インドの寝台列車での長距離移動、好きです。
1日以上乗っていても平気なほどには好きです。今では8~10時間くらいだと短いと感じるくらいです。
前回のスリランカ旅の前後でもデリー⇔チェンナイ間を往復しました。片道36時間。行きは遅れが発生したので43時間。
そ、そんなことないよ。チャイをちょいちょい飲み、TwitterもといXで暇とつぶやき、本気寝したりヒンディ語の数字を覚えたりうたた寝したり本を読んだりうたた寝したりしているうちにあっというまにつくよ。自堕落最高。
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それはいいとして、移動時間が長くなるほどにネックになってくるのは食事の調達。まあでもぜいたくをいわなければなんとかなります。ぜいたくをいわなければ。
参考までに私の夜行列車移動時における主な食事調達法を書きますと、
とその前にインドの寝台列車のシステムを簡単に説明しますと、「AC付きの1A(First Class)、2A(2 Tier:2段寝台)、3A(3 Tier:3段寝台)、ACなしのSL(Sleeper)があり」、私が予約するのはたいていAC車の2 Tier、できれば上段、なければ下段、予約が埋まっていれば3 Tierです。でも3 Tierは2 Tierより安いですが、2段目、3段目は身を横たえて寝るだけのスペースしかなく、長時間を快適に過ごすには不向きなので、利用するとしても寝ているあいだに着いているくらいの距離でしか使いません。
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そういうわけで今回の記事は主にAC車の話になります。で、私の食の調達方法は以下。
1. 買い込んで乗り込む
事前に果物や水、スナック、ビスケットなどを買って乗り込みます。でもこれらはあくまで保険で、何もない時用のつなぎです。
夜行のときは出発時間が遅めなので、夕食はすませてから乗ることが多いです。なのでできれば買いたいのは翌朝以降の食事代わりとなるもの。サモサなどの軽食が売店で売ってあれば、そしてそれが新鮮そうであれば、買って持ち込むこともありますが、少し時間が経っても問題なく、少なくとも抵抗なく食べられそうなものを駅や周辺の売店で見つけるのはなかなか難易度が高く、結果、直前に買うのは水と乾きものくらいになります。
2. 途中の駅の売店や売り子から買う
停車時間が長い駅で、外に出て売店でスナック類を買い足したり、売り子から軽食を買うこともできます。できますが、一度だけ人に頼んで10ルピーのプーリー&サブジを買ってきてもらったことがあるだけで、実は自分で外に出て何かを買ったことはありません。買っているあいだに発車したらとはらはらしちゃう蚤の心臓の持ち主なので。今はアプリである程度は停車時間が推測できますが、それでもはらはらしちゃう。
3. 車内を巡回する売り子から買う
これが一番簡単で手っ取り早いです。水、チャイ、サモサ、サンドイッチ、ビリヤニなど、さまざまな飲食物を定期的に売りにくるので、頃合いを見計らって声をかけて購入します。それに夜はまず注文を取りにくるので、言われた中から選びます。ターリーかビリヤ二のことが多く、100ルピー前後。ただ、おいしいかというと微妙。インドの寝台好きという旅補正スパイスをのせて0.5割増し。それもだんだん効かなくなってますが。とりあえずお腹を満たせるのは助かる、というところ。
4. おすそわけしてもらう。
同じコンパートメントで仲良くなったインドの人から、おすそわけしてもらうこともあります。家族連れの人たちは手作りの食事を持ち込んでいることが多いです。少し話すうちにうちとけて、パラタやタッパーに入ったサブジ系のおかずをわけてくれることがあります。インドの家庭料理って、お店の刺すような辛さと違って、辛いは辛いんだけどどこかまろやかでおいしいのよ。安全面を考えると手放しでおすすめはできませんが、こういう機会があるのはやっぱりちょっと楽しいです。
この流れで、列車内で現地の人とうちとけることについて。
外国人ということで質問攻めにあったり、大きなお祭りや寺院参拝帰りの陽気でパワフルなおばちゃんたちのおしゃべりと踊りにいやおうなしに巻き込まれる(笑)といったことも起こりうるインドの寝台列車。
たまには自ら巻き込まれに行くこともありますし、まったく人と話さないのもそれはそれでちょっと寂しいのですが、もともとが独りの時間を好む方ですので、密度高く話しかけられても困る。2 Tierの上段を予約しがちなのは人とほどよい距離を保てるからというのもあります。下段でもいいんですが、就寝時間まではたいてい同じコンパートメントの全員が座っているし、下車が近い人が座ったりもするので、なかなか自分ひとりのスペースというわけにはいかない。
でも、AC寝台の客層はそのへんのバランスがよいというか、全体的にマナーがよく、最初のうちはわりと各々の世界で、ベッドメイキングとかなんらかのきっかけで話し始めて、また各自の世界に戻りのくりかえし、みたいな静かな交流が多い気がします。
そんな中で、有益な情報を教えてもらうこともあります。第五の調達法も、同コンパートメントの落ち着いた若い夫婦から教えてもらいました。
というわけで、ここからが本題。前振り長くてさーせん。
5. 列車専用フードデリバリーアプリ、Food on Track
行き交う弁当売りからビリヤニを買っていたら、この時は2 Tierの下段だったんですが、向かいの下段で食事をしていた若いご夫婦からFood on Trackなる便利なアプリを教えてもらいました。
駅に到着すると同時にふたりのもとにピザやおいしそうな匂いのする温かい食事が届けられているのを二度ほど見かけていて、どうやって頼んだのか気になっていたんですよね。
Food on Trackは、インド鉄道IRCTCと連携している列車専用フードデリバリーアプリで、食べたい時間の2~3時間ほど前に、アプリを開いて自分のPNR番号(列車の予約票に記載された10桁の予約番号)を入力し、受け取りたい駅と食事を選択すると、該当駅到着時に自分の席まで食事を届けてくれるシステム。インドの電話番号があれば(※)使えて、Cash on Delivery(COD:現金での代金引換)でも支払い可能とのこと。
使い方のステップ
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自分のPNR番号を打ち込む。
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停車する駅が三つくらい提示される。
⇓
受け取りたい駅を選択する。
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利用可能なフードデリバリーが提示される。
⇓
食べたいものを選んで待つ。
⇓
該当駅で席まで届けてくれる。
⇓
オンラインかCODで支払う。
自分がまだ使ったことがないので、きいたままの簡易的な説明ですみません。
Zomatoなんかのように選択肢が潤沢にあるわけではなさそうだけど、でもこのアプリを使えば、インド列車移動時の食の心配をすることが格段に減りそうです。とくに辛いもの苦手人間にとっては、ピザや中華など他の選択肢が広がるのはとても助かる。車内販売のビリヤ二やターリーもたまにならありなんですけどね…。とかいいながら、一旦使い始めたらもう車内販売ビリヤ二は食べなくなったりして。
次に寝台にのる機会があれば使ってみて、またレポートしますね。
補足情報
2024年9月追記: 7〜8月にインド旅行に来た知人にもお教えしたところ、早速Food on trackアプリをダウンロードして使用し、便利だったと報告いただきました。でもおいしくはなかったらしいw。 ので、味はやはり運次第かも。
現地SIM(電話番号)の取得について
インドの現地SIMとそれに紐づく電話番号は、空港や街中のAirtelやVIの店舗で取得できます。デリー国際空港はやや高いですがその場で取得できますし(アクティベートまでには数時間かかります)、街中のAirtelやVIの店舗では、OTP確認用に現地の知り合いの電話番号が必要ですが(ホテルの人に頼むなどすれば可能)、アクティベートに時間がかからず空港より安く取得できます。
海外旅行では、データ通信確保のために、海外専用WiFiを持参したり海外ローミングを利用する選択もあると思いますが、インドでは今回紹介したアプリ以外にも、お店で何かを買うたびに電話番号を聞かれたり、映画を観にいけばSMSでチケットが送られてきたり、カフェのWiFiを使うにしてもOTP送信が必要だったりと、なにかと現地の番号が必要になるシチュエーションが多いです。電話番号があるだけでスムーズに進むことも多いし、滞在中のQOLが向上すること間違いなしなので、ぜひ取得をおすすめします。