今日はインドにも旅にも関係ない雑談です。
最近、ある漫画を読みました。
某漫画アプリで無料のところまで。理由はたまたま目にとまったから。風変わりなタイトルだったから目が引きつけられたというのはあるかもしれません。全8巻で完結している漫画で、そのアプリでは全68話構成だったので17話目まで。なのでまだまださわりです。
その2巻分で持っていかれる話ではあったけれど、課金して先を読み進めることはしませんでした。気になっていたいくつかの漫画の続きをひととおり読み終えてアプリを削除しようとしていたところだったのもあります。漫画アプリは時間食い虫なので、私はそういう使い方をしてます。とくに今こういう身ですし、アプリを削除して終了。
その数時間後にX(Twitter)を開いたところ、トレンド入りのトップにその一文字があるのをみつけました。
え。これってあれよね?今日読んだ漫画よね? たまたま見かけてたまたま読んだだけの漫画がSNSのトップにあがってくるってなに、…………怖いわー、やっぱりスマホってこっちの挙動読んでんのかしら、いや怖いわー、
と、そのへんの仕組みを知らない情弱ゆえ、あさってな方向の妄想が育ちそうになりましたが、ハッシュタグのついた投稿をみて飲み込めました。なんてことはない、今期アニメ化されてNHKで絶賛放映中だったわけです。Xを開いた時間が放送終了直後かなにかだったのでしょう。
そうか、アニメ化もされてるくらいには人気な漫画だったのか。え、なになに、「マンガ大賞」入賞? 手塚治虫文化賞のマンガ大賞受賞? 「星雲賞」コミック部門受賞?
……めちゃめちゃ話題作やないか。
Youtubeでも結構押してる有名人いるな。なんならGoogleの検索窓に「チ」と入力するだけで予測でてくるし。←気になって検索しはじめた人
漫画アプリで目に止まったのも当然といえば当然だったようです。
『チ。-地球の運動について-』。
作者は魚豊さんで、ずばり地動説の話。時は15世紀、天動説が真理だった時代に、当時異端とされた地動説に魅せられた人がその説を証明するべく、命をかけても受け継いでいく。知りたい欲求のままに。直感のままに。何を美しいと感じるかに従って。そのような話。多分。というのは結末まで読んでないので。
でもこの漫画、風変わりなのはタイトルだけではなくて、
※この先、10話目までの具体的内容にふれています※
なにしろ主人公が、主人公と思っていた人物がたった数話で死んじゃうんです。そして次の章から新たな主人公らしき人物が現れて物語をつないでいく。主人公が移り変わっていく物語。あるいは主人公は地動説そのもので、人はそれを受け継いでいく媒体、みたいな。なかなか斬新。
でも惹きつけられたのはそういう斬新さばかりでもなくて。
まず言葉がね、美しいのですよ。知的で合理的ではっとする言葉がちりばめられている。それを出すタイミングがまたうまくて。あざとい。でもわざとらしくない。まんまと揺さぶられ。
さらにはアニメのYoutubeでオープニングをみて、サカナクションの曲と映像の世界観にやられてますます気になってきたりして。
いや、みませんよ、よみませんよ。来年まではおあずけ。なんですが。
2日経って、朝学校に行く支度をしながら、この漫画のことをまだつらつら考えていたりして。
私は理数系はからきし弱い文系人間ではありますが、からきし弱いのに興味だけはあるし、
過去にはこんな記事を書いちゃったりしてるし、ケプラーといったら地動説と切っても切り離せない人物ですし、
そもそもブログのタイトルからして惑星ほにゃららだし、
なんなら昔出版した世界一周エッセイ本のタイトル『それでも地球をまわってる』は、いわずもがなガリレオのあれをぱく、あ、いや、もじったものだし、
辿ってきた道を顧みれば、地球とか宇宙とか、そのへんに鷲掴みされる性質であるのはまちがいないようです。
だし、飽くなき探究心、好奇心にかられて突き進む話にも弱い。
そういえば大航海時代も15世紀ですね。新大陸発見ブームだって、元はといえばコペルニクスの地動説に端を発しているんじゃなかったっけか。21世紀も変化の時代だと思うけれど、15世紀も人類史的に大きく世界が動く時代だったんだなあ。
『チ。-地球の運動について-』に話を戻すと、
タイトルのチはいわずもがな地のチ。でもそれだけでなく知と血の意味もこめられているらしいです。地と血と知。たった一文字にさまざまな意味を込められる日本語って本当美しい。
地に対する知の欲求でその血をたぎらせた人々の物語。
血は暴力的な意味も指すのかもしれません。や、むしろそっちだろうな。結構残虐な場面もありますから。でも物語の中心をなすのは、真理を知ろうと突き進む人々。受け継いでいく人々。
知に魅せられた人は美しい。知の衝動は美しい。
でも惹かれるのはひとごとじゃない、凡人の自分の中にもあるのを知っているから。