デング熱で入院した話、続きです。
保険は使えた?
入院の話の前に、保険について。
私がこの入院で使った保険は、クレジットカードについている海外旅行傷害保険でした。
カードの種類: 楽天プレミアムカード 付帯条件: 自動付帯 |
クレジットカードについている海外旅行保険は、各会社によって適用される条件に違いがありますが、大きな違いは自動付帯と利用付帯。
簡単にいうと、自動付帯とは、そのカードを所有しているだけで適用される保険、利用付帯とは、航空券購入や宿泊費など旅行に伴う支払いをそのカードで行えば適用される保険のこと。
楽天系では、楽天カードと楽天ゴールドカードは利用付帯、楽天プレミアムカードは自動付帯になります。
楽天カードにおける利用付帯の条件は、
“日本を出国する以前に 『募集型企画旅行の料金』 に該当する代金を 利用条件のある楽天カード で支払っていることが条件になります。航空券のみのご購入は含まれません。”
(引用元:「クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険」)
自動付帯、利用付帯いずれも、出国後最大3ヶ月までという縛りはあります(利用付帯の場合は適用対象となる支払いをしてから)。
このほかにもサイトにいろいろ書いてあるのですが、もともと保険の適用範囲を把握しておくのは苦手だし、利用付帯めんどくさそう、という理由で、楽天含めて所有するカードの中から自動付帯一択で持参するカードを選んできてはいました。
それは正解だったと利用後の今ははっきりくっきり思うのですが、行く前は、保険を利用するような事態にはならないとどこかで思っちゃってましたし、いざ必要となったときはネットで該当ページを探して電話番号みつければいいや、と思ってました。今は電波がどこでもつながるし、と。
が、過去の自分にいいたい。
メモはとっておくべし!
あと、いつもあると思うな電波と健康。
実際、体調も電波も悪い中で楽天損保の該当ページにたどり着いて電話番号を探し出すまでに、激しく消耗しましたし(※前記事参照)、入院後も、自動付帯の補償内容に含まれていたキャッシュレス診療を利用して、そのありがたさが身にしみました。体調が著しく悪い状態で海外の病院で入院の手続きするのとかまじで無理!でしたから。
ちなみに他の保険には入っていなかったのかというと、イエスというかノートいうか。どういうことかというと、昨年出国前に、ためしに日本でもともと加入していた医療保険の会社に海外でも使えるか電話で確認したところ、必要時は自費で支払って帰国後に請求という形にはなるが利用は可能ということだったので、いざというときはそれで対応することにしたのでした。
いやー、でもこれもね…。自費で支払って帰国後に請求ね、OKOK、は、使うことにはならないだろうと思っている身が思うことでして。その場ですべてが完結するありがたみよ。
そういう一切を含めて、クレジットカードの保険適用期間内に罹患したのは不幸中の幸いでした。
入院までの流れ
保険会社に電話してから病院に到着するまでの流れを、箇条書きします。
楽天プレミアムカードの保険デスク(楽天損保)のページを確認。
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該当番号へのインドからのコールはコレクトコールを使うことが判明。
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電話番号を契約しているAirtelではコレクトコールが利用できないことが判明。
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他に方法はないか調べたところ、Skypeからコレクトコールがかけられるらしい、ただし有料ということがわかる。
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削除していたSkypeを再度ダウンロード。スカイプクレジットの一番低い金額をチャージし電話。
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電波の悪さに四苦八苦しながら保険デスクにようやくつながる。
希望の病院に聞かれるなどし、明日また連絡が行きますということで不安になりながら翌朝を待つ。
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翌日、Whatsapp経由で現地のジャパニーズヘルプデスクから丁寧な連絡が来る。
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パスポート番号、ビザ番号、日本出国を証明できる書類など、要求されるものを提示。
↓
無事入院できる運びとなり、担当の人と病院で落ち合うことに。
病院到着後
私が入院したのはPSRI病院という南デリーにある総合病院。
保険会社の人との電話連絡時に病院の希望をきかれたので、サケットのセレクトシティモールの手前で見かけていた立派そうな病院(Max Super Speciality Hospital)をとりあえず指定してみたのですが、空きがないということで、日本人の利用も多く一定の評価があるというPSRI病院をすすめられました。
病院に到着すると、前日Whatsapp経由で連絡を取り合っていた現地のジャパニーズヘルプデスクの人が待機していてくれました。
Whatsappでのやりとりから丁寧な応対なのは感じていましたが、オンラインでのやりとりそのままの誠実そうなインド人の青年。日本語も、ヘルプをしていただくのに支障のない流暢さ。だし、「お疲れ様です」とか「よろしくお願いします」とか「ここでお待ちください」とか「もうすぐですからね」とか気遣いがめっちゃ日本式でびっくり。
病院にたどりつくまではへろへろでしたが、ヘルプデスクの人と落ち合って車椅子に乗せられてからは、診察時の通訳、入院手続き代行、検査の付き添いと必要な手続きはすべてその人がやってくれ、病室に入るまで、体調以外は心安らかでいられました。
入院生活
病室
病室は広く清潔でした。
5階だったか、階数はちょっと覚えていないのですが、大きな窓からの見晴らしもよく。
部屋にはテレビも付いていましたが一度もつけなかったな。
付き添いの人用のベッド兼ソファもありました。入院中何度も付き添いの人はいないのかと看護師さんにきかれましたが、来たばかりでいるわけねえです。し、こういうときはよほどでない限りひとりでいたいほう。
治療
入院初日の診察と検査で正式にデング熱と診断がおりました。
血液検査の結果、血小板数が著しく低下していることがわかり、今後様子みて回復しないようなら輸血が必要になるといわれました。
治療は基本的に点滴、投薬、安静。毎日午前中に主治医の巡回があって、経過を聞いたり質問に答えるなどし、あとは各食事、採血、血圧測定、それ以外はずっと寝てました。
幸い数日後に血小板の数値が改善したので輸血はせずにすみましたが、体力回復に時間がかかり、結局1週間の入院となりました。
デング熱の流行によりやはり入院患者は増えているらしく、別の階には私以外にも日本人が入院しているとのことでした(注:2023年9月時点)。
問題
施設や主治医や職員も含め、とくに不満のない入院生活ではあったのですが、いくつか問題もあるっちゃありました。
病室の浴室のお湯が出なかった。汚部屋脱してきたのにここでも出ないんかーい。毎回、頼んでお湯を運んできてもらってました。
まずいというか口に合わないというか。病院食だからというよりインド食がもうきつうてきつうて。笑。
少なくとも辛くはなかったし、ソフトな味付けではあったんだろうと思いますが、スパイスがいかんせん無理すぎた。キチュリ(インド版のおかゆのようなもの)はぎり食べられたけど、毎日はきつく。基本、ゆで卵とか果物とか、素の味に近いものだけ食べてました。
後半体調がいくぶん回復してきてお腹も空きはじめたころは、Zomatoという選択もあるよ、とヘルプデスクの人に教えてもらって頼むことに。Zomato、病院でも配達してもらえるんですね。この頃には白米への欲求が激しく募っていて、でも日本食は高いので困った時のコリアンフード、キンパをオーダー。めちゃ、めちゃ、しみました。
退院後。
退院日当日は、最終診察を受け、処方薬を受取り、ウーバーで自宅に戻りました。その一週間後に自宅に採血の人が来て、翌日フォローアップ診察のため病院に行って体調を報告して、全入院過程終了となりました。
ちなみに自宅というのは例の汚な部屋ではなく、3日後に引っ越ししたアパートの部屋。近くてほんと助かった。アパートのオーナーさんが、私が救急病院に向かうところを見かけていたらしく、すごく心配して、入居時にそのへんだいじょうぶなのかとか緊急連絡先をすごく聞かれました。まあそれはそうだろうな…。入居拒否にならなくてよかったです。
退院後の経過は、退院直後はけっこう倦怠感がありましたが、その後ちゃんと回復していきました。
あと、日本食恋しいが募りまくっていたので、即効ネループレイスにある『すき家』に行って、自主快気祝いをした。頼んだのはなぜか白米でなくラーメンでしたけど。
関連記事:デリー民、幻のたまごを求めてグルガオン・サウスポイントモールへ。
後遺症?
回復後、おまけがありました(涙)。
楽しい学生生活を満喫していた数カ月後、突如髪が抜け始めました。それまでも秋口に抜け毛が増えることはあったので自律神経とか歳のせいかしらんいやだわ、と最初は軽く考えていたのですが、抜け方が尋常じゃない。お風呂のたびに排水溝に流れていく髪の量がすごいし、手をやるだけでもするする抜けていく。
原因もわからずシャンプー変えても改善せず、リアルムンクの叫びで調べているうちに、デング熱の後遺症ではという説を見かけます。高熱が続くと一旦細胞が死んで数ヶ月後に抜け始めるのだとか。
コロナ禍でも似た症状は聞いたことがあるし、なので、デングの、というよりは、高熱の後遺症かもしれないのですが、そもそも後遺症かどうか100%確定ではないんですが、SNSでつぶやいたところ、デング熱とCovidにかかった経験がある方から「自分は熱はそんなにひどくなかったのに数カ月後に髪が抜けた、すぐには止まらなかったけど特に何をするでもなくそのうち収まった」と返信をいただきました。
経験者の方から声をかけていただけたのは心がだいぶほっとしましたし、実際、髪は2ヶ月ぐらいで正常サイクルに戻りました。よかった…。
感想と後日談。
以上が、私のデング熱罹患と入院の経験談でした。
最後に、あらためてひとこと。
いやーもー、入院はキャッシュレス診療に限る!
本来は入院しないのが一番ですが。
保険はあくまで保険、使わずにすむにこしたことはない、という気持ちは変わってないんですけども、それでも選ぶなら、いざというときにできるかぎりエネルギーを使わないですむものに限るとあらためて思ったしだい。
とはいえですね、実費で支払ったエマージェンシーホスピタルの分も帰国後に申請したところ、同じ楽天損保でぶじ補償してもらえました。手続きはめんどくさかったけども…。(←事務系の作業が苦じゃない人にはなんてことないと思います)
あと、デリーのヘルプデスクありがとうも今一度言っておきたい。翻訳の質、即座の対応、態度全部。途中で人が変わってもちゃんと連携が取れており、適切に訓練されていると感じました。ここインドなのに(←失礼)。
あとPSRI病院自体も、お湯がでない以外は、デング熱での入院先としてはなんの問題もありませんでした。主治医の先生は終始適切に説明してくださったし、看護師や職員でいやな思いをしたこともありませんでした。
以上、私の経験ではそんな感じでした。
おまけ: 関連英語
発症から入退院までに使ったり耳にしそうな英語を並べておきます。
日本語 | 英語 |
デング熱 | Dengue fever |
症状/兆候 | Symptoms/Signs |
数日高熱が続いてます | I had a high fever for days. |
ひどい頭痛がします | I have a heavy (severe) headache. |
食欲がありません | I have no appetite. I don’t feel like eating anything at all. |
救急病院 | Emergency hospital |
病院につれていってください | Please take me to a hospital. |
明日、デング熱でXX病院に入院します | I will be admitted to XX hospital tomorrow for (with) Dengue fever. |
入院しています。 | I’m in hospital now. |
退院しました。 | I was discharged from the hospital. |
1週間入院してました。 | I was hospitalized for 1 week. |
診断 | Diagnosis |
XX[病名]と診断されました | I was diagnosed with XX |
点滴 | IV (intravenous) infusion/drip (単にinfusionやdripとも) |
処方箋 | Prescription |
XX[薬]が処方されます | XX will be prescribed. |
検査 | Examination/test/check-up (複数の言い方あり) |
超音波検査 | Ultrasound |
血液検査 | Blood test |
血小板数 | Platelet counts |
血小板減少症 | Thrombocytopenia/low platelet count |
輸血 | Blood transfusion (単にtransfusionとも) |
輸血が必要になるかもしれません | Blood transfusion may be required. |
正常値に戻りました | returned to normal values (levels). |
浴室のお湯がでません | There is no hot water in the bathroom. |
ゾマㇳで何か食べるもの頼んでくれませんか? | Would you order something to eat for me on Zomato? If possible, Japanese food would be great. |
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