酔いやすい。

自分に。ではない。や、いかなるときも絶対に酔うことはないとは断言できないが、酔いやすくはないはずである。と思いたい。というか今日は自分の話ではない。アルコールの話でもない。乗り物の話である。

島に行くには海を渡らなければならない。海を渡るなら空路を選ばない限り船酔いはつきものだ。少なくとも私にとってはそうだ。

飛行機や電車ではほぼ酔わない。バスと車は状況による。たいていは平気だけれど空腹時であるとか、カーブの多い場所であるとか、体調が思わしくないとか、状況によってリスクは高まる。中でも本を読むのは禁じ手だ。自分で地雷を踏みに行くようなものだ。それで酔ってもだれにも文句は言えない。とはいえ、旅の長距離移動では退屈するし、暇をつぶす手段は多い方がよく、本が読める人をうらやましそうな目でみたことは何度もある。そういう点で、バスと列車の両方が選べる旅程では列車を選びがちだ。

船は大きさによる。天候のよい日の大型フェリーはまあ問題ない。とはいえ一応酔い止めは飲む。夜、横たわっていれば揺れを感じて眠りが浅くなることもある。長時間になるほど、降りてもずっと揺れを感じている。

船が小さいのと縦揺れのセットはやばい。酔い止め必須。何度も経験がある。何のかは察していただきたい。前記事の猿島行きは、10分以上長く乗っていればやばかった。

船が大きくても波が荒い中の長時間はやばい。数年前に小笠原諸島に行った友人が、乗船してまもなく酔い地獄が始まり、連れが24時間のほぼ全行程トイレを抱えたままだったとか、自分は強い方だがそれでも横になって耐えるしかなすすべがなかったとか、聞いただけの私も酔いを経験したかのような気分になり、行ってからのすばらしい景色や海や滞在経験も聞いたけれど、船酔いの阿鼻叫喚話のインパクトが強すぎて、小笠原諸島にはいつか行きたいけれど、おとなしく空路ができるまで待とうと思った。

そもそもなぜ船酔いの話をし始めたかといえば、最近国内の島に興味が向いているんですよね、という話をしたかったのだ。島の魅惑を語るはずであったのに、島、イコール、渡る、イコール、船、イコール、酔う、という回路により、自然に酔う話を始めてしまった。本題に入る前になんだか酔った気分になってきたため、島の話はまた今度にする。

とほ