山陰ドライブ。それから下関のこと。

故郷下関ネタ

 

帰省した時にはよく家族でドライブに行く。

まあ言いかえると、他にやること(行く場所)の選択肢が多くないとも言える。

神話に出会う中国地方トライアングルの旅では、行きは山陰線、帰りは山陽本線の鈍行列車を使った旅であったが、その記事でも書いた通り、うちは下関でも山陰側にあるので、ドライブも山陰の海岸線に沿って行くことが多い。

山陰というのはつまり日本海側なので、日本海だなあ(語彙)という海の色を眺めながら行くことになる。日本海側の海の色はどちらかというと暗めのイメージだけど、日が差せばたちまち色が変わるし、場所によっては、え、ここ本当に山陰?山の陰?と問いたくなるようなブルーオーシャンが開けることもある。こういう景色をすぐに眺められる時、海の近くが故郷でよかったと思う。

私は山と海どちらが好き?と聞かれて速攻「川!」と答えるほどの川好きであるが、歩いて5分で海岸に行けるほど海の近くで育ったせいか、海と答えなくても海はそばにいてくれるもの、という多少の甘えがあるような気もする。だいじには思っているけれど、普段は忘れている家族のような。

ただ下関は、海に囲まれた町だけど、地形的に山も近い。つまりひとことでいうと田舎である。そうなんである。この際はっきり言うけど、山口県の中ではまだ開けている方かもしれないけど、下関はぶっちゃけ田舎である。帰るたびに本当に変わってない。若い頃はその変わらなさをもう少しこう、なんとかさあ、と、もどかしく思ったりもしたものだけれど、今はむしろそれが愛しい。少し語弊がある気がするので言い直すと、実際には変わってきてもいる。新しい建物ができたり便利になったりもしている。でも、都会に比べるとそのスピードのゆるやかなこと。でもそのことに帰省するたびにほっとする。建物の低さ。空の近さ。海の近さ。山の近さ。

海と山の両方が近いってすごく贅沢じゃない?と思う、今となっては。山陰(日本海側)も山陽(瀬戸内海側)も車でさっと行けるなんて、本州のはじっこの三角形地形の特権だ。山陽側には関門海峡がある。これも、昔はなにかとキャッチフレーズに「海峡」を掲げるところが、うーん・・・いけてない・・・と感じたりもしていたのだけど(下関の人見ていたらごめんなさい!でも昔の小娘が思うことだから)、今はむしろうちの故郷すごくない?海峡がすぐ近くにあるとかすごくない?みたいな・・・年はとるものですね。なにせわたくし今では海峡にロマンを感じる女ですから。遠くを旅して戻ってきたら幸せはここにあったのね、みたいな。メーテルリンクか。

相変わらず脱線が長い。

話を山陰ドライブに戻す。そんなわけで、帰省した時はドライブフットワークの軽い家族とよくドライブにでかける。その行き先は、気分や時間にもよるけれど、やはりここが選択に上がることは多い。

角島大橋(つのしまおおはし)

この橋は自分がいた頃はなかったので当然知らなかったのだけど、映画やCMで使われて気づいたら全国的に有名になっていた。このコバルトブルーは日本海とは思えないさわやかさがある。

余力がある時には(といっても運転するのは父か妹なのだけど)、インド人にも有名な(?)長門市まで足を伸ばす。子供の頃の記憶もあわさって、個人的には長門市の方が南国的にきれいな海が多い気がする。最近は行ってないけど、一時期はよく千畳敷という場所によく連れて行ってもらっていた。そこも見晴らしのいい場所なのだけどあいにく写真が手元にない。

そして千畳敷の少し先にあるのが。

海に向かって鳥居が立ち並ぶ元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)

BBCで取り上げられたのだっけ、この神社もある時から急に脚光を浴びた感がある。ここも自分がいる頃には知らなかった場所なので、帰省時にはじめて連れていってもらって、純粋に「へえええ!」と楽しんだ。

あとは、山陰ではないけれど、山口県内の名所として大好きな場所のひとつに、秋芳洞とカルスト台地もある。でもこれは脱線だし別の機会に。心象風景の中に残る、カルスト台地の音のしないはるかな空気がとても好きだ。

車でどこかにでかけた帰りは、川棚にあるたかせで瓦そばを食べて帰るのもわりと定番のコース。最近はうなめしもよくセットでいただく。

こんなふうにドライブは帰省時のイベントのひとつだったけれど、父も高齢になり、母と話し合って、来年、運転免許証を返納することに決めたらしい。なにもなければ今年帰省して、もう一度くらい父の運転する車に乗れるのかなあと思っていたけれど、次行った時は多分、車は妹のだけになっているはずだ。

そういえば、昨年帰省した時は、完全にペーパードライバー化していたのをなんとかしたくて運転の練習を父につきあってもらった。いつも助手席から父の運転に口をはさむ母は後ろの席。川棚近くで、車のこない道になってから代わってもらい恐る恐る運転した。それから、だっぴろいだれもいない駐車場で駐車の練習をした。父は、めんどくさがるかと思ったのに、意外に丁寧に教えてくれた。大昔ごく短い間運転していた頃はバックも縦列駐車もけして苦手ではなかったはずなのだけど、まあ私のハンドルさばきはぎこちなくて、父と母と3人で笑い転げた。

免許返納はよくよく考えてのことだろうし、私もそれでいいと思う。でも少し切ない。

とほ

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