人の道を歩く、関門海峡ぐるり旅。

故郷下関ネタ

 

人道。

じんどう。

人として守るべき道。

ではない。今日話すのは、海を歩いて渡る道のことである。ちがう。モーゼじゃない。割ったりはしない。割らなくても海の下を歩いて渡れる道があるのだ。下関に。

というわけで、帰省話の続きです。帰省話、まだ続いてたんだ?という空耳が聞こえているし、他にも書きたいことが渋滞を起こしているけれど、帰省下関編だけでも年内に終えておきたくて。

父の車で最後のドライブ。
567禍に突入して以来帰省していなかったけれど、帰るなら、緊急事態宣言が解かれ、感染者数が激減していて、次の波が来て...

ところで、本州から九州へ関門海峡を渡る手段はいくつかあるけれど、車両用の橋やトンネル、連絡船の他に、海の下に人が歩いて渡れる道があることは、今では全国的に周知の話なのだろうか、「水曜どうでしょう」でも出てきたことあるし、ネットもある時代、昔よりは知られているような気もするけれど、そう感じるのは私が出身者だからで、旅行好きや中国・九州地方に関心や縁のある人でなければ、知らない人の方がまだまだ多いのかもしれない。

次に帰省する時に人道を含めた下関歩き旅がしたい、というのは、昨年コロナ禍でおこもり中にわいていた旅案の一つだった。というわけで、11月の帰省時に晴れて決行してきた。以下、基本的に、その時の写真を並べてだらだらコメントしていくだけの仕様となっております。師走の慌ただしい時期、仕事納めもして、掃除も終えて、なんか暇になっちゃったな、というあなたに。

歩き始め。

出発地点は下関駅にした。

Google先生によると、下関駅からみもすそ川にある人道入口までは約4km、徒歩で50分程度。せっかく人道を渡るのでそこから対岸のライバル(?)北九州市の門司港レトロまで歩くことにした。全部で7km。寄り道しなければ1時間半の道のり。楽勝である。なにせ私は800kmのサンティアゴ巡礼路を歩いた女。Googleマップで移動距離を確認する時も、車のマークより人のマークを真っ先にみちゃう女。

フグ推し記事にも出したフグパパラッチスポットその1を背に、今や老舗となったショッピングモール、シーモールの前を「シーモールシーモール下関♪」の脳内BGMと共に通り過ぎ、

韓国釜山へのフェリーが出ている下関国際ターミナルも通り過ぎ、

オーヴィジョン海峡通りなる通りを海峡ゆめタワー方向へ。ゆめタワーの展望台からの眺めもなかなからしいのだけど、これもやはり通り過ぎ、

途中、下関市との4つの姉妹都市(サントス、イスタンブール、釜山、青島)の名前が刻まれたボトルのオブジェやら、

旧下関駅跡やらを撮りながら進む。母の、昔はここから出ていた渡し船で門司に渡ったという話や城下町長府に向かってどこまでも歩いたという昔話を思い出すなどしながら、


海沿いを遊園地「はい!からっと横丁」方面へ。

関門海峡の流れは意外と早い。天気も良く、潮の流れに耳を傾けながら気持ちよく進む。

 

と、ここまでは順調だったのだけど。

トラップが近づいてきた。あそこを素通りできる自信ない。だってあそこにはあの子がいるんだもの。

トラップその1。

すいよせられていくと先客がいた。わかる。わかります。

あれ、いない。

いた!

ここは水族館「海響館」の裏手。入場せずとも、イルカに出会える場所。

しかし陰に隠れてなかなか出てきてくれない。しつこく待っていると、なに?まだいるの?という感じで、画面左側からすいい、と登場、こちらを横目で見ながら通り過ぎていった。これこれ。時折みせてくれるこの好奇心がたまらん。しょうがないなあ、という感じのサービス。でも、しつこくしてごめんね、おじゃましました。

トラップその2。

カモンワーフを通過して、唐戸市場へ。

唐戸市場では、祝日や週末に「活きいき馬関街」という、週末限定で新鮮な魚介をネタにしたにぎり寿司や海鮮丼などが味わえる飲食イベントをやっている。567の影響でしばらく営業自粛していたようなのだけど10月1日から再開となっていた。

[2023年4月更新] 活きいき馬関街の開催時間
金・土▶10:00~15:00 日・祝▶8:00~15:00
一般お問い合わせ先:TEL 083-231-0001

なので、自主トラップというか、最初からここで遅めの朝食兼早めの昼食にしようと思っていたのだけど。人の少ない時間帯を狙うつもりが、いちいち写真を撮ったり、イルカにラブコールを送っていたせいで普通にお昼になってしまった。ら、すごいにぎわい。

たら白子の軍艦巻きややはり下関な天然ふぐのにぎり、

まぐろの脳天、ヒラマサ、炙りのどぐろなどなど、ご当地海鮮グルメもりだくさんで目移りしまくり。



戦利品のお寿司と河豚汁を、市場の外のボードウォークというデッキにてにて、海峡の光を眺めながら食す。ちなみにこのあたりはフグパパラッチスポット目白押し。

関門海峡に浮かぶ無人島、巌流島に行ってみた。
帰省の話の続きです。 しょぼいという話は聞いていた。 武蔵と小次郎の銅像以外何もないよ、と。 しかしわたくし、あまの...

さて、お昼をすませたあとは、本当はこの日に巌流島に渡るつもりだったんだけど、現金を3000円弱しか持っていなくって、お寿司でそれを使ってしまい、でもまあ各種payあるしなんとかなるでしょと思っていたら、巌流島往復チケットの販売機がまさかの現金しか使えなくて数十円足りず(涙)。巌流島行きは後日しきりなおしとなった。

なので、もし同じルートで旅行を考えている方、巌流島へは、唐戸市場(カモンワーフ)隣の唐戸ターミナルから出ているので、同日に行くことができます。しかし現金の持ち合わせに注意。

そういうわけで私は巌流島はスキップし、人道に向けて出発。

壇ノ浦の戦いで亡くなった安徳天皇を祀る赤間神宮。の前を、そういえば幼稚園の頃、キトウ君という男子に耳なし芳一の絵本の一番怖いページを開いて追いかけられるなどしたな、とどうでもいいことを思い出しながら通りすぎ、

関門橋をくぐり、

源平合戦の最後の舞台となった壇ノ浦古戦場跡(みもすそ川公園)に到着。

源義経と平知盛の銅像。またここ壇ノ浦は、下関(馬関)戦争の長州藩砲台跡でもある。巌流島といい、源平合戦といい、明治維新の要所であることといい、実は何かと戦いの舞台である下関。

さて、そんなみもすそ川公園前の国道を渡ったところに人道入口がある。

くじらの絵が描かれたエレベーター。これをくだり、

開いた扉を左に曲がると、いよいよ人道歩行開始。

ところでこの関門トンネル人道の認知度について、冒頭でまだまだと書いたけど、かくいう私だって、歩いた記憶は片手で足りるほどしかない。そのうちの一回は自転車。大学時代に急に思い立って福岡から自転車で帰ってきた時に通った。しかし、アスリートでもなんでもないインドア人間、急に思い立ってやったので準備もなにもなく、朝博多を出発して夕方下関に到着した時には足ががくがく、その夜は筋肉疲労で熱を出した。で、帰りは車で自転車ごと送ってもらったという(なさけない)。でも、途中、通りすがりの車から声援をうけたりポカリもらったり、楽しかったなあ。

そんな思い出話はいいとして、人道、歩きは無料だけど、自転車だと20円かかります。

まあ、私はそんな感じで数えるほどしか歩いた記憶はないけれど、近くに住んでいる人にとってはよいウォーキングコースなのか、この日、往復している女性がいた。なるほど、片道15分程度の道、毎日の軽い運動として往復するのにちょうどいいかも。

人道は正直普通の地下道とそう代り映えはしない。じゃあ何が楽しいか、というと、今ワタクシは身一つで海の下を歩いている、という想像を働かせることです。だからなんだ、と言われればそれまでだけれど。

人道のちょうど中間にある、本州と九州を区切る境界。


そんなこんなで、気づけばゴール。

渡り切ったところで再び地上へ。

と、あれ?同じ風景。ま、まさかタイムループ!?ここは下関なのでは?

いいえ。大丈夫。あなたはちゃんと海を渡って対岸の門司にいます。その証拠にほら、

エレベーターがイルカの絵!

と茶番はこれくらいにして、先へ急ぐ。

歩き終わり。


貫禄のある猫トラップにひっかかりながらも、なんとかすりぬけ、

無事、門司港レトロに到着。

下関側の写真の多さに比べて、門司側はワープ感が激しくてすみません。門司港レトロも、その名の通りレトロな洋風建築物の立ち並ぶ、散策楽しい場所なんだけれど。

午前10時に下関駅を出発し、寄り道しなければ1時間半程度のウォーキングコースのはずなのに、トラップに引っ掛かりまくったせいで、門司港レトロに到着したのは午後3時過ぎ。目に留まったはちみつ屋さんのスイートポテトラテ(的なもの)、甘さがしみわたった。

帰りは、門司港レトロから連絡船でカモンワーフに渡るコースもあるけれど、私はJRで、門司港駅から門司乗り換えで下関駅へ。レトロから歩いて数分のところにある門司港駅の駅舎も、重要文化財に指定された大正時代の雰囲気を残すなんとも味のある建物。「もじこう」のフォントもいい感じだった。

そんな感じで後半は駆け足感が否めないけれど、関門ぐるりウォーキング旅レポ、以上です。

 とほ