に揚げたヴァダ。これも米粉を混ぜて作る地域もあるのかもだけど、主はウラド豆のみみたいです。ChatGPTによると、強い粘り・コクがあり、「粘りすぎ注意→他の粉とブレンド」とのこと。ウラド豆もいろいろなものに使われているようですね。←だんだん紹介が雑になってきた。
これも触った感触はきめが細かく軽め。豆系の粉は穀物に比べて全体的に軽い感じ。
大豆粉/Soyabean flour/सोयाबीन आटा
大豆粉もあったので買ってみました。念の為、大豆粉はきな粉ではないですよ? 大豆粉は生の大豆の粉。きな粉は炒った大豆の粉。そのまま使えるきな粉と違い、大豆粉は加熱必須。インド料理では…他の豆粉と同様いろいろみたいです。←だから紹介雑やって。
その他のChatGPT情報:「高たんぱく、脂質豊富、イソフラボン含有」

他にもあるあるグルテンフリー粉
ベサン粉/Besan flour/चने आटा
英名Gram flour。ごぞんじひよこ豆(チャナ)の粉。インドの粉といって私の中でまっさきにくるのはこれだったりします。パコラ(インド風てんぷら)の衣だったり、ミターイー(インドの甘いお菓子)だったり、実にさまざまなものに使われていますよね。七種から今回はずれたのは、むしろ定番で常備しているから。
ファラフェルも豆から作るのがめんどくさい時にはとりあえずそれらしいもの作れるし、素の味が好きでスナック感覚のパンケーキとして朝ご飯にしたり、カジュアルに日常使いしています。

ひよこ豆ってさ、なにげに使い勝手のいい豆よね。ファラフェルやフムスなどアラブ方面の料理でも使われているし、茹でただけでもおいしいし、豆腐も作れる。そういう目で見たことなかったけど、この粉ももちろんグルテンフリー。
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そば粉/Kuttu flour/कुट्टू आटा
英名Buckwheat。ロシアや南米のクラスメートと自国の食について話した時にそば粉の話が出て、世界的に市民権を得ている?粉なんだなと思った記憶があります。フランスのガレットもおいしいですよね。私もガレット作ろうとブリンキットの「お気に入り」には入れてたんですが、はて今回なんで買わなかったんだっけ? 日本のそば粉とどう風味が違うのか気になるし、そのうち買って試してみます。
ChatGPTによると、インドでは「北インドの断食時やパンケーキに使用」だそう。断食時と書いてあるのはそば粉だけだったんだけど、何か理由があるのだろうか?
オーツ麦粉/Oats flour
いわゆるオートミールの粉。私は粉ではなくて、押し麦形状のものをよく買って、シリアルのトッピングにしたりおかゆにしたりチョコチップクッキーに混ぜて焼いたりしてます。これは日本にいる時と同じ。粉は使ったことなかったんですが、ブリンキットで手に入るので今度買ってみよう。
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なぜグルテンフリー縛りに?
理由その1
体調的に。
いつ頃からか、小麦ものを摂取し過ぎると妙な頭痛やだるさや眠気がくるな、と感じるようになりました。最初はリンクしているとは思わなかったんですが、今も明確な因果関係はわからないんですが、どうも食べすぎた自覚があるときに不調が来る。
ふわもちパン大好き人間ですし、薄いチャパティで食べるカレーもパスタも好きですんで、いきなりゼロにすることはこれからもないとは思うんですが、実験的に減らしてみてもいいかな、と。まずはベーグルづくりを米粉に置き換えるところから始めてみようと。
理由その2
縛るまでもなく。
自身の小さい体験から、北では南より手に入りづらいと思っていたわけですけど、入手経路を知らなかっただけかもしれず。インドはもともと文化的に古代から豆類や雑穀を使った料理が豊富。でそういった雑穀や豆類ベースの粉はほとんどグルテンフリー。
ここでグルテンとは何かをおさらいしておくと、小麦粉+水分+コネで生まれるタンパク質の一種。まあ、小麦だけでなく、大麦やライ麦、麦芽などにも含まれているので、基本「麦」が成分のものはグルテンが含まれると考えておいたほうがよさそう。でもオーツ麦はグルテンフリーなんですが。なぜオーツ麦だけグルテンフリーなのかは調べるのめんどくさいので割愛。
あと、全世界的にもインド的にも需要が増えたからなのか、ジャケットの表面にででんと「GLUTEN FREE」と明記されており、選びやすかったというのもあります。お、おう、じゃあ全部いっとくかと。←ちょろい。
ちなみにグルテンフリーではないものは、ラベルの表記が「BALANCED DIET」となっていました。

インドの食文化の本の紹介
最後にインド食文化の本の紹介。
K. T. Achaya著 『Indian Food: A Historical Companion』。
訳書がなく原著のみなのでハードル高いかもなんですが、今はGoogle翻訳アプリで写真撮って訳せば内容をざくっとはわかるし、インドの食文化というかインド全体の文化や歴史を知りたい人はぜひ手に取ってみてほしい本。
食文化を軸にはしているけれど、旧石器時代、BCからACにいたるまでの古今&東西南北のインドの文化と歴史がみっちりつまっています。インドに興味があって少し知識が増えてきて、なんかもっと知りたいもっとくれ、と飢餓感が出たあたりの人は興味深く読めるんではと思います。というか私がそうだったんですが。
“あらゆる歴史や文化は互いに密接に絡みついているものである。古代文明に始まる歴史、地域、人種、言語、思想、宗教、経典など、それまで個人的に興味の赴くまま拾い集めてはいたものの自分の中であちこちに散らばっていたインドに関する知識の実が、原著を精読しまとめている過程である時、ざああっと一本の木に集約された瞬間があった。あの感覚はおもしろかった。
その木は、その後に長いインド道を思えばあくまで基本中の基本ではあったのだけど、でもベースとなる木が自分の中で立ったことにより、その後のインド道が少しだけ進みやすくなった気はした。“
関連記事:神話に出会う:姉妹で日本神話vsヒンドゥ神話バトル!?
が、白状すれば自発的に手に取ったわけではなくて、スパルタ的に精読せざるを得ない状況だったので読めたという話もあり汗。それでも大変興味深い本だと思うので、そっとここに投下しておきます。
上で紹介したシコクビエ、トウジンビエ、タカキビ、大麦などなどがどこで発見されたかとか、どの書物に初登場したとか、文献の中の記述とか、地域/宗教/カーストによる違いとか、ヴェーダの時代、ムガール帝国時代、外国由来の食材などなど、そらまあもう網羅的に書かれてあります。
あと同著者が出している食文化辞典もあります。
K. T. Achaya著『A Historical Dictionary Of Indian Food』
二冊はリンクしていて、『Indian Food: A Historical Companion』に出てきた食材をさらに深く知りたい時に調べる位置づけなのかな。ピンポイントで知りたい食材がある時はこっちが便利かも。
以上、なんかあれもこれもと欲張った記事になっちゃった気もしますが、書きたいことは書いたので本日はこれにておいとまいたします。
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