あとだし『ロックスター』ロケ地、続きます。 あとだしロケ地とは?
場所はチェコ、プラハ。ランビール・カプール演じる青年J・Jが、ナルギス・ファクリー演じる結婚した「親友」Heerに会いに行った場所。
写真は2014年秋のチェコ旅から引っ張り出してきました。
旧市街広場周辺やカレル橋、プラハ城脇の大階段など、ザ・プラハな場所が使われまくりでした。
J・JとHeerはスクーターで回っていましたが、この界隈は徒歩でも勝負できます。旧市街広場からカレル橋を抜けてプラハ城まではかなりの距離を歩くことにはなりますが、プラハは散策自体が楽しい眼福の都市。西欧の映画でもよく登場するし、映画の舞台として行くもよし、そうでなくてもよし、私も2回行きましたが、おすすめの旅先です。
ちなみに、私の2014年の旅では、『落下の王国』のロケ地として訪問しました。
また、偶然にも、あとだしロケ地第一弾とも同じ場所。この記事、当ブログでなぜか一番アクセスが多いのですが、その理由は、映画とプラハという町に対する興味の両方なのかな、という気がしています。
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さて。
ここからはニッチ街道暴走雑談なんですけど、
前回最後に書いたロックスターの感想、実はあれ、ものごっつ抑えていました。でないと、記事のバランス無視してつっぱしっちゃいそうだったから。
というのもわたくし、すでにこの監督、イムティヤーズ・アリさんに根こそぎもっていかれております。
まだ全作品を網羅しているわけではないので、あくまで自分が観た3本の印象ですが、もうね、やばいです。この人の見せ方は、やばい。というか見せない。この人は。 全部見せないことで爆発を惹起する、みたいなことをやりよる。
最初に見た『Highway』からいやな?予感はしてたんですよね。。
*この先、決定的なネタバレはしてないつもりですが、映画の後半やクライマックスに触れているため、万が一観るつもりのある方は回れ右でお願いします*
冒頭のフロントガラスに移る移動風景が静かに始まった瞬間から、あ、やばい、これ好きくさい、とは思ったのですが、題名からも推測できるようにある種のロードムービーなんですけど、明るいタイプのそれではなく、令嬢が巻き込まれる形で殺人犯のグループに誘拐され、移動を共にするうちに関係性に変化が、、というストックホルム症候群を彷彿とさせるストーリーで、筋書きはけして複雑ではないものの、これが、まあ、胸にくるくる。
内容も風景も。
白いアーチの橋のようなものがある砂漠。ラダックの方でよく見たような谷を通る道、雪のつもる山々、雪解け水の流れる川。場所をものすごく印象的に使うものだから、背景に魅入られずに映画に入り込むことが不可能で、見ている間に、インドの、特に北部の風景が懐かしくてしょうがなくなり困りました。
で、その風景の中で、主人公と主犯格の男がそれぞれ抱えているものが次第に露呈していくんだけど、激しいやり取りがあったり、時に歌ったりもするのだけど、工場見学ドキュメントのような静けさはずっとあって、それが妙にしみいるというか、だけどその静寂がやがて弾ける運命にあることは明白で、やっぱりある出来事が起きて、終息に向かう中一瞬だけ挿入されるカットがあるのですけど、そこに写っていたのは起きえなかった景色で、希望を示唆するもう一つの人生で、そのカットが挿入された瞬間、こっちはもう大泣きですよ。
┐(´ー`)┌
わー、この監督こういうことやる人なんだ、と思って、で、ちょっと続けて他も観てみようと、手に取った2本めがこのRockstarだったんですけど。でも、手に取った理由は観る頃には忘れていて、観終わったあとに、なにこれ、すごい胸にくる、とこりずにまた思って、監督の名前を確認して、そうだった・・・と思いだしたという汗。
ロックスターもまた抑制のきいた映画で、全部は見せない。ふたりの間にあるものは言葉では語られない。感情爆発!やさぐれ!みたいなシーンもあるのだけど、主人公がひょうひょうととぼけている風味というか、自分の苦悩をじっと観察しているようなところがある。
クライマックスシーンでは、舞台も歓声につつまれて盛り上がっているんだけど、やはりどこかひどく静かで、その静けさとともに、しん、とみおわって、そこにあのルーミーの詩がぽん、と提示されて、その意味を知って(調べるワンクッションはあったけれど)、ああ、そういうことなんだなあ、と思って、ふう、とかいって、コーヒーを淹れ直しにいって、ふいにぐっといろいろなものが押し寄せて、だけど何か、泣くとこまではいかなくて、いっそ泣いておけば楽だったのに、ちゃんと悲しまなかったせいで別れたあといつまでも元カレを引きずるみたいな状態に陥ってしまい困りました。 ←意味不明
それで、そのあと今年に入って観た3本目が『Tamasha』。
この映画が決定打でした。
Highwayで、がーんときていた数日間があって、Rockstarで、この監督やばい、キケン、となって、なぜかあまり期待してなかったこのTamashaで、完全ノックアウトされました。
先の2作品と比べると、インド世間的な評価はどうなのだろう、だけど、もっとも自分のエッジ直撃映画で、ひとことで内容をいうと、ストーリーテリングの話なんですけど、その要素といい、恋愛要素といい、個人的にささりすぎて、年明け早々たいへんなことに。観終わった後外出する予定があったのですが、なにか悪いものでも食べたんか?というほどはれぼったい目で出かけるはめになり困りました。
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とまあ・・・こうしてまとめて書くと、えらいエモい人みたいでちょっとやだな(照困)、というのはあるのですけど、
まあでも実際、この監督の映画がエモくはあるんですよ、だから人によっては、しんきくさく思う人もいるかもしれない、なんだけど、私にとってはバランスが絶妙というか、これ以上やるとくどくなる、という一歩手前で抑えていて、でも、その抑えた感じがずっと続くので、最後、指一本分のトリガー的なカットか何かで背中をそっと押されただけでガン泣き・・・
ということで、ええと、すみません、やっぱりエモい人でいいです。
ともかく、この監督のテイストは、インド映画らしいかそうでないかというと少し離れたところにあるのかもしれないですけど、
「インド映画らしい」というのは、最近ではとても一括りにはできない、というのはわかっているので、いわゆる歌って踊ってクレイジーな、みたいな、まだインド映画に足を踏み入れていない世間でそう思われているだろうというのを、勝手に想像して言っているだけですけど、こういう表現者がいるのもまたインド映画。だからやめられない。
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ロケ地の話に戻りますが、Rockstarではプラハでしたが、Tamashaでも、海外で2つの場所が舞台になっています。そのうち1つが主人公の2人が出会うコルシカ島。これがまたさあ、、南欧独特の白い壁、石段、光、そこにボリダンスの融合具合。この映画だけで十分行く動機になるほど、魅力的。
インド映画でロケ地巡りはしない。きりないから。
という誓いをあっさりやぶって、昨年がっつりインド国内でインド映画ロケ地巡りを遂行してしまい、自分自身との約束を守れない人として意識高い系の方々にダメ出しされる気満々の私ですが
や、でも、さすがに、インド映画でインド国外のロケ地巡りはしない。収集つかなくなるから。
という宣言に対しても、ここにきて、かなりあやういこといなっています。そして、もし誓いを破る日が来るとしたらその最たる原因は、多分、この監督、イムティアーズ・アリのせい、です。
しかもね、あともう1つの海外ロケ地がどこかというと、どこだと思います?
東京。日本ですよ。やばい。すぐにでも行けてしまう。
しかもしかも、最近流れてきた噂では、日本との合作が決まっているらしい。松竹との間で『Love in Tokyo』なる映画が制作される予定だとか。
Imtiaz Ali’s Love in Tokyo will have an Indian hero and Japanese heroine
同タイトルで制作された映画があるそうで私はまだ見たことがないんですけど、そのリメイクではなくオリジナルだとか。監督はイムティヤーズ・アリの兄弟のArif Aliさんで本人がメガホンを撮るわけではないようですが、日本とこの監督の作風って多分相性がいいのでは、と既にして期待値マックスです。
エモいの認めときながらなんですが、変なエモさだけは出さないでほしいですがそこはきっと、この監督なら流してくれるはず(希望)。
が、となると当然日本でロケか・・・。
インド映画ロケ地でインド国外だめってだけどインドの海外には日本も含まれていますがどうしますアニキ、みたいな脳内会話がだんだんめんどくさいことになってきたので、もうルールとか宣言するのはやめて、行きたければ行くことにしようと思います。
とまあ、結局つっぱしっちゃって、あつくるしい監督への愛をだらだらと書き連ねてまいりましたが、ここまで読んでくださった方、もしいるとしたら、あなたも相当ものずきですね本当にありがとうございました。